佐野碩―人と仕事 1905-1966

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  • 菅孝行 編
  • 佐野碩、田中道子、藤田富士男、岩本憲児、加藤哲郎、萩原健、伊藤愉、吉川恵美子、スサーナ・ウェイン、ホビータ・ミジャン・カランサ、ギジェルミーナ・フエンテス・イバーラ、菅孝行
  • A5上製 800ページ
    ISBN-13: 9784865780550
    刊行日: 2015/12

「メキシコ演劇の父」と称される“越境する演劇人”の全貌! 生誕110年(2015)、歿50年(2016) 記念出版

戦前日本におけるプロレタリア演劇の先駆者として活躍した後、1930年代にはソ連で現代演劇の最大の革新者メイエルホリドに師事、スターリン粛清の嵐をかいくぐり、アメリカへ、そしてメキシコへと渡航してからは、スタニスラフスキーとメイエルホリドとを統合した技法の導入によって、メキシコ近代演劇の最大の功労者と呼ばれている佐野碩(1905~1966)。
アメリカ・ロシアで歴史資料の情報公開が進むなか、数か国語を駆使して激動の20世紀世界を越境しながら活躍した佐野の実像に初めて迫る、国際的研究の成果。
佐野自身が各紙誌に発表した論考も集成し、メキシコに残された演出論も初めて訳出掲載した必携の一冊。

第Ⅰ部 ― 日本/ソ連・ロシア/ドイツ/メキシコ、および演劇/映画/社会運動など、
     国境・専門領域を超えた執筆陣による学際的論集
第Ⅱ部 ― 佐野碩が各国で残した論考を初集成した、貴重な“佐野碩著作選”



目次

 編者はしがき 菅 孝行

第Ⅰ部 佐野碩――越境の軌跡
 総論 佐野碩の演劇と世界 田中道子

 1 日本プロレタリア演劇における佐野碩
  佐野碩の時代の政治演劇とその外延 藤田富士男
  日本脱出までの佐野碩と映画 岩本憲児

 2 越境する佐野碩
  コミンテルンと佐野碩 加藤哲郎
  佐野碩とピスカートア 萩原 健
  モスクワの佐野碩 伊藤 愉

 3 佐野碩 メキシコでの闘い
  佐野碩1939-1966 吉川恵美子
  佐野碩、師、演出家 スサーナ・ウェイン(西村英一郎訳)
   〔附〕シンポジウム『るつぼ』――演出家佐野碩の創造過程
  佐野碩とアメリカの劇作家 ホビータ・ミジャン・カランサ(西村英一郎訳)
  劇評から見る佐野碩 ギジェルミーナ・フエンテス・イバーラ(西村英一郎訳)

 小括 佐野碩の現代的意義 菅 孝行

第Ⅱ部 芸術は民衆のものだ!――佐野碩の仕事
 1 『MNZ』(1925年)
  MNZIST MANIFESTO/「舞台」対「観客席」の問題/イェスナーとグラノフスキー
  /「演劇力学」(H・カーター)/戯曲 スカパ・フロー(R・ゲーリンク)/
  R・S・F・S・Rに就いて 他

 2 『文芸戦線』(1926~27年)
  戯曲 二階の男(A・シンクレーア)/「探照灯」と「地獄の審判」/小堀甚二論/
  戯曲 炭坑夫(L・メルテン)/葉山嘉樹論/前衛座宣言/
  「解放されたドン・キホーテ」演出後記/前衛座の稽古部屋から/
  お前は戦争に行くのか!(M・マルチネ) 他

 3 『戦旗』(1928~29年)
  『巡洋艦ザリャー』に就いて/プロレタリア演劇運動当面の任務/同志佐藤武夫を悼む 他

 4 その他の雑誌(1929~31年)
  演劇・無声映画・発声映画/「左翼劇場」現勢図/演劇に於けるプロレタリア・レアリズムの問題/
  プロレタリア演劇運動の害虫について/座談会 プロレタリア演劇の思い出/
  「拡大」のための「強化」へ/きたるべき演出形式は……?  他

 5 国外での仕事
  ソヴィエット作家大会印象記/〈役を生きる演技〉の俳優訓練における三つの主要な環(吉川恵美子訳)

 第Ⅱ部収録文献解説 菅 孝行


 佐野碩関連年譜(1905-1966)/佐野碩 関連系図/人名索引


関連情報

●菅孝行(かん・たかゆき)
1939 年生。梅光学院大学特任教授。演劇論,思想・思想史。著書に『戦う演劇人――千田是也・浅利慶太・鈴木忠志』(而立書房,2007 年),『天皇制論集』第1 巻(御茶の水書房,2014 年),『叢書 ヒドラ1』(編著,御茶の水書房,2015 年),論文に「日本の60年代演劇」(共著A History of Japanese Theatre, Cambridge University Press所収,予2016 年4 月刊)など

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