核 安全性の限界――組織・事故・核兵器

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  • スコット・セーガン 著
  • 山口祐弘 訳
  • A5上製 480頁
    ISBN-13: 9784865784251
    刊行日: 2024/7

「絶対の安全」は、あるのか!?

「高度信頼性理論」(適切な措置を講じていけば、危険な技術でも安全性は確保できる)、「通常事故理論」(重大事故は必ず起こる)の両側面から詳細に分析、核の安全性には限界がある、と多くの事例を分析し、資料をあげて示した力作。


目次

略語一覧/謝辞

序説 想定外を想定する

第1章 事故の根源
組織理論と事故/高度信頼性組織理論/通常事故理論/理論の吟味と核兵器

第2章 キューバ・ミサイル危機時の核兵器の安全性
事故の危険/キューバ危機時の警戒態勢/緊急大陸間弾道ミサイル警戒作戦/核兵器と防空作戦/ヨーロッパにおける警戒活動の管理/結論

第3章 キューバ・ミサイル危機時の情報と警報
警報、重複性、信頼性/キューバ・ミサイル早期警報システム/アラスカにおけるU-2事故/ペンコフスキーの誤報/結論――瀬戸際の安全

第4章 重複性と信頼性――1968年のチューレ爆撃機事故
事実と理論/背景――核作戦の更新/重複性とチューレの監視装置/隠された通常型故障――機能停止/警報と応答/結論――記憶の政治学

第5章 試行と恐怖による学習
組織の学習と高度信頼性/1973年における防衛準備態勢3の警戒/北米航空宇宙防衛軍における1979、1980年の誤報/結論――学習への抑圧

第6章 安全性の限界
組織理論に対する意味/抑止論に対する意味/核兵器の安全性の向上

訳者解説

図版索引/原注/事項索引/地名・国名索引/人名索引

関連情報

本書で示される歴史的研究によって、合衆国の核兵器に関し以前知られることのなかった「危機一髪」の事態が数多くあることが明らかとなった。核兵器の偶発的或いは認可されていない爆発を引きおこす可能性のあった合衆国核貯蔵施設の中での深刻な事故、潜在的には偶発的な戦争すらが、一見信頼できそうだが様々な環境のもとで起こっていたのである。

われわれは危険な技術に満ちた世界に生きている。従って、破局的な事故の何らかの危険は常に存在している。われわれはこれらの危険をできるだけ少なくしようとする。しかし、近年多くの社会や環境をめぐる悲劇の名がわれわれの記憶に刻み込まれてきた。ところが、わけても最も危険な技術、核兵器に関しては、安全性の記録は極めて奇妙に見える。核兵器の偶発的爆発、或いは認可されない爆発はまったくなかった。ましてや、偶発的な核戦争への拡大は一度も起きていないのである。なぜだろうか。(「序説」より)

著者紹介

●スコット・セーガン(Scott D. Sagan)
1955年生。ハーバード大学でPh.D.を取得、同大学講師などを経て、現在スタンフォード大学教授、同大学国際安全保障・協力センター副所長。専門は政治学。
主著:Learning from a Disaster: Improving Nuclear Safety and Security after Fukushima (coedited. Stanford University Press. 2016), The Limits of Safety: Organizations, Accidents, and Nuclear Weapons (Princeton University Press, 1993)(本書), Moving Targets: Nuclear Strategy and National Security (Princeton University Press, 1990) など。
邦訳:『核兵器の拡散――終わりなき論争』(スコット・セーガン、ケネス・ウォルツ著、川上高司監訳、斎藤剛訳、勁草書房、2017年)。

【訳者】
●山口祐弘(やまぐち・まさひろ)
1944年生。東京理科大学名誉教授。哲学専攻。
著書に、『ヘーゲル哲学の思惟方法』(学術出版会)『ドイツ観念論の思索圏』(同)『カントにおける人間観の探究』(勁草書房)他。
訳書に、R.ユンク『原子力帝国』(日本経済評論社)『テクノクラシー帝国の崩壊』(藤原書店)、ヘーゲル『論理の学』1-3(作品社)、ホルクハイマー『理性の腐蝕』(せりか書房)他。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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