記録を残さなかった男の歴史――ある木靴職人の世界 1798-1876

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  • アラン・コルバン
  • 渡辺響子 訳
  • 四六上製 432ページ
    ISBN-13: 9784894341487
    刊行日: 1999/9

今世紀最高の〈感性の歴史家〉コルバン、「社会史」への挑戦状!

一切の痕跡を残さず死んでいった普通の人に個人性は与えられるか。古い戸籍の中から無作為に選ばれた、記録を残さなかった男の人生と、彼を取り巻く19世紀フランス農村の日常生活世界を現代に甦らせた、歴史叙述の革命。





目次

日本語版への序文

序 章 普通の生活の平板さについての研究


第1章  ある生涯の空間

78年にわたってピナゴがみたかもしれない風景に、 さまざまな角度から光を当てる


第2章 「底辺の無限」

ヴィクトル・ユゴーの小説のように、 名もない人々が貧乏のどん底でうごめいている


第3章 選択による親和力と親戚

人は、 何かしらの共通点から、 親愛の情を深める。 この親近性は、 最初は血のつながりや姻戚関係によるものだったが、 次第に意志によって選び取られるようになる


第4章 文盲のことば

読み書きのできない人々は、 どんなことばを話していたのか。 その言語はどのように評価されていたのだろう


第5章 木靴職人と糸紡ぎの女、 そして手袋つくり

この土地での木靴職人の妻は、 なぜか糸紡ぎが多かった。 だが、 糸紡ぎは次第に手袋つくりに宗旨替えし、 これに伴ってさまざまな変化が見られる


第6章 話し合いの喜び

取引や和解など、 ほとんどが話し合いによって決着する社会。 多様な交換対象が見られ、 近所どうしの諍いもある


第7章 解体された過去

ピナゴにとっての過去は、 出来事の順を追って話す複合過去と対照的な、 エピソードの寄せ集めだったかもしれない


第8章 侵 略

ピナゴの生きている間に、 フランスは二度、 プロシアに侵略されている。 ピナゴはこ れをどう捉えたのだろう


第9章 「貧しき者の大胆さ」

ピナゴの暮らす土地は、 豊かではなかった。 人々はどのような手段で危機を切り抜けようとしたのか。 行政はそれにどう対処したのか


第10章 教区民、 国民軍、 選挙人

ピナゴやその周囲の人々は、 一国民である前に教区民であった。 彼らに、 国家に属するという意識が生まれ、 普通選挙によって政治に参加するに至るまで


原 注
参考資料
地図 / 図版
訳者解説

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