闇より黒い光のうたを――十五人の詩獣たち

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  • 河津聖恵
  • 四六変上製 240ページ
    ISBN-13: 9784865780109
    刊行日: 2015/01

詩という希望へ

尹東柱、ツェラン、ロルカ、リルケ、石川啄木、立原道造、小林多喜二、宮沢賢治、原民喜、石原吉郎……近現代の暗い時空にあらがい、爪を立て、牙を剥かずにはおれなかった「詩獣」たちの叫びに、薄闇の現代を生きる気鋭の詩人が深く共振した、詩論/詩人論の集成。
■『環』誌好評連載



目次


プロローグ

第Ⅰ部 詩獣たち
 尹東柱――風の痛み
 パウル・ツェラン――アウシュヴィッツ以後、詩を書くのは野蛮か
 寺山修司――かがやける世界の滅亡にむかって
 ガルシア・ロルカ――詩という空虚を抱え込んで
 ライナー・マリア・リルケ――すべては一輪の薔薇の内部に
 石原吉郎――危機をおしかえす花
 立原道造――蛇の口から光を奪へ!
 シャルル・ボードレール――白鳥の歌
 アルチュール・ランボー――危機のように、祝福のように
 中原中也――幼 獣
 金子みすゞ――きれいなたましひの舟
 石川啄木――明日の詩
 宮沢賢治――さびしさと悲傷を焚いて
 小林多喜二――死を超えて汽笛は響く
 原民喜――ガラスの詩獣

第Ⅱ部 詩という希望
 そこへ言葉を投げ入れよ――詩という希望のために
 》花よ、蛇の口から光を奪へ!《 ――立原道造生誕百年

エピローグ



関連情報

「詩獣たち」。かれらはこの世の現実に対し、そもそも生の始まりで敗北している。詩が本質的にこの世の言語秩序にあらがってうたおうとするものであるかぎり、敗北は必然である。だが眼を凝らせばその敗北の生には、現実を超えたもう一つの生の光がまつわっている。光はまるで勝利への祝福のように、かれらに絶対的なかがやきとそれゆえの陰翳を与えている。連載「詩獣たち」ではそのような不思議なひとかげであるかれらが、近現代という暗い時空をよぎっていった軌跡を追っていった。それぞれが残した鋭い爪痕、その癒やされない永遠の痛み、そしてかれらが一瞬掴みえた絶対的な自由の冷たさと熱さにも、感覚を伸ばしながら。
(本書エピローグより)


河津聖恵(かわづ・きよえ)
詩人。1961年生。京都大学文学部ドイツ文学科卒業。詩集に『アリア、この夜の裸体のために』(ふらんす堂・第五三回H氏賞)、『神は外せないイヤホンを』『新鹿』『現代詩文庫183・河津聖恵詩集』(以上、思潮社)、『ハッキョへの坂』(土曜美術社出版販売)等。

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