- 吉増剛造
- A5変上製 308ページ
ISBN-13: 9784865780697
刊行日: 2016/05
前衛吉増詩人が、〈言葉―イメージ―音〉の錯綜するさまざまな聲を全身で受けとめ、新しい詩的世界に果敢に挑戦!
沖縄、遠野、アイルランド、ソウル、ブラジルなどへの旅に、また小津安二郎、ベケット、キーツ、イリイチらとの出会いの中に折りたたまれた“声”を、写真と詩で渾身の力で浮かびあがらせた、類稀な作品集。
『機』誌2001年2月~08年1月、「triple ∞ vision」として写真とともに掲載した連載が、満を持して単行本化。
目次
書物モマタ夢ヲミル
1 沖縄平和通りと那智ノ瀧
2 嘉手納、嘉手納 汝ガ名ハ嘉手納
3 わたくしは刹那に倖せをみた(Jonas Mekas)――林檎
4 もののひかりの静かな劇は、……
5 夾竹桃のある枝が言った(高銀)
6 “野”に、仙人掌(サボテン)の“美しき”――二〇〇一年六月九日 小千谷
7 高銀氏、雜(まざ)ることの音楽へ
8 プール平のプールの底に一本の樹木がはえて来ていた
9 わたくしの眼も浦島太郎の目であったとは、……
10 魂が色づくことを許すもの
11 他人の心の端、……の眼の上の葉ッパ
12 幾つもの光源をもつこと
13 あたらしい匂いの道へ
14 右奥の向うの緑の影に
15 ひかりの地下坑道に下りて行く
16 うつらない!、 美(い)しい
17 灰色のつる草の家
18 あたらしいこゝろのデッサン――帯広の夏
19 井上有一の「貧」をひろった、……
20 海裏(うみうら)に「花」――井上有一
21 吹っ飛ぶような「愛」――井上有一
22 屑として生まれてくるもの
23 爪(つめ)で文字を書く――二〇〇三・一・一二 うらわ
24 ネガティブハンド
25 ハングルがとても奇麗
26 ハングルをはこんで行った
27 ごとひき
28 蜩といふ名の裏山をいつも持つ――安東次男
29 円空の眼であったのかも知れなかった
30 奄美のニンフ――奄美自由大学二〇〇三年
31 マンハッタン島で考えていた
32 言いようのない芳香
33 小津安二郎の空気感
34 小僧の眼
35 小津安二郎、変な感じ
36 鉄の(純粋な)眼――若林 奮
37 島の井への下り口――沖永良部
38 ごろごろ
39 藤色のカード袋に宝貝
40 紙裏(かみうら、…)に
41 アラーキー山門に立つ
42 「白川」は雪の女神の髪形
43 アジアの女の火の詩人――トリン・T・ミンハ
44 聶(ニエ)夫人(Hualing Nieh Engle)
45 たしだし
46 基地がみえない
47 刹那の景色――アイルランド
48 愛蘭(アイルランド)の火(ひ)点(とも)し頃(ころ)
49 アイルランドの紙の鏡
50 心配力――Giulietta Masina
51 奇蹟(ミラーコロ)のたき祖母(ばあちゃん)よ
52 ベケットの息遣(いきづか)い
53 キーツの唇(くちびる)
54 注意深く目をそらすこと
55 グラス二つが心に沁む
56 トーノ(遠野)
57 山(やま)人(びと)の親(と)友(も)
58 非常に大きな河が大地の下を流れている――レオナルド・ダ・ヴィンチ
59 墨(スミ)(Chinese ink)の香り
60 マルコ(Marco Mazzi)の書斎
61 心 熱、、、、、、、
62 音に貴賤なし
63 手綱(たづな)ein Z?gelもなく、拍車(はくしゃ)ein Anspornもなく
64 ブラジルの木
65 觀 察
66 縁人(ゆかりんちゅ)
67 涙のEiffel
68 熊野、 梛(なぎ)の葉、……
69 はらわたの底ノ月
70 光の棘(とげ)
71 静かな小川――島尾ミホさん追悼
72 “あらゆる限界づけを、……彼=フィリップ・ラクー=ラバルトは、
許しがたい不正義と感じていた”
73 剥きだしの思考のすじが捨てられない――フィリップ・ラクー=ラバルト
74 「真の生活は別のところにある」――フィリップ・ラクー=ラバルト
75 阿弥陀ヶ池
76 鏡花フィルム――逗子
77 酸漿(ほおずき)、鏡花(きょうか)、省吾(しょうご)さん
78 利根(Tanne(たんね))はぬすびとのように
79 気がつくとこのフネが、……ミホさんのフネ、……
80 歩く言葉――ジャコメッティ
あとがき
関連情報
2016.6.7 - 8.7 企画展
声ノマ 全身詩人、吉増剛造展
The Voice Between : The Art and Poetry of Yoshimasu Gozo
http://www.momat.go.jp/am/exhibition/yoshimasu-gozo/
●吉増剛造(よします・ごうぞう)
1939年東京生。詩人。大学在学中から旺盛な詩作活動を展開,以後先鋭的な現代詩人として今日に至るまで内外で活躍,高い評価を受ける。評論,朗読のほか,現代美術や音楽とのコラボレーション,写真などの活動も意欲的に展開。著書『出発』(新芸術社)『黄金詩篇』『オシリス,石ノ神』『生涯は夢の中径』(思潮社)『螺旋歌』(河出書房新社)『剥きだしの野の花』(岩波書店)『詩をポケットに』(NHK出版)『ごろごろ』(毎日新聞社)『キセキ gozoCin?』(オシリス)『詩学講義 無限のエコー』(慶應義塾大学出版会)『静かな場所』『裸のメモ』(書肆山田)他多数。2015年日本芸術院賞・恩賜賞。