ウッドファースト!――建築に木を使い、日本の山を生かす 別冊『環』21

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  • 上田篤 編
  • 菊大並製 416頁 カラー口絵16頁
    ISBN-13: 9784865780703
    刊行日: 2016/4

山/木/建築を結び、「木造の未来」を問う!

現在、日本では第二次世界大戦後に植林した人工林が伐採期を迎え、豊富な林産資源を生かす好機にあるにもかかわらず、外材輸入に押され、国産の木は充分に活用されていない。林野庁の「木づかい運動」、林業界の「ウッドファースト」宣言など、「木」の活用を推進する動きがあるなかで、今、我々は「木」にどう向き合うべきか。


目次

 序 上田篤

〈総論〉ウッドファーストを進めよう  上田篤
〈座談会〉日本の山・木・建築はどうあるべきか  尾島俊雄田中淳夫中村桂子上田篤

Ⅰ 日本人と木の家
 縄文人は山に木の家を建てた  鎌田東二
 山と木をめぐる三千年の日本人の生きざま〔御柱と土塔を中心に〕  中牧弘允
 私たちはなぜ木の家を捨てたか  鳴海邦碩
 ウッドファーストをどう進めるか  尾島俊雄
 柱賛歌  田中充子

Ⅱ 木の家の良さ
 木の家の良さ  川井秀一
 伝統的木造建築  木内修
 木造建築の新しい展開  腰原幹雄
 新しい木造建築を実践して  木村一義
 山が変わり、建築が変わる〔「木のカタマリに住む」の設計を通して〕  網野禎昭
 ドイツ人の木の建築に対する取り組み  内山佳代子
 CLTの可能性と限界  稲田達夫
  灰山彰好 日曜大工の楽しさ
  岡本一真 木づかいのいろいろ

Ⅲ 適材適所の「木の建築」
 適材適所の木の建築  河井敏明
 公共建築物に木を使おう  藤田伊織
 木の文化と旅館、そして聖なる空間  竹山聖
  久隆浩 都市に木の消防署を
 集合住宅を「木の建築」にしてみたら  渡辺真理
 コンクリートの城を「木の建築」にしてみたら  中川理
 病院・介護施設を「木の建築」にしてみたら  辻吉隆
  金澤成保 学校を森にする
  中西ひろむ 成長する美術館
 組み込まれた杉丸太の斜材〔くまもとアートポリス 杖立橋+P-Hall〕  新井清一
  腰原幹雄 東京オリンピック二〇二〇への提案
  中村良夫 森のくにの木のまち
 和風の屋根が冠されたビルを、どう見るか  井上章一
 一九九五年「木の建築と都市展」回顧  田中充子

現代建築家と「ウッドファースト」
 伊東豊雄 「みんなの森 ぎふメディアコスモス」
 北川原温 「岐阜県立森林文化アカデミー」
 隈研吾 「檮原町プロジェクト」
 高松伸 「丸美産業本社社屋」
 内藤廣 「日向市駅」
 坂茂 「タメディア新本社」
 山本理顕 「STUDIO STEPS」

Ⅳ 山を生かし、里を生かす
 山を生かし、里を生かす  速水亨
 林業経営の困難な課題をどう解決するか〔林業経営を支援する木材利用とは〕  榎本長治
 日本林業の現状と課題  海瀬亀太郎
  中岡義介 山林地主
 真の林業再生・中山間地域創生のための自伐型林業論  中嶋健造
  玉井輝大 フォレスター(山森長)制度の提案〔山を「自立自治」する〕
 国産材をもっと使うためには  長谷川香織
 樹木の時間と人の時間〔日本の森はどこへ行くのか?〕  田中淳夫
 森・里・海を育てる人々
  〔生命の循環・森林生態系再生・地球環境浄化の語り部達から〕  池上惇
  進士五十八 木も森も、風景の目で計画を
  上田昌弘 よみがえる里山「桜の園」
 嗚呼、山を愛する日本人  加藤碵一

〈座談会〉「木」からの地方創生〔日本を元気にするために〕
  網野禎昭平岡龍人増田寛也上田篤

 〈附〉木材利用のために知っておきたい国産材製材の基礎知識(作成=榎本長治)

関連情報

日本の山の死活は、日本人が木を使うかどうかにかかっている。
それは、日本人が昔のようにたくさん木を使って山の木の新陳代謝をうながすかどうかである。そうでなければ、日本の山々の多くは「線香林」となって集団的に立ち枯れたり、台風で根こそぎに倒れたり、山崩れを起こしたり、スギ花粉を撒き散らしたりする数々の問題を引き起こすだろう。
そこで、改めて建築に広く木を使う運動「ウッドファースト」を提唱したい。とりわけ人間の健康や都市の環境などにたいして優れた貢献をする「木の良さ」を強く訴えたい。
  そのために「火事に弱い、地震で倒れる、津波で流される、朽ち果てていく」などといった木のもつ弱点を現代科学技術によって克服し、新しい生産技術を拓き、法整備を進め、大小の産業を興し、流通過程を整備し、建築主と建築家の発奮を促し「木の建築」の再生に貢献したいのである。
(「序」より)

著者紹介

【編者】
●上田篤(うえだ・あつし)
建築学者・評論家。西郷義塾主宰。1930年大阪市生。元建設省技官、元京都大学工学部建築学科・同経済研究所各助教授、元京都大学人文科学研究所・大阪大学工学部環境工学科・京都精華大学美術学部建築学科各教授。主な著書に『日本人とすまい』(1974年、岩波書店、日本エッセイスト・クラブ賞)、『くるまは弱者のもの』(79年、中央公論社、トヨタ自工創立記念論文最優秀賞)、『鎮守の森』(84年、鹿島出版会、共著、環境優良賞)、『流民の都市とすまい』(85年、駸々堂、毎日出版文化賞)、『海辺の聖地』(93年、新潮社、大阪文化賞)、『小国大輝論』(2012年、藤原書店)など。
主な建築作品に『大阪万国博お祭り広場』(70年、日本万国博覧会協会、建築学会賞)、『橋の博物館』(88年、倉敷市、朝日デザイン年賞)など。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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