- マリー・ダリュセック
- 高頭麻子 訳
- 四六上製 272ページ
ISBN-13: 9784865780888
刊行日: 2016/09
女には、待つという力がある。病的なまでに。
「ひとりの女がひとりの男に出会い、
恋に墜ちる。男は黒人、女は白人だ。
だから何?」
デビュー作『めす豚ものがたり』で世界を驚愕させた著者が放つ最も美しく、最も輝かしく、最も胸を刺す、恋愛小説。
★仏・8大文学賞の受賞作から1作だけ選ばれる「文学賞の中の文学賞」に輝いた、著者の最新・最高傑作
目次
クレジット・タイトル
Ⅰ
始まり/重力の法則に挑戦するトラ/厄介なこと/ビデオ/向こう側での待ち合わせ/夜の金色の光のなかで/真鍮の脛当
Ⅱ
そしてあなたがた亡霊たちは化学変化で青く立ち上る/ベル・エール/HOLLYWOOD DOOWYLLOH/男たちをいっぱい愛さなくてはならない/ソーホー・ハウスでの騒動/サバンナの自由/衝突試験/Black Like Me/マリブでのストーリー・ボード/アンゴラは祝祭だ/死がその杭を打ち立てた、我らは鋤を投げ出した、そしてすべての名が使い果たされた/ビジネスクラス/どうして頭に血が上らずにいられようか/僕には二つの愛がある/アフリカの問題
Ⅲ
ソランジュ、いろんなことがある/大いなる時間/真っ直ぐな道/お鍋の尻は火を恐れない/どこまでも森が続く世界というファンタスティックなイメージ/幻影を見ない者たちだけが現実へと逃れられる/首まで囚われて/センザンコウの夜
Ⅳ
ジャングル熱/そして大きな黒い木々の下で/女たちが森のなかに/完璧過ぎる世界/名優登場シーン/ポコ・ビーチ
Ⅴ
The End/それから
特典映像(ボーナス)
訳者あとがき
関連情報
「君がほしいのは証明書さ。人種差別主義者ではない、という証明書。
だから君は、それを獲得するために僕と寝るんだ」
虚飾と欲望の都ハリウッドで出会い、恋に落ちた黒人俳優と白人女優。男は、植民地時代のアフリカを描くコンラッド『闇の奥』を、自らの監督で映画化するという野望を抱き、現地ロケへと旅立つ。男を追ってカメルーンに向かった女の切ない恋のゆくえは……?
映画の都とジャングルの奥地というトポスの完璧なコントラストを背景に、植民地主義の残響、黒人男と白人女の誤解に満ちた関係、「アフリカ」の虚像と実像を織りまぜて描く、古典的にして新しい恋愛物語。
「完璧な文章と文体によって、恋愛という永遠のテーマを鮮やかに塗り替えた」と激賞され、著者も「最高傑作」と自認する最新長篇。
★2013年「メディシス賞」および「文学賞の中の文学賞」受賞
●マリー・ダリュセック(Marie Darrieussecq, 1969-)
1969年1月3日、バスク地方の中心地バイヨンヌで生まれる。高等師範学校(エコル・ノルマル)ほかで文学を研究し、1997年、「ジョルジュ・ペレック、ミシェル・レリス、セルジュ・ドゥブロフスキー、エルヴェ・ギベールにおけるオートフィクションと悲劇的アイロニー」と題する博士論文で学位を得る。
1996年9月、27歳の時、処女作『めす豚ものがたり』で彗星のようにベストセラー市場に登場、日本語を含む30言語以上に翻訳され、世界中で話題になった。1998年、2作目の小説『亡霊たちの誕生』について、アフリカ出身の中堅作家マリー・ンディアイから自作の「猿真似」だと告発されるも、大方の評論家、マスコミはダリュセックに同情的。
2002年、自分の出産後、乳幼児についての本が少ないことに気付き、アフォリズム形式の物語『赤ちゃん――ル・ベベ』を発表。2007年、幼児の死を語るフィクション『トムが死んだ』について、同じ出版社P.O.L.に所属するベテラン作家カミーユ・ロランスに「心理的剽窃」だと告発されるが、長年同作家の作品を出版してきたP.O.L.社主、ポール・オチャコフスキー・ロランスが全面的にダリュセックを支持。こうした体験を踏まえ文学論の大著『警察調書――剽窃と世界文学』(邦訳藤原書店、2013年)を刊行。
10編以上の小説作品のほか、オウィディウスのフランス語訳や、演劇の脚本も発表、ラジオ番組や演劇製作でも活躍している。
精神分析の資格も持っており、堕胎に使われた薬剤の薬害被害者の支援組織などでボランティア活動もしている。
●高頭麻子(たかとう・まこ)
早稲田大学第一文学部哲学科卒、同大学院フランス文学専攻博士課程中退。1996年日本女子大学文学部助教授に着任、2002年より同教授。著書に『フランス中世文学を学ぶ人のために』(共著、 世界思想社)、『日本文学にみる純愛百選』(共著、早美出版社)、『名作は隠れている』(共著、ミネルヴァ書房)ほか。翻訳にG・デュビイ/M・ペロー監修『女の歴史』(共訳、藤原書店)、N・ヒューストン『愛と創造の日記』(晶文社)、マリー・ダリュセック『めす豚ものがたり』『亡霊たちの誕生』『あかちゃん――ル・ベベ』(いずれも河出書房新社)『警察調書――剽窃と世界文学』(藤原書店)、木々康子編『林忠正宛書簡・資料集』(信山社)ほか。
だから君は、それを獲得するために僕と寝るんだ」
虚飾と欲望の都ハリウッドで出会い、恋に落ちた黒人俳優と白人女優。男は、植民地時代のアフリカを描くコンラッド『闇の奥』を、自らの監督で映画化するという野望を抱き、現地ロケへと旅立つ。男を追ってカメルーンに向かった女の切ない恋のゆくえは……?
映画の都とジャングルの奥地というトポスの完璧なコントラストを背景に、植民地主義の残響、黒人男と白人女の誤解に満ちた関係、「アフリカ」の虚像と実像を織りまぜて描く、古典的にして新しい恋愛物語。
「完璧な文章と文体によって、恋愛という永遠のテーマを鮮やかに塗り替えた」と激賞され、著者も「最高傑作」と自認する最新長篇。
★2013年「メディシス賞」および「文学賞の中の文学賞」受賞
●マリー・ダリュセック(Marie Darrieussecq, 1969-)
1969年1月3日、バスク地方の中心地バイヨンヌで生まれる。高等師範学校(エコル・ノルマル)ほかで文学を研究し、1997年、「ジョルジュ・ペレック、ミシェル・レリス、セルジュ・ドゥブロフスキー、エルヴェ・ギベールにおけるオートフィクションと悲劇的アイロニー」と題する博士論文で学位を得る。
1996年9月、27歳の時、処女作『めす豚ものがたり』で彗星のようにベストセラー市場に登場、日本語を含む30言語以上に翻訳され、世界中で話題になった。1998年、2作目の小説『亡霊たちの誕生』について、アフリカ出身の中堅作家マリー・ンディアイから自作の「猿真似」だと告発されるも、大方の評論家、マスコミはダリュセックに同情的。
2002年、自分の出産後、乳幼児についての本が少ないことに気付き、アフォリズム形式の物語『赤ちゃん――ル・ベベ』を発表。2007年、幼児の死を語るフィクション『トムが死んだ』について、同じ出版社P.O.L.に所属するベテラン作家カミーユ・ロランスに「心理的剽窃」だと告発されるが、長年同作家の作品を出版してきたP.O.L.社主、ポール・オチャコフスキー・ロランスが全面的にダリュセックを支持。こうした体験を踏まえ文学論の大著『警察調書――剽窃と世界文学』(邦訳藤原書店、2013年)を刊行。
10編以上の小説作品のほか、オウィディウスのフランス語訳や、演劇の脚本も発表、ラジオ番組や演劇製作でも活躍している。
精神分析の資格も持っており、堕胎に使われた薬剤の薬害被害者の支援組織などでボランティア活動もしている。
●高頭麻子(たかとう・まこ)
早稲田大学第一文学部哲学科卒、同大学院フランス文学専攻博士課程中退。1996年日本女子大学文学部助教授に着任、2002年より同教授。著書に『フランス中世文学を学ぶ人のために』(共著、 世界思想社)、『日本文学にみる純愛百選』(共著、早美出版社)、『名作は隠れている』(共著、ミネルヴァ書房)ほか。翻訳にG・デュビイ/M・ペロー監修『女の歴史』(共訳、藤原書店)、N・ヒューストン『愛と創造の日記』(晶文社)、マリー・ダリュセック『めす豚ものがたり』『亡霊たちの誕生』『あかちゃん――ル・ベベ』(いずれも河出書房新社)『警察調書――剽窃と世界文学』(藤原書店)、木々康子編『林忠正宛書簡・資料集』(信山社)ほか。