ISBN-13: 9784865780994
刊行日: 2016/11
漢詩の魅力を軽妙に、そして深く描く、名随筆集
昨年惜しまれつつ逝去した中国文学の第一人者、一海知義さん。
陶淵明・陸游らの漢詩人はもとより、夏目漱石・河上肇ら優れた漢詩を残した日本の文人にも目を向け、漢詩の魅力を余すところなく捉えた、著者ならではの名随筆を集成。
★著作集未収録随筆集、第一弾!
口絵2頁
目次
漢詩放談 一 (漢詩入門/漢詩と人間)
漢詩放談 二
陶淵明研究余話
陸游随想
漱石札記
河上肇雑記
関連情報
〈ところで、思い浮かべるのは、現代の人々の顔だけではない。二千百年前の司馬遷、千六百年前の陶淵明、八百年前の陸游、五十年前の河上肇。このうち、顔写真があるのは、もちろん河上肇だけだが、私には他の三人の顔も、空想することができる。
私はこの人たちと心の対話をくり返しつつ、人生の後半をすごしてきた。そして対話の結果を、時には論文や随筆に、また本にした。
河上肇に至っては、その人と詩をテーマとして、百篇を越す文章を書き、七冊の本を世に問うた。しかし、対話はまだ終っていない。
四十年以上も前から研究対象としてきた陶淵明とのほんとうの対話は、最近ようやく始まったばかりのように思える。淵明が亡くなった六十三歳という年を私自身も迎えて、本格的な対話が始まり出したような気がするのである。この人たちとの対話を中断して、世を去るに忍びない。〉
(本書「自ら祭る文」より)
●一海知義(いっかい・ともよし 1929-2015)
1929年、奈良市生まれ。旧制高校理科コースへ進んだが、文学への思いが募り、京都大学文学部中国文学科に進学し、高橋和巳らとともに吉川幸次郎に師事。53年卒業後は、神戸大学教授、神戸学院大学教授を歴任後、神戸大学名誉教授。専攻は中国文学。2015年歿。
著書は幅広く、中国古典詩を扱った『陸游』『陶淵明――虚構の詩人』(岩波書店)『史記』(筑摩書房)や、広く大人にも読まれている『漢詩入門』『漢語の知識』(岩波ジュニア新書)の他、河上肇の漢詩に初めて光を当てた『河上肇詩注』や『河上肇そして中国』(岩波書店)『河上肇と中国の詩人たち』(筑摩書房)など一連の河上肇論でも名高い。軽妙な筆致に中国古典の深遠な素養を滲ませる随筆『読書人漫語』(新評論)『典故の思想』『漱石と河上肇』『詩魔』『閑人侃語』『漢詩逍遥』(藤原書店)もファンが多い。陸游の漢詩を毎月1回読む「読游会」の成果が『一海知義の漢詩道場』(正・続、岩波書店)に結実、また『論語』の新しい読み方を提示した名講義録『論語語論』(藤原書店)も好評を博した。
著者自身の監修による『一海知義著作集』(全11巻・別巻1)を藤原書店より刊行。
私はこの人たちと心の対話をくり返しつつ、人生の後半をすごしてきた。そして対話の結果を、時には論文や随筆に、また本にした。
河上肇に至っては、その人と詩をテーマとして、百篇を越す文章を書き、七冊の本を世に問うた。しかし、対話はまだ終っていない。
四十年以上も前から研究対象としてきた陶淵明とのほんとうの対話は、最近ようやく始まったばかりのように思える。淵明が亡くなった六十三歳という年を私自身も迎えて、本格的な対話が始まり出したような気がするのである。この人たちとの対話を中断して、世を去るに忍びない。〉
(本書「自ら祭る文」より)
●一海知義(いっかい・ともよし 1929-2015)
1929年、奈良市生まれ。旧制高校理科コースへ進んだが、文学への思いが募り、京都大学文学部中国文学科に進学し、高橋和巳らとともに吉川幸次郎に師事。53年卒業後は、神戸大学教授、神戸学院大学教授を歴任後、神戸大学名誉教授。専攻は中国文学。2015年歿。
著書は幅広く、中国古典詩を扱った『陸游』『陶淵明――虚構の詩人』(岩波書店)『史記』(筑摩書房)や、広く大人にも読まれている『漢詩入門』『漢語の知識』(岩波ジュニア新書)の他、河上肇の漢詩に初めて光を当てた『河上肇詩注』や『河上肇そして中国』(岩波書店)『河上肇と中国の詩人たち』(筑摩書房)など一連の河上肇論でも名高い。軽妙な筆致に中国古典の深遠な素養を滲ませる随筆『読書人漫語』(新評論)『典故の思想』『漱石と河上肇』『詩魔』『閑人侃語』『漢詩逍遥』(藤原書店)もファンが多い。陸游の漢詩を毎月1回読む「読游会」の成果が『一海知義の漢詩道場』(正・続、岩波書店)に結実、また『論語』の新しい読み方を提示した名講義録『論語語論』(藤原書店)も好評を博した。
著者自身の監修による『一海知義著作集』(全11巻・別巻1)を藤原書店より刊行。