- 梅原猛+川勝平太 著
- B6変上製 224頁
ISBN-13: 9784865781328
刊行日: 2017/7
日本文化の古層から汲みだした“美・平等・平和”の思想を今、いかに発信するか
仏像に体現された美と宗教の不即不離、鎌倉仏教における激越な「男女平等」、そして、縄文以来の精神性に深く根ざす「草木国土悉皆成仏」の思想――
哲学界の最長老と、「海洋史観」の提唱者が、徹底討論!
目次
はしがき 梅原猛
Ⅰ 日本の古層の「文化力」とは何か 梅原猛・川勝平太
富士山と梅原哲学/西田哲学から仏教の深部へ/「美の哲学」の発見/親鸞の
思想と宇宙的循環/女人往生と親鸞の結婚/激越な平等思想/美と宗教の不即不
離/『古事記』『日本書紀』と藤原不比等/藤原鎌足とは誰か/隠された鎌足の
ルーツ/弥勒思想の謎/『海人と天皇』のテーマ/美と利が合致した富士山/謎
多き秦河勝/「草木国土悉皆成仏」を基礎として
Ⅱ 日本文化に根ざした「平和」の発信 梅原猛・川勝平太
中曽根元首相と国際日本文化研究センター/「政治は文化に奉仕する」という
中曽根名言/日本は世界に何を発言し得るか/天台本覚論とギルガメシュ神話/
西洋の森は再生林/『人類哲学序説』――梅原哲学のエッセンス/九条と国連憲
章/現代の学問所として/稲作の源流と長江文明/白川静のすごさ/国の象徴、
国土の象徴
Ⅲ 「人類哲学」讃歌――山川草木国土悉皆芸術 川勝平太
仏教という視座からの西洋哲学批判/「草木国土悉皆成仏」という核心/ユー
ラシアの思想の東西への伝播
あとがき 川勝平太
関連情報
日本列島には汎ユーラシアともいうべき広がりを持つ文化がざっくりと入り込ん
でいたように思われる。ユーラシアに生まれた様々な文化が入り込んでいたとい
うことは、日本の思想がすでに飛鳥の時代から全体性を孕んでいたということで
あろう。そのことのなによりの例証は、奈良時代の一万点にも及ぶ正倉院の宝物
である。宝物には、朝鮮半島、中国大陸はもとより、インド、シルクロードの各
地、ペルシャ、さらにギリシャ、ローマの物まである。まさに汎ユーラシアの広
がりをもっている。これらの物は、物だけで舶来したのではなく、人が運んでき
たものであろう。
人は出身地の文化・思想・宗教をもつ存在である。これらのことが相俟って日本 思想の人類的な広がりを根拠づけるのである。そのことはまた梅原氏が日本思想 から「人類哲学」を構想できる根拠でもある。――川勝平太
(本文より)
【著者紹介】
●梅原猛 (うめはら・たけし)
1925年生まれ。哲学者。京都大学文学部哲学科卒業。立命館大学教授、京都市立 芸術大学学長、国際日本文化研究センター初代所長などを経て、現在、同センター 顧問。1999年文化勲章受章。著書に『隠された十字架――法隆寺論』(毎日出版 文化賞)『水底の歌――柿本人麿論』(大佛次郎賞)『ヤマトタケル』(大谷竹 次郎賞)『日本人の「あの世」観』『京都発見』『葬られた王朝――古代出雲の 謎を解く』『親鸞「四つの謎」を解く』など多数あり。二期にわたる『梅原猛著 作集』が刊行されている。縄文時代から近代までを視野に収め、文学・歴史・宗 教等を包括して日本文化の深層を解明する幾多の論考は〈梅原日本学〉とよばれる。
●川勝平太 (かわかつ・へいた)
1948年生まれ。静岡県知事。専攻・比較経済史。早稲田大学大学院で日本経済史、 オックスフォード大学大学院で英国経済史を修学。D.Phil.(オックスフォード 大学)。早稲田大学教授、国際日本文化研究センター教授、静岡文化芸術大学学 長などを歴任し、2009年7月より現職。著書に『日本文明と近代西洋――「鎖国」 再考』(NHKブックス)『富国有徳論』『文明の海洋史観』(中公文庫)『「美 の文明」をつくる』(ちくま新書)『経済史入門』(日経文庫)『海から見た歴 史』『アジア太平洋経済圏史1500-2000』(編著)『「東北」共同体からの再生』 (共著)『「鎖国」と資本主義』(藤原書店)など多数。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです
人は出身地の文化・思想・宗教をもつ存在である。これらのことが相俟って日本 思想の人類的な広がりを根拠づけるのである。そのことはまた梅原氏が日本思想 から「人類哲学」を構想できる根拠でもある。――川勝平太
(本文より)
【著者紹介】
●梅原猛 (うめはら・たけし)
1925年生まれ。哲学者。京都大学文学部哲学科卒業。立命館大学教授、京都市立 芸術大学学長、国際日本文化研究センター初代所長などを経て、現在、同センター 顧問。1999年文化勲章受章。著書に『隠された十字架――法隆寺論』(毎日出版 文化賞)『水底の歌――柿本人麿論』(大佛次郎賞)『ヤマトタケル』(大谷竹 次郎賞)『日本人の「あの世」観』『京都発見』『葬られた王朝――古代出雲の 謎を解く』『親鸞「四つの謎」を解く』など多数あり。二期にわたる『梅原猛著 作集』が刊行されている。縄文時代から近代までを視野に収め、文学・歴史・宗 教等を包括して日本文化の深層を解明する幾多の論考は〈梅原日本学〉とよばれる。
●川勝平太 (かわかつ・へいた)
1948年生まれ。静岡県知事。専攻・比較経済史。早稲田大学大学院で日本経済史、 オックスフォード大学大学院で英国経済史を修学。D.Phil.(オックスフォード 大学)。早稲田大学教授、国際日本文化研究センター教授、静岡文化芸術大学学 長などを歴任し、2009年7月より現職。著書に『日本文明と近代西洋――「鎖国」 再考』(NHKブックス)『富国有徳論』『文明の海洋史観』(中公文庫)『「美 の文明」をつくる』(ちくま新書)『経済史入門』(日経文庫)『海から見た歴 史』『アジア太平洋経済圏史1500-2000』(編著)『「東北」共同体からの再生』 (共著)『「鎖国」と資本主義』(藤原書店)など多数。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです