ISBN-13: 9784865781496
刊行日: 2017/11
世界がすべて海になってしまえば……地中海への憧れ 死に向かって生きる二人
強烈な海への憧れから、世界が、自分さえもすべて海になってしまえばと願う著者の私小説的作品。地中海沿岸、イタリア北部の小さな町ラパッロに住み着いた「ぼく」とヨーコ、海(マーレ)、死をめぐる20年間のできごと。
目次
本書を読むまえに
登場人物紹介
関連地図
一九九四年 1994.11.21~12.14
空港が霧――美容院――夜明け――海に光――残照――海辺の図書館――骨董市――雨――港のバール――薔薇――廃墟風建物――?――夜中の声――海風――棕櫚――映画撮影――岬歩き――ジェノヴァ旧市街――山の宴――電話不通――空港へ
二〇〇四年 2004.11.26~2005.1.19
晩秋の入江――映画館――干し鱈料理――山頂が教会――晩餐会――礼拝堂でプレゼーペ――旧家の仕事場――降誕祭に昼餐――誕生会――岬散策――海岸の道――年納め行事――年越し――山歩き――ヴェネツィアに霧
二〇一四年 2014.9.26~2015.1.8
蘇るパレルモ――陽光さす街路樹――巨木の根――光に殺気――ヨット――無人の島――レースの贈物――個展カタログ――湖畔――ホテルで早朝――高倉健が死す――検査結果――柚子湯――家庭演奏会――マーレ輝き
関連情報
●武田秀一(たけだ・しゅういち)
1946年、東京都生まれ。1972年、慶應義塾大学仏文学科卒業。1994年、若年時よりの願望“地中海岸での生活”を実行、イタリアのジェノヴァ県ラパッロ市に移住。イタリア関連の諸事(翻訳、執筆、調査等)に従事、終生の企図“地中海の表出”を準備。2005年、帰国、企図実現を志向。
海が生きている。たえず生きかえっている。ぼくはすぐ生きなくなってしまう。一瞬まえのぼくはもう生きていない。かすかな時しか生きていない。たえず生きかえらなければ生きない時間をすごしてしまう。生きかえりたい。たえず生きかえって生きているのが海なんだ。海が感じるように感じて生きたいんだ。
ねえヨーコ、海として生きるということわかるかな。海として生きる、ヨーコが海として生きる、すてきだろ。
(本書より)
1946年、東京都生まれ。1972年、慶應義塾大学仏文学科卒業。1994年、若年時よりの願望“地中海岸での生活”を実行、イタリアのジェノヴァ県ラパッロ市に移住。イタリア関連の諸事(翻訳、執筆、調査等)に従事、終生の企図“地中海の表出”を準備。2005年、帰国、企図実現を志向。
海が生きている。たえず生きかえっている。ぼくはすぐ生きなくなってしまう。一瞬まえのぼくはもう生きていない。かすかな時しか生きていない。たえず生きかえらなければ生きない時間をすごしてしまう。生きかえりたい。たえず生きかえって生きているのが海なんだ。海が感じるように感じて生きたいんだ。
ねえヨーコ、海として生きるということわかるかな。海として生きる、ヨーコが海として生きる、すてきだろ。
(本書より)