- 金時鐘
- [解説]佐川 亜紀
- 四六変上製 410ページ
ISBN-13: 9784865781762
刊行日: 2018/06
「行きつけないところに 地平があるのではない。おまえの立っている その地点が地平だ。」
第一詩集『地平線』ほか初期詩篇、童話、エッセイ等。
作品の背景をつぶさに語る著者インタビューを収録!!
[解説]佐川亜紀
[解題]浅見洋子
[月報]野崎六助/高田文月/小池昌代/守中高明
[推薦]鶴見俊輔・辻井 喬・金石範・高 銀・吉増剛造・四方田犬彦・鵜飼 哲・佐伯一麦
目次
●詩集 地平線
序文 小野十三郎
自序
夜を希うもののうた
薄明
新聞記事より
富士
規律の異邦人
あせた乳房
夜よ はよ来い
タロー
南の島――知られざる死に
処分法
知識
墓碑
たしかにそういう目がある
遠い日
耐乏生活
期待
驟雨
浦戸丸浮揚
子供と月
生きるってこと
齊藤金作の 死に
悪夢
梅雨の夜
眼
開票
生きのびるもの
夢みたいなこと
キャメラ
さえぎられた愛の中で
母国朝鮮に捧ぐるの歌
ふところ――生きていて下さるであろうお母さまに寄せて
夜の つぶやき
ひぐらしの 歌
流民哀歌――または?虐げられたものの歌?
春
一本の錆びた スゼ
第一回卒業生の みなさんへ
真昼
年の瀬
卓の上
飢えた日の記
在日朝鮮人
秋の歌
距離は苦痛を食っている
夏の狂詩
一九五一年六月二五日の晩餐会
巨済島
停戦譜
あなたは もう わたしを差配できない
あとがき
●未刊行詩篇
〔献詩〕中村君の“ランプ”に寄す
ある話
ヂンダレ
朝の映像――二月八日を讃う
きえた 星――スターリンのみたまに
「生活の歌特集」〔扉詩〕
降りつづく雨に――“みどりのつどい”での朗読詩
日本の判決――松川事件の最終日に寄せて
一九五三年十二月二十二日
え?
〔社会戯評〕逆また 真なり
〔社会戯評〕進化的退化論
大阪総連
一つのうた――大阪風土記(写真詩)
しらぬ火――大阪風土記(写真詩)
河口――大阪風土記(写真詩)
猟銃
●童話
セミ
なかなおり
●エッセイ
『ヂンダレ』創刊のことば
『ヂンダレ』編集後記 第一~八号、第十五号
『ヂンダレ』十五号の問題点
『カリオン』創刊にさいして
『カリオン』第一号 義眼
『カリオン』第二号 編集後記
異国の中の祖国
記憶の腑をこじる詩――鄭仁詩集『感傷周波』跋文
あとがき 金時鐘
〈インタビュー〉原点に立ちかえる――『地平線』まで (聞き手)細見和之・浅見洋子
〈解説〉在日詩の原点と世界詩の地平線――詩集『地平線』ほか初期詩篇について 佐川亜紀
〈解題〉地平線 浅見洋子
〈解題補遺〉日本における詩作の原点 細見和之
関連情報
1929年(旧暦1928年12月)朝鮮釜山に生まれ、元山市の祖父のもとに一時預けられる。済州島で育つ。48年の「済州島四・三事件」に関わり来日。50年頃から日本語で詩作を始める。在日朝鮮人団体の文化関係の活動に携わるが、運動の路線転換以降、組織批判を受け、組織運動から離れる。兵庫県立湊川高等学校教員(1973-92年)。大阪文学学校特別アドバイザー。詩人。
主な作品として、詩集に『地平線』(ヂンダレ発行所、1955)『日本風土記』(国文社、1957)長篇詩集『新潟』(構造社、1970)『原野の詩――集成詩集』(立風書房、1991)『化石の夏――金時鐘詩集』(海風社、1998)『金時鐘詩集選 境界の詩――猪飼野詩集/光州詩片』(藤原書店、2005)『四時詩集 失くした季節』(藤原書店、2010、第41回高見順賞)他。評論集に『さらされるものと さらすものと』(明治図書出版、1975)『クレメンタインの歌』(文和書房、1980)『「在日」のはざまで』(立風書房、1986、第40回毎日出版文化賞。平凡社ライブラリー、2001)他。エッセーに『草むらの時――小文集』(海風社、1997)『わが生と詩』(岩波書店、2004)『朝鮮と日本に生きる』(岩波書店、2015、大佛次郎賞)他多数。