- 金時鐘
- [解説]冨山一郎
- 四六変上製 440ページ
ISBN-13: 9784865782141
刊行日: 2019/06
現在90歳、渡日70年。益々滾る詩。
1973年2月1日を期してなくなった、日本最大の在日朝鮮人の集住地、大阪「猪飼野」に暮らす人々を描いた連作『猪飼野詩集』(1978年)ほか。
◎作品の背景をつぶさに語る著者インタビューを収録!!
【解説】冨山一郎
【解題】浅見洋子/細見和之
【月報】登尾明彦/藤石貴代/丁章/呉世宗
目次
●猪飼野詩集
見えない町
うた ひとつ
うた ふたつ
うた またひとつ
寒ぼら
日日の深みで(1)
日日の深みで(2)
日日の深みで(3)
朝鮮辛報――この届くことのない対話――
朝鮮瓦報――この置き去られる遺産――
イカイノ トケビ
果てる在日(1)
果てる在日(2)
果てる在日(3)
果てる在日(4)
果てる在日(5)
いぶる
夏がくる
影にかげる
それでも その日が すべての日
イルボン サリ(日本暮らし)
夜
へだてる風景
朝までの貌
[跋]言葉の元手(安岡章太郎)
あとがき
●未刊詩篇
風に散らした言葉のうた――故港野喜代子の詩に――
チノギの船 果てる在日(5)(異稿)
十三月がやってくる!
●エッセイ
船が埋もれてある街 ――猪飼野雑感
『季刊 三千里』編集部への手紙
「猪飼野」の暮れ
私と猪飼野と在日と、――文庫版のあとがきに代えて
●講演
展望する在日朝鮮人像――慎景桓裁判が問いかけるもの
あとがき(金時鐘)
〈インタビュー〉在日朝鮮人の源流――『猪飼野詩集』をめぐって
〈解説〉暴力的状況で確保される言葉の在処――『猪飼野詩集』を読む(冨山一郎)
〈解題〉猪飼野詩集(浅見洋子)
〈解題補遺〉「猪飼野」を生きるひとびと(細見和之)
関連情報
1929年(旧暦1928年12月)朝鮮釜山に生まれ、元山市の祖父のもとに一時預けられる。済州島で育つ。48年の「済州島四・三事件」に関わり来日。50年頃から日本語で詩作を始める。在日朝鮮人団体の文化関係の活動に携わるが、運動の路線転換以降、組織批判を受け、組織運動から離れる。兵庫県立湊川高等学校教員(1973-92年)。大阪文学学校特別アドバイザー。詩人。
主な作品として、詩集に『地平線』(ヂンダレ発行所、1955)『日本風土記』(国文社、1957)長篇詩集『新潟』(構造社、1970)『原野の詩――集成詩集』(立風書房、1991)『化石の夏――金時鐘詩集』(海風社、1998)『金時鐘詩集選 境界の詩――猪飼野詩集/光州詩片』(藤原書店、2005)『四時詩集 失くした季節』(藤原書店、2010、第41回高見順賞)他。評論集に『さらされるものと さらすものと』(明治図書出版、1975)『クレメンタインの歌』(文和書房、1980)『「在日」のはざまで』(立風書房、1986、第40回毎日出版文化賞。平凡社ライブラリー、2001)他。エッセーに『草むらの時――小文集』(海風社、1997)『わが生と詩』(岩波書店、2004)『朝鮮と日本に生きる』(岩波書店、2015、大佛次郎賞)他多数。