- ダニー・ラフェリエール著
- 小倉和子訳
- 四六上製 400ページ
ISBN-13: 9784865782349
刊行日: 2019/09
「ぼくはもう、自分の世界に住んでいない。
世界のほうがぼくの中に住み込んでいるんだ」
『ニグロと疲れないでセックスする方法』で「黒人作家」という“レッテル”を鮮やかに転倒してみせた作家ラフェリエール。ハイチでの幼年期、亡命を強いられた父、9歳でチェリーのカクテルを飲みつつアンドレ・モーロワを読んだこと、「アメリカ的自伝」と題した自作小説群……「私が何をしているのか知りたくて、私は本を書いた」。
目次
芭蕉のくにで――日本の読者へ
関連地図
本題に入る前の即興的な対話(しかしこれこそが本題)
執筆前
●生いたち
ダニー、きみはどこから来たの?
父の亡命
ハイチの学校
言葉に酔って
ポルトープランスへの旅
女の世界
登場人物たちから眺められた作家
レモンド叔母さんによる時間の概念
妹を紹介します
ひどい欠陥
ぼくはロックスターだ
●読書という体験
最初の読書
わくわくするデビュー
周囲の文化
驚異のリアリズム
ボルヘス、ボールドウィン、ブコウスキー
●書くこと
初めにタイトルありき
きみの原動力を見せてくれ
この本はぼくをたたきのめした
デュヴァリエ・サイクロン
暴力の一撃
吾輩は日本作家である
ヴィヨンがアイス・キューブと出会う場所
いかにして足跡を攪乱するか
ぼくはただで旅行する
詩的イマージュ
音楽は好きじゃない
ぼくたちに染み込むのは絵画だ
マティス、マグリット、そしてバスキア
憎しみはよい動機である
工場の時代
おれの小説、おれのたった一つのチャンス!
幼年期は子どものものだ
政治は好きじゃない
クールな顔で何かをする
フェミニズムについて
●「ぼく」って?
奴隷制の負債について
犠牲者の立場
ニグロの何がそれほど女の子たちを興奮させるのか?
準 備
戦争が始まる
誰が一五〇ページの小さな爆弾を望んでいるだろうか?
名声――もう三〇〇〇回以上も同じ質問だけど
読者の反応
ダニー・ラフェリエールを読む方法
ぼくはアメリカにいる
アフリカはぼくには存在しない
帰 郷
偉大なアメリカ的小説
有名なリスト
遠くで書くこと
本の時、過去の時、見出された時
不動性の書
閉じられた世界に面した開かれた世界
「ぼく」というのは誰なんだろう?
死は、見たくない
ハイチ的な死
そしてその中に神が?
マリア・ゴレッティに恋して
聖ユダ、絶望的な大義の守護聖人
ヴォドゥ教
ぼくの幼年期の悪魔たち
悪魔と『詩篇』第九〇篇
ぼくの友人たちはどうなったか……
血と権力
言 葉
日常は自分の能力以上のものを夢見ることを妨げる
名前が明かされ、仮面が落ちる
アメリカ的自伝
ダニー、へぼダンサーでホラティウスの読者
[附]ハイチの作家たち(訳者)/訳者解説/ダニー・ラフェリエールの家族/ダニー・ラフェリエール略年譜
関連地図
本題に入る前の即興的な対話(しかしこれこそが本題)
執筆前
●生いたち
ダニー、きみはどこから来たの?
父の亡命
ハイチの学校
言葉に酔って
ポルトープランスへの旅
女の世界
登場人物たちから眺められた作家
レモンド叔母さんによる時間の概念
妹を紹介します
ひどい欠陥
ぼくはロックスターだ
●読書という体験
最初の読書
わくわくするデビュー
周囲の文化
驚異のリアリズム
ボルヘス、ボールドウィン、ブコウスキー
●書くこと
初めにタイトルありき
きみの原動力を見せてくれ
この本はぼくをたたきのめした
デュヴァリエ・サイクロン
暴力の一撃
吾輩は日本作家である
ヴィヨンがアイス・キューブと出会う場所
いかにして足跡を攪乱するか
ぼくはただで旅行する
詩的イマージュ
音楽は好きじゃない
ぼくたちに染み込むのは絵画だ
マティス、マグリット、そしてバスキア
憎しみはよい動機である
工場の時代
おれの小説、おれのたった一つのチャンス!
幼年期は子どものものだ
政治は好きじゃない
クールな顔で何かをする
フェミニズムについて
●「ぼく」って?
奴隷制の負債について
犠牲者の立場
ニグロの何がそれほど女の子たちを興奮させるのか?
準 備
戦争が始まる
誰が一五〇ページの小さな爆弾を望んでいるだろうか?
名声――もう三〇〇〇回以上も同じ質問だけど
読者の反応
ダニー・ラフェリエールを読む方法
ぼくはアメリカにいる
アフリカはぼくには存在しない
帰 郷
偉大なアメリカ的小説
有名なリスト
遠くで書くこと
本の時、過去の時、見出された時
不動性の書
閉じられた世界に面した開かれた世界
「ぼく」というのは誰なんだろう?
死は、見たくない
ハイチ的な死
そしてその中に神が?
マリア・ゴレッティに恋して
聖ユダ、絶望的な大義の守護聖人
ヴォドゥ教
ぼくの幼年期の悪魔たち
悪魔と『詩篇』第九〇篇
ぼくの友人たちはどうなったか……
血と権力
言 葉
日常は自分の能力以上のものを夢見ることを妨げる
名前が明かされ、仮面が落ちる
アメリカ的自伝
ダニー、へぼダンサーでホラティウスの読者
[附]ハイチの作家たち(訳者)/訳者解説/ダニー・ラフェリエールの家族/ダニー・ラフェリエール略年譜
関連情報
――でも、ぼくは常に書いていた。とくに、書くようになる前はね。ぼくの考えでは、人は書く前のほうが作家なんだ。書きはじめたときには、もう終わっている。書くという行為は、他人と自分自身を見る一つの方法なんだ。
――人は他人を見ている自分を見るんだ。書くずっと前に文体を手に入れているのさ。
――文体をもっていなければ、練ってもあまり役に立たないな。よい本を書くにも、悪い本を書くにも同じくらいエネルギーを使うからね。
(本書より)
【著者紹介】
●ダニー・ラフェリエール(Dany Laferrière)
1953年,ハイチ・ポルトープランス生まれ。小説家。4歳の時に父親の政治亡命に伴い,危険を感じた母親によってプチ=ゴアーヴの祖母の家に送られる。彼にとっての「最初の亡命」であり,創作の原点と後に回想。若くしてジャーナリズムの世界に入るも,23歳の時に同僚が独裁政権に殺害されたため,カナダ・モンレアルに移住。1985年,処女作である『ニグロと疲れないでセックスする方法』(邦訳藤原書店刊)で話題を呼ぶ(89年に映画化。邦題『間違いだらけの恋愛講座』)。90年代はマイアミで創作活動。2002年より再びモンレアル在住。『エロシマ』(87年。邦訳藤原書店),『コーヒーの香り』(91年),『甘い漂流』(94年。邦訳藤原書店),『終わりなき午後の魅惑』(97年),『吾輩は日本作家である』(08年。邦訳藤原書店),『帰還の謎』(09年,モンレアルの書籍大賞,フランスのメディシス賞受賞。邦訳藤原書店)など作品多数。2010年にはハイチ地震に遭遇した体験を綴る『ハイチ震災日記』(邦訳藤原書店)を発表した。その他,映画制作,ジャーナリズム,テレビでも活躍している。2013年12月よりアカデミー・フランセーズ会員。
【訳者紹介】
●小倉和子(おぐら・かずこ)
1957年生。東京大学大学院博士課程単位取得退学。パリ第10大学文学博士。現在,立教大学異文化コミュニケーション学部教授,日本ケベック学会顧問。現代フランス文学・フランス語圏文学専攻。著書に『フランス現代詩の風景』(立教大学出版会),『遠くて近いケベック』(御茶の水書房,共編著),訳書にデュビィ,ペロー編『「女の歴史」を批判する』,コルバン『感性の歴史家 アラン・コルバン』,サンド『モープラ』,ラフェリエール『帰還の謎』『甘い漂流』(以上藤原書店)他。
――人は他人を見ている自分を見るんだ。書くずっと前に文体を手に入れているのさ。
――文体をもっていなければ、練ってもあまり役に立たないな。よい本を書くにも、悪い本を書くにも同じくらいエネルギーを使うからね。
(本書より)
【著者紹介】
●ダニー・ラフェリエール(Dany Laferrière)
1953年,ハイチ・ポルトープランス生まれ。小説家。4歳の時に父親の政治亡命に伴い,危険を感じた母親によってプチ=ゴアーヴの祖母の家に送られる。彼にとっての「最初の亡命」であり,創作の原点と後に回想。若くしてジャーナリズムの世界に入るも,23歳の時に同僚が独裁政権に殺害されたため,カナダ・モンレアルに移住。1985年,処女作である『ニグロと疲れないでセックスする方法』(邦訳藤原書店刊)で話題を呼ぶ(89年に映画化。邦題『間違いだらけの恋愛講座』)。90年代はマイアミで創作活動。2002年より再びモンレアル在住。『エロシマ』(87年。邦訳藤原書店),『コーヒーの香り』(91年),『甘い漂流』(94年。邦訳藤原書店),『終わりなき午後の魅惑』(97年),『吾輩は日本作家である』(08年。邦訳藤原書店),『帰還の謎』(09年,モンレアルの書籍大賞,フランスのメディシス賞受賞。邦訳藤原書店)など作品多数。2010年にはハイチ地震に遭遇した体験を綴る『ハイチ震災日記』(邦訳藤原書店)を発表した。その他,映画制作,ジャーナリズム,テレビでも活躍している。2013年12月よりアカデミー・フランセーズ会員。
【訳者紹介】
●小倉和子(おぐら・かずこ)
1957年生。東京大学大学院博士課程単位取得退学。パリ第10大学文学博士。現在,立教大学異文化コミュニケーション学部教授,日本ケベック学会顧問。現代フランス文学・フランス語圏文学専攻。著書に『フランス現代詩の風景』(立教大学出版会),『遠くて近いケベック』(御茶の水書房,共編著),訳書にデュビィ,ペロー編『「女の歴史」を批判する』,コルバン『感性の歴史家 アラン・コルバン』,サンド『モープラ』,ラフェリエール『帰還の謎』『甘い漂流』(以上藤原書店)他。