- 張鑫鳳=編
- 四六上製 200頁
ISBN-13: 9784865782585
刊行日: 2020/03
親鸞『教行信証』の中国語訳をなしとげた著者が、現在の『歎異抄』解釈を覆す!
親鸞と格闘した野間宏の文学を通して親鸞と出会った中国出身の著者が、原文、読下し、現代日本語訳、中国語訳(大陸・簡体字)、中国語訳(台湾・繁体字)をなしとげ、新しい解釈を示し、親鸞の真髄に迫る野心作。
本翻訳は次のような特徴がある。
(1)『教行信証』を視座(まなざしの出発点)に、『歎異抄』の中国語訳を視点(まなざしの到達点)にする翻訳である。『教行信証』に響きあう書として、『歎異抄』の内容を受け止める。
(2)漢字の語源的な意味をさぐり、言葉の仏教用語としての意味を明らかにし、言葉に含まれた中国の歴史文化・古典・典故の意味を解釈するという『教行信証』の中国語訳の体験をふまえて、『歎異抄』の言葉を『教行信証』の翻訳の中で明らかにされた深意に添って解釈する。
(3)『歎異抄』で語られる肝心の言葉が、『教行信証』とどう響きあっているか、言葉が親鸞思想の神髄を表す意味を丁寧に解釈した。
(4)敢えて伝統的な『歎異抄』の現代語訳を覆すところが数多くある。例えば、通常、「異なることを嘆く」と訳されている「歎異」を「不可思議を讃嘆する」と解釈するところである。「慶所聞、嘆所獲(聞く所を慶び、獲る所を嘆ずる」という『教行信証』が伝えている十八願の大悲の心を根拠にし、漢字語源にも基づき、「歎」を「感歎」と訳し、「歎異」を「不可思議を讃嘆する」と訳した。
【目次】
まえがき
歎異抄
叹异抄(中国語簡体字)
歎異抄(中国語繁体字)
【著者紹介】
●張鑫鳳(チャン・シンフォン)
中国・長春生まれ。少女時代と青春時代に文化大革命を体験した。その後、下放。農村教師・工場労働者を経て、文革後、大学に入学。中国文学専攻。中国の伝統文化と西洋文化を学ぶ時期を経て、独学の日本語で日本文学の翻訳に取り組む。日本の作家に導かれて親鸞思想と出会い、現在、親鸞思想の研究を続けている。著書に『中国医師の娘が見た文革』(2000年)『旧満洲の真実』(2014年、いずれも藤原書店)他。