文明開化に抵抗した男 佐田介石 1818-1882

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  • 春名徹 著
  • 四六上製 480頁
    ISBN-13: 9784865783209
    刊行日: 2021/8

敢然と「天動論」を唱導した異貌の僧、初の本格評伝

「我日本に固有する品に非れば、開化致され難し。」
仏教的天動説や自給自足論、「ランプ亡国論」を唱導した、幕末・維新期の僧侶にして思想家、佐田介石。その生涯と言動を通じ、圧倒的な西洋化に蹂躙される近代日本の苦闘を裏面から照射する。


目次

 はじめに
 プロローグ 真夏の狂宴――博覧会と須弥山宇宙

第Ⅰ部 それでも大地は平らである 1818-1867
 第1章 生い立ち――肥後の神童
 第2章 視実等象という発明――等象斎介石の誕生
 第3章 地球説との論争――アジア的抵抗あるいは阿Q的勝利
 第4章 政治的沸騰のなかで――建白という選択

第Ⅱ部 近代は土足でやって来た 1868-1875
 第5章 疑わしい維新――『窃試』の世界
 第6章 仏たちの明治維新――富山藩合寺事件
 第7章 首都へ――都市の誘惑
 第8章 王道と仏法――三条教則と『教諭凡』、『教諭凡道案内』
 第9章 明治七年、建白の年――介石の弁舌、植野常備の剣、樽井藤吉のアジアへの夢
 第10章 固有の品物でなければ開化することはできない――「二十三題建白」
 第11章 清国、朝鮮征すべからず――台湾出兵と江華島事件
 第12章 仏教の国益――「諸寺院連名建白」
 第13章 金星過日――抵抗する仏教天文学
 第14章 政治的言説の方向――木戸孝允との決別

第Ⅲ部 建白から説法へ 1875-1881
 第15章 言論への道――『世益新聞』という試み
 第16章 開化の須弥山
 第17章 言論の変質――『点取交通論』
 第18章 天の秩序 地の権威
 第19章 転 宗――「桑門の浪人」として
 第20章 流転する言説――造酒万益、ランプ亡国
 第21章 コレラと官憲
 第22章 ランプ亡国論の展開

第Ⅳ部 旅路の果て 1882
 第23章 鉄路の彼方の千年王国――介石のアジアそして義和団
 第24章 修羅のごとく、聖者のごとく
 第25章 越後の雪

 エピローグ 棺を覆いて――死後の反響
 あとがき

 佐田介石関連地図
 佐田介石関連系図
 佐田介石 略年譜(1818-1882)
 佐田介石 建白一覧
 佐田介石 著作一覧(刊行順)
 人名索引

関連情報

佐田介石(さた・かいせき)とは――
1818-1882年。西欧の影が次第に大きくなる文政年間に熊本の寺に生まれ、幕末明治の激動期を経て、明治政権が西欧的なものを追い求める時代を経験した。まず須弥山中心の仏教的な宇宙論に迫る西欧地動説の脅威のもと、京都で瞑想生活を送ること十余年。「視実等象」という理論を考え出したときには40歳、周囲は佐幕勤皇の政治闘争のなかにあった。政治的建白にとりつかれ、幕末から明治初年には多くの政治的な提言を行った。他方で、須弥山中心の宇宙を機械仕掛けの模型で表現、明治10年の第一回内国勧業博覧会へ担ぎ込んで仏教的原理主義者の本領を発揮した。
晩年は舶来品排撃、国産品愛用の経済学を展開、民衆へ直接、語りかける。各地で巡回講演を重ね、旅に病んで雪の越後高田で死す。65歳。土足で踏み込んでくる西欧近代との戦いの生涯であった。(カバーソデ紹介より)

著者紹介

●春名徹(はるな・あきら)
作家、歴史研究者。
1935年東京生まれ。
1959年東京大学文学部東洋史学科卒業。『にっぽん音吉漂流記』(晶文社、1978年)で大宅壮一ノンフィクション賞。著書『北京――都市の記憶』(岩波新書、2008年)『細川三代――幽斎・三斎・忠利』(藤原書店、2010年)など。論文「東アジアにおける漂流民送還体制の成立」『調布日本文化』4号(調布学園短期大学、1994年)など。
神奈川文学振興会(神奈川近代文学館)評議員、日本海事史学会理事、南島史学会・熊本近代史研究会各会員。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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