- 西舘好子 著
- 装丁=司 修
- A5上製 288頁
ISBN-13: 9784865783216
刊行日: 2021/9
あなたの心の中に、青空はありますか?
子ども時代をふり返ることは、
未来に向かうこと。
戦争中は死につながっていた空は、
戦後、希望に満ちた平和の青空になった。
今こそ、子ども時代の大切さを謳う。
目次
思い出した風景――プロローグにかえて
東日本大震災と敗戦直後の「子ども時代」
“生活”があった子ども時代
私を育ててくれた浅草橋と小名浜
第1章 「かもじや」のよしこちゃん
「かもじや」のよしこちゃん
「かもじや」って、なあに?
滋賀県にあるかもじ神社
本当はとてもつらい、「かもじや」修業
わたしの誕生――期待に反して女の子
第2章 疎開先の小名浜での日々
疎開先、小名浜――私の原点・人生の出発点
万歳、終戦だ
祖母ヂュウと義理の祖父にあたる運賀金次郎
ふたりのおばあちゃん
帰京、さあ帰ろう――浅草橋三丁目三五番地
第3章 新たな浅草橋の生活
最初の仕事は防空壕の穴埋めから
玉音放送
歯が空を飛んでいく
あっという間に友だちができた
神田川を見つめつづける蛸じいちゃん
第4章 学校と家族の光景
台東区立育英小学校に入学
美人で優しい受持ちの先生
「登校拒否」という言葉はなかった
混声不一致な音楽の授業
戦時中の間引き住宅政策と私の家
道路だって使っちゃえ――浅草橋教会の出発
「蛇善」――蛇の恐怖幻想
アメ横、闇市、売春婦
娼婦のレイちゃん
第5章 父の生きざま
“江戸っ子”父ちゃん――父の原点とその風景
関東大震災と被服廠
語り部としての父の話
若き母の遺言を胸に
第6章 浅草田原町の父の店
浅草田原町に仕事場をかまえる
自分の庭のような浅草
娯楽のメッカ、浅草六区
第7章 「かもじや」の客たち
父の江戸弁――はしょって間がよくて、江戸の財産は言葉なのだ
本当は三社の氏子でいたかった
「かもじや」に来た柳家金語楼
新内の岡本文弥の達観
父のペンキ狂と母の植木好き
祖母のちょんちょん髷
記憶力という特技を生かして
第8章 露地と原っぱは子どもの世界
鳥越神社の千貫神輿と両国橋の川開き
サーカスにさらわれたい「困った子ども」
わが家の三グループ――父と私、姉と祖母、妹と母
私は街っ子――露地と原っぱ
懐かしい駄菓子屋――「こどもや」
弁天湯、まるで多くの女のカタログを見るような
街にいた名物おばあさん
大工と左官屋の喧嘩
ご贔屓合戦――寿司屋、蕎麦屋
第9章 浅草界隈Ⅰ――人間さまざま
着物と私――祖母の審美眼に学ぶ
“粋”と“いなせ”を考える
下町では、人に会わない日はない
私服刑事、カンノさんの初恋
茶の間という常連さんの社交場
べったら市の夜 お酉さまの夜
正月前は、父にとっては地獄の日々
兵隊仲間のチンドン屋
正月の日々と寺社めぐり
らいぎょの釣り堀で七歳のアルバイト
エープリル・フールで一騒動
「お大尽」への違和感
食べ物で人は気を許す
第10章 浅草界隈Ⅱ――遠景・近景
父は江戸っ子で芝居好き
母は小名浜育ちで、福島弁が消えず
男は正装、女は割烹着で宮城参拝
キャピー原田中佐と暁テル子の結婚
美空ひばりとの遭遇
父の尋常小学校仲間で創った「一行会」
柳橋の雨降り友だち
下地っ子のみごとな姿
早稲田の学生演劇で初めての子役
小学校卒業、気がつけば街は
貧しさってなんだ
あとがき
東日本大震災と敗戦直後の「子ども時代」
“生活”があった子ども時代
私を育ててくれた浅草橋と小名浜
第1章 「かもじや」のよしこちゃん
「かもじや」のよしこちゃん
「かもじや」って、なあに?
滋賀県にあるかもじ神社
本当はとてもつらい、「かもじや」修業
わたしの誕生――期待に反して女の子
第2章 疎開先の小名浜での日々
疎開先、小名浜――私の原点・人生の出発点
万歳、終戦だ
祖母ヂュウと義理の祖父にあたる運賀金次郎
ふたりのおばあちゃん
帰京、さあ帰ろう――浅草橋三丁目三五番地
第3章 新たな浅草橋の生活
最初の仕事は防空壕の穴埋めから
玉音放送
歯が空を飛んでいく
あっという間に友だちができた
神田川を見つめつづける蛸じいちゃん
第4章 学校と家族の光景
台東区立育英小学校に入学
美人で優しい受持ちの先生
「登校拒否」という言葉はなかった
混声不一致な音楽の授業
戦時中の間引き住宅政策と私の家
道路だって使っちゃえ――浅草橋教会の出発
「蛇善」――蛇の恐怖幻想
アメ横、闇市、売春婦
娼婦のレイちゃん
第5章 父の生きざま
“江戸っ子”父ちゃん――父の原点とその風景
関東大震災と被服廠
語り部としての父の話
若き母の遺言を胸に
第6章 浅草田原町の父の店
浅草田原町に仕事場をかまえる
自分の庭のような浅草
娯楽のメッカ、浅草六区
第7章 「かもじや」の客たち
父の江戸弁――はしょって間がよくて、江戸の財産は言葉なのだ
本当は三社の氏子でいたかった
「かもじや」に来た柳家金語楼
新内の岡本文弥の達観
父のペンキ狂と母の植木好き
祖母のちょんちょん髷
記憶力という特技を生かして
第8章 露地と原っぱは子どもの世界
鳥越神社の千貫神輿と両国橋の川開き
サーカスにさらわれたい「困った子ども」
わが家の三グループ――父と私、姉と祖母、妹と母
私は街っ子――露地と原っぱ
懐かしい駄菓子屋――「こどもや」
弁天湯、まるで多くの女のカタログを見るような
街にいた名物おばあさん
大工と左官屋の喧嘩
ご贔屓合戦――寿司屋、蕎麦屋
第9章 浅草界隈Ⅰ――人間さまざま
着物と私――祖母の審美眼に学ぶ
“粋”と“いなせ”を考える
下町では、人に会わない日はない
私服刑事、カンノさんの初恋
茶の間という常連さんの社交場
べったら市の夜 お酉さまの夜
正月前は、父にとっては地獄の日々
兵隊仲間のチンドン屋
正月の日々と寺社めぐり
らいぎょの釣り堀で七歳のアルバイト
エープリル・フールで一騒動
「お大尽」への違和感
食べ物で人は気を許す
第10章 浅草界隈Ⅱ――遠景・近景
父は江戸っ子で芝居好き
母は小名浜育ちで、福島弁が消えず
男は正装、女は割烹着で宮城参拝
キャピー原田中佐と暁テル子の結婚
美空ひばりとの遭遇
父の尋常小学校仲間で創った「一行会」
柳橋の雨降り友だち
下地っ子のみごとな姿
早稲田の学生演劇で初めての子役
小学校卒業、気がつけば街は
貧しさってなんだ
あとがき
関連情報
あの敗戦後の貧しさや辛さを二度と味わいたくはないはずなのに、なぜかあの頃の記憶が宝石のようにきらきら輝く。家族がいて、友だちがいて、地域があって、ぬくもりに満たされていた。そこには、「人という宝物」を伝えようとしていた“生活”があったのではないだろうか。
そしていつも思う。最も幸せであるべき「子ども時代」とはなんだろう。それは、いつまでも取り出せる宝物を作ってくれた、多くの人たちの人生のノートに出合うことではないだろうか。人は子ども時代に生きざまを学び、盗み、傷つきながら生かす知恵を授かる。堂々と受け取ればいい。その中から「幸せ」というエキスを取り出していけばいいのだ。
(本文より)
そしていつも思う。最も幸せであるべき「子ども時代」とはなんだろう。それは、いつまでも取り出せる宝物を作ってくれた、多くの人たちの人生のノートに出合うことではないだろうか。人は子ども時代に生きざまを学び、盗み、傷つきながら生かす知恵を授かる。堂々と受け取ればいい。その中から「幸せ」というエキスを取り出していけばいいのだ。
(本文より)
著者紹介
●西舘好子(にしだて・よしこ)
1940年10月5日、東京市浅草区生まれ。かもじ職人内山東太郎と日出の次女。戦時中は福島県小名浜に疎開。大妻高等学校を卒業後、電通に勤務。61年、井上ひさしと結婚、三女をもうける(86年離婚)。82年に劇団こまつ座、89年に劇団みなと座を主宰、演劇のプロデュースを数多く手がける。85年、第20回紀伊國屋演劇賞団体賞、95年スポーツニッポン文化大賞を受賞。30年に及ぶ演劇活動に加えて、DV、子供の虐待、女性問題に関する活動などに精力的に取り組む。2000年、日本子守唄協会(2002年にNPO法人認可。2020年、日本ららばい協会に改称)を設立(現在、理事長)。“子守唄”を現代に生かすことに取り組んでいる。
著書に『小名浜ストーリー』(文園社、1988年)『修羅の住む家』(はまの出版、1998年)『「子守唄」の謎』(祥伝社、2004年)『うたってよ子守唄』(小学館、2005年)『表裏井上ひさし協奏曲』(牧野出版、2011年)『血縁という力』(海竜社、2015年)ほか。編書に『子守唄よ、甦れ』(藤原書店、2005年)ほか。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです
1940年10月5日、東京市浅草区生まれ。かもじ職人内山東太郎と日出の次女。戦時中は福島県小名浜に疎開。大妻高等学校を卒業後、電通に勤務。61年、井上ひさしと結婚、三女をもうける(86年離婚)。82年に劇団こまつ座、89年に劇団みなと座を主宰、演劇のプロデュースを数多く手がける。85年、第20回紀伊國屋演劇賞団体賞、95年スポーツニッポン文化大賞を受賞。30年に及ぶ演劇活動に加えて、DV、子供の虐待、女性問題に関する活動などに精力的に取り組む。2000年、日本子守唄協会(2002年にNPO法人認可。2020年、日本ららばい協会に改称)を設立(現在、理事長)。“子守唄”を現代に生かすことに取り組んでいる。
著書に『小名浜ストーリー』(文園社、1988年)『修羅の住む家』(はまの出版、1998年)『「子守唄」の謎』(祥伝社、2004年)『うたってよ子守唄』(小学館、2005年)『表裏井上ひさし協奏曲』(牧野出版、2011年)『血縁という力』(海竜社、2015年)ほか。編書に『子守唄よ、甦れ』(藤原書店、2005年)ほか。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです