- 野尻亘 著
- A5上製 552頁
ISBN-13: 9784865784558
刊行日: 2025/3
「地政学」の根本をなす「生の空間」概念の提唱者、地理学者・生物学者 ラッツェルとは何者か?
「生の空間」概念の核心を、19世紀生物学、自然哲学、歴史哲学との関係から解き明かし、批判的に検証、最新のラッツェル再評価の動向を視野に収め、現代地理学のありようをも問い直す野心的労作!
目次
はじめに
第Ⅰ部 地政学の形成と「生の空間」
1 近代地理学の誕生とラッツェルの「生の空間」
2 「地政学」の背景としての進化論
3 ヘッケルの有機体思想――「生の空間」概念の基盤
4 ラッツェルの「生の空間」概念の確立
5 ドイツ観念論を背景としたラッツェルの地政学
第Ⅱ部 現代思想につながる地政学
――ハイデガーに影響を与えたユクスキュルの「環世界」――
6 和辻哲郎とハイデガー――現象学と有機体論
7 ハイデガーの空間概念とその現象学的視点
8 ハイデガーに影響を与えた ユクスキュル「環世界」概念と『国家生物学』
9 ユクスキュルの生物学がフランスの現代思想家に与えた影響
――メルロ=ポンティからドゥルーズへ――
終章 カオスの中での地政学の系譜
〈補論一〉「生の空間」と「環世界」
〈補論二〉地理学はどこへ――地域から場所へ
謝辞/引用文献/欧文要旨/主要人名索引
第Ⅰ部 地政学の形成と「生の空間」
1 近代地理学の誕生とラッツェルの「生の空間」
2 「地政学」の背景としての進化論
3 ヘッケルの有機体思想――「生の空間」概念の基盤
4 ラッツェルの「生の空間」概念の確立
5 ドイツ観念論を背景としたラッツェルの地政学
第Ⅱ部 現代思想につながる地政学
――ハイデガーに影響を与えたユクスキュルの「環世界」――
6 和辻哲郎とハイデガー――現象学と有機体論
7 ハイデガーの空間概念とその現象学的視点
8 ハイデガーに影響を与えた ユクスキュル「環世界」概念と『国家生物学』
9 ユクスキュルの生物学がフランスの現代思想家に与えた影響
――メルロ=ポンティからドゥルーズへ――
終章 カオスの中での地政学の系譜
〈補論一〉「生の空間」と「環世界」
〈補論二〉地理学はどこへ――地域から場所へ
謝辞/引用文献/欧文要旨/主要人名索引
関連情報
「国家はそのあらゆる発展の段階において自然有機体とみられねばならぬ。国家は人類の一片であるとともにまた組織された土地の一片である。このような考えの基礎理論として『生の空間(Lebensraum)』をとるべきであろう。(略)衣食住の活動はすべて空間征服である。かくして生物はすべて空間と結合せられているが、それゆえ逆に空間が生に、はたらきかける。」(和辻哲郎『風土』)これは和辻哲郎が『風土』の終章「風土学の歴史的考察」において、カント、ヘルダー、ヘーゲル、マルクスとならんで、ラッツェルの「生の空間」について言及した部分である。この19世紀後半から20世紀初頭のラッツェルの「生の空間」概念が、今日流行する「地政学」の理論の原点であることは、ほとんど知られていない。この「生の空間」とはどのような思想なのだろうか。
(「はじめに」より)
著者紹介
●野尻亘(のじり・わたる)1958年大阪市生。1988年大阪市立大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。1995年文学博士(大阪市立大学)。1988年新潟大学教育学部助手、1989年新潟大学大学院教育学研究科助教授。1997年桃山学院大学文学部教授、2002年桃山学院大学経済学部教授。2023年桃山学院大学名誉教授。
専門:人文地理学・経済地理学。地理学における生態学的方法論とレギュラシオン理論、ポストフォーディズム論、進化経済学を応用した物流システムの空間構造を研究。
主著:『日本の物流――産業構造転換と物流空間』古今書院、1997年。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです