- 菊大並製 464ページ
ISBN-13: 9784894342927
刊行日: 2002/07
新しい時代に向けてトータルな知の総合を企図する学芸総合誌
日本近現代史も、戦後東アジア史も、満洲・満洲国を抜きにしてはその本質を捉えられない。
目次
満洲・満洲国をいかに捉えるべきか
山室信一
満洲をめぐる国際関係
三輪公忠
「満洲国」 【ある歴史の終り、そして新たな始まり】
山本有造
歴史のなかの“満洲”
中見立夫
■周辺地域にとっての満洲
ロシアにとっての満洲
和田春樹
ユダヤ人、白系ロシア人にとっての満洲 【ハルビンで育って】
ヤン・ソレッキー
モンゴルにとっての満洲
フフバートル
満洲にわたった朝鮮民族
金賛汀
朝鮮民族の分断と満洲
鶴嶋雪嶺
■中国にとっての満洲
「満洲」における思想弾圧の歳月
呂元明
陋室懐旧録
陳テイ
中国現代文学史上欠かせない一章
【東北における被占領時期の左翼文学・活動をめぐって】
劉慧娟+徐謙
「満洲国」の女性作家、梅娘を読む
岸陽子
■満洲とは何か
“満洲”という地をめぐる歴史
小峰和夫
満洲における諸民族の支配
ユ・ヒョヂョン
樹状組織と網状組織の運動特性の違いについて
【市場構造から見た満洲】
安冨歩
清朝の残響 【喪の物語としての精神史】
能澤壽彦
■文化の先進地だった満洲
長谷川四郎における<満洲>への視座 【長城、収容所、戦後】
川崎賢子
大連のアヴァンギャルドと北川冬彦
和田博文
法という観念から見た満映の特異性と甘粕正彦
山口猛
屹立する異貌の博物館 【満洲国国立中央博物館】
犬塚康博
写真のユートピア 【淵上白陽と満洲写真作家協会】
飯沢耕太郎
■満洲で日本は何をやったのか
満洲国政府の建築
西澤泰彦
日本の満洲経営と新聞
李相哲
写真に見る「満洲」イメージ
西原和海
「観光楽土」としての満洲 【帝国の「野外劇場」】
高媛
植民地主義と医学 【開拓医学と満州】
飯島渉
「満洲国」の経済遺産をどうとらえるか
【鞍山鉄鋼所から見た中国東北経済の連続性と断続性】
松本俊郎
■満洲国に生きた人々
“実験場”にされた「満洲」の天国と地獄
富永孝子
「満洲移民」の問いかけるもの
蘭信三
満洲に送られた被差別部落
高橋幸春
公娼制度の定着と婦人救済運動 【二十世紀初頭大連において】
竹村民郎
小特集 満鉄の研究
後藤新平と満洲
釈文・西宮紘
「満洲経営策便概」(一九〇五年)
「台湾統治ニ関シ訓示シ部下官僚ニ贈言セシ覚書」(一九〇六年)
「都督府制度ニ関スル談話覚書」(一九〇七年)
日本鉄道史のなかの満鉄
原田勝正
満鉄調査部と戦後日本
小林英夫
戦後中国大陸に生きた満鉄技術者たち
杉田望
<エッセイ>
満鉄映画とは何だったのか
モヤ・マリア・デ・ロス・アンヘレス
<エッセイ>
木崎さと子/羽田澄子/別役実/王音/金寿奉/張シンフォン
◆特別寄稿
<新連載>
鶴見和子―多田富雄 往復書簡
鶴見和子から多田富雄へ
第1回 自己と非自己について
<編集長インタビュー>
音楽をめぐって――「ジャル」と「もののあわれ」
ピアニスト 遠藤郁子
◆寄稿
歴史的転換点に立つメキシコ
北条ゆかり
アメリカの安全保障政策はどうあるべきか
【大国主義における「パーキンソン法則」の陥穽】
J-M・クワコウ
◇連載 東洋について 6
「東亜」概念と儒学
子安宣邦
◇連載 ブローデルの「精神的息子」たち 9
アラン・コルバン 【心性史から感性の歴史へ】
聞き手 I・フランドロワ(尾河直哉=訳)
◇連載 徳富蘇峰宛書簡 10
柳田國男
高野静子
◇鶴見和子の歌 「分類学」
◇石牟礼道子の句 「水村紀行」