- 杉原四郎
- A5上製 624ページ
ISBN-13: 9784894343207
刊行日: 2003/1
すぐれた透察力と暖かい心情
資本主義の科学的分析を成し遂げ、人間的社会の創造を展望し得た巨人マルクスの原像の核心を経済本質論に見据え、エンゲルス、ミルとの比較のなかからマルクスの原像に全体的・立体的に迫る労作。口絵付。
(月報:梅沢直樹・元田厚生・大野英二・重田晃一)
目次
本著作集の刊行について
I マルクス経済学の基本性格
1 マルクス経済学の発端 ―― エンゲルス 「経済学批判大網」 (1844年) の分析
2 マルクス経済学の定礎 ―― マルクス 「経済学・哲学手稿」 (1844年) の意義
3 マルクス経済学の確立 ―― 1850年代における絶対的剰余価値論の成立
4 マルクス経済学の基軸 ―― 『資本論』 の基礎範疇としての必要労働と剰余労働
II マルクス経済学の形成
1 経済学批判としての経済学
a マルクス経済学の定礎・確立・完成
b 19世紀前半の経済学の状態
c 社会主義思想と経済学批判
2 マルクス経済学の発端
a 青年ヘーゲル派とマルクス
b 哲学研究から経済学研究へ
c 経済学を通じてのマルクス・エンゲルスの結合
3 労働疎外論とその発展
a 「経済学・哲学手稿」 の労働疎外論
b 労働疎外論から史的唯物論へ
c 労働の疎外の二つの側面
4 恐慌と革命の経済学
a 共産主義者同盟とドイツ三月革命
b 『共産党宣言』 の恐慌論
c ロンドンとマンチェスターとの分業的協業
5 『経済学批判』 体系への歩み
a 第一期 (1850-1851年)
b 第二期 (1852-1856年)
c 第三期 (1856-1859年)
6 『経済学批判』 体系の基本構想
a 史的唯物論とその問題点
b 経済学批判体系プラン
c 経済学批判体系の方法論的基礎
7 『経済学批判』 体系の論理構造
a 価値法則について
b 剰余値法則について
c 基本蓄積法則について
8 『資本論』 体系への歩み
a 『経済学批判』 体系から 『資本論』 体系へ
b 「資本の生産過程」 の理論的深化
c 「資本の流通過程」、 「資本と利潤」 の理論的深化
9 『剰余価値学説史』 の意義
a 『剰余価値学説史』 から 『資本論』 第四部へ
b スミスおよびリカードウの学説批判
c 絶対地代論の確立と 「資本と利潤」 の構成変化
10 『資本論』 体系の基本性格
a 経済学原理としての 『資本論』
b 『資本論』 体系の論理構造
c 『資本論』 における恐慌論と労働疎外論
結 語
〈エッセイ〉 戦中派とマルクス
III 経済の本質と労働
1 経済の本質と発展
a 経済の本質とその構造
b 経済発展の基本原則
c マルクスの資本主義経済像
2 経済本質論の展開
a 時間の経済
b 労働と欲求
c 富の概念
3 経済本質論と 『資本論』
a 価値・剰余価値論
b 自由と必然
4 マルクス経済学と経済本質論
a マルクス経済学の特質
b 経済本質論の形成と発展
c 経済の本質に関する参考文献
5 マルクスと時間
a 唯物史観と歴史的時間
b 存在論的な時間
c 『資本論』 の時間論的展開
d 戦前の研究
e 戦後の研究
f 問題点 ―― 二種の時間 (領域) の関連
6 マルクスにおける経済学と国家論
a 1840年代 ―― 『政治学・経済学批判』 プランを中心に
b 1850年代における政治論・経済学研究
c 経済学批判体系と国家論
d 『資本論』 における国家論
e 外国での研究動向にふれて
7 労働節約法則と価値人類犠牲説
〈エッセイ〉 大英博物館とマルクス
IV マルクス・エンゲルス問題
1 晩年のマルクスの諸業績
a 『資本論』 体系の完成への努力
b 改良主義的思想への批判 ミル批判 / ラッサール批判 / デューリング批判
c 独占資本主義への展望
2 晩年のマルクスの研究動向
a 晩年のマルクスの問題意識
b 科学技術の発展に対する関心
c アメリカの発展に関する研究
3 晩年のエンゲルスの諸業績
a マルクス死後のエンゲルスの重要
b 独占資本主義段階の諸現象の研究
c 株式会社・証券取引所に関する問題意識
4 ムーア 『マルクスにおける三つの革命論』
5 エンゲルスの統一的全体像をもとめて ―― わが国のエンゲルス研究史の素描
はしがき
a 明治末期 b 大正時代 c 大正末期
d 昭和前期 e 昭和後期 f 初期エンゲルス研究
g 後期エンゲルス研究
6 T・カーヴァー 『エンゲルス』
V 新マルクス・エンゲルス全集
1 新メガ (MEGA) の先駆・旧メガと著作集
a 旧メガ (MEGA)
刊行の経過 / 各巻の内容 / 刊行の意義 / MEGAと改造社版全集
その他の邦訳 / リプリント
b 著作集 (MEW)
2 新メガの発刊
3 『全集』 と 『年報』 と 『研究紀要』
a 新 『全集』 の刊行状況と定期刊行物 『年報』・『紀要』
b 『年報』 第一巻
c 『紀要』 第一・二号
解説 / あとがき / 初出一覧 / 人名索引 (外国人名・日本人名)