- 杉原四郎
- A5上製 576ページ
ISBN-13: 9784894343474
刊行日: 2003/07
著者積年のミル研究を集成
「唯一の確実で永続的な進歩の源泉は自由である。」(J・S・ミル)──ミルを経済学者としてしか見なかった従来の研究を批判し、ミル経済学の根底にある「社会哲学」を重視して包括的なミル研究の発展につとめてきた著者の、積年の成果を集成。
(月報: 山﨑怜・山下重一・松井名津・深貝保則)
目次
本著作集の刊行について
一 J・S・ミルと現代
1 自由と進歩
a ミルと婦人解放運動 b ミルの政治思想 ―― 「発展的民主主義」
c ミルの経済学と社会哲学 d 過度期の思想家 e ミルへの現代的関心
f ミルの社会主義論 g 資本主義と共産主義 h 思想と言論の自由
i 個性の尊重
2 自然・人間・労働
a ナチュラリスト・ミル b スミスとマルサス c エンゲルスとマルサス
d 自然と人間 e 土地保有改革運動 f フロイトとミル
g 比較経済体制論の源流 h 労働の問題 i 競争の問題
3 社会主義の問題
a ミル社会主義論の思想的基盤 ―― ミルの略年譜とその一註解
b マルクスによるミル批判 ―― 二つの社会主義の対比
c 晩年のミルによる社会主義の批判 ―― 遺稿 「社会主義論」 (1869―1873年) の吟味
〈エッセイ〉 ミルと日本人
二 イギリス思想史とJ・S・ミル
1 イギリス経済思想史
a クラブ・レヴュー・大学
b ロンドン統計教会と 『エコノミスト』
c 近代経済学の胎動
2 J・S・ミルの利潤論 ―― イギリス経済思想史の一齣
a 利潤起源論
b 利潤権利論
c 利潤変動論
d ミルの企業者論
3 ミルの人口思想と貿易問題
a ミルの人口思想 ―― 『ブラック・ドゥオーフ』 誌上での論争を中心に
b 二人の主張の基本的出発点の相違
c ミルの改革についての基本的態度
d ミルの人口思想の根底にある人間観
e ミルの自由貿易・保護主義・植民論 ―― 自由貿易帝国主義の胚胎
〈エッセイ〉 トロントのタンポポ
三 ミル・マルクス問題
1 ミル・マルクス問題の提起
a ミルとマルクスの思想に共通するもの
b ミル・マルクス問題に関連した最近の文献
2 ミル・マルクス問題の一考察
a 1848年革命とミル・マルクス
b 1850・60年代の二人の歩み
c ミル経済学の俗流化に対するマルクス批判
d 日本のミル・マルクス問題
3 マルクスにおける自由の問題 ―― ミルの自由論に関説して
a 総説 ―― マルクス思想の形成
b 各論 ―― ミルとマルクスとの対比
4 自然・人間・社会 ―― 高島善哉 『マルクスとウェーバー』 によせて
a 三つの自然概念 b マルクスの自然概念 c マルクスの労働概念
d ミルにおける自然・人間・社会
5 生産と分配 ―― ミルとマルクスとの対比
a マルクスにおける生産・分配問題 b マルクスによるミル批判の核心
c ミルとマルクスの交錯 d 生産・分配問題と社会主義
6 改良と革命の経済思想
a ミル・マルクスと生産共同組合
b 生産共同組合論における二人の対立点
7 改良と革命 ―― ミルとマルクス再論
a 賃労働者と体制変革との関連
b ミルとマルクスおけるアソシエーション論
c 晩年のマルクスのアソシエーション論
四 J・S・ハミル研究史
1 日本におけるJ・S・ミル研究
a 河上肇のJ・S・ミル論
b ローゼンベルグと内田義彦
c 1960年代以降の学界展望 ―― J・ミルおよびJ・S・ミル
d 日本のミル研究の特色
e 1980年代以降のミル研究
f 今後のミル研究への期待
2 ロシアにおけるJ・S・ミル ―― 明治の日本との対比
a スカンラン 「ロシアにおけるJ・S・ミル」
b 1860年代のロシアにおけるミルの普及
c ミル『論理学』 の影響
d 『婦人の隷従』 と 『自由論』 の影響
e 革命以後のミルの影響力低下
f ジーベルのミル研究
3 J・S・ミルのドイツ語版全集
a はしがき b ゴンペルツとミル c 全集の準備 d 全集の刊行
e ゴンペルツの跋 f フロイトのかかわり g 全集の内容
V ミル著作集の創刊と完成
1 J・S・ミルの新著作集について  ―― 初期書簡集を中心として
a 新著作集の特色
b 初期書簡集刊行の歩み
c 初期著作の資料的価値
2 ミル著作集の完成
解 説
あとがき
初出一覧
人名索引 (外国人名・日本人名)