- 兼田麗子 著
- 四六上製 360頁
ISBN-13: 9784894343597
刊行日: 2003/10
公共福祉における企業家の役割とは?
国と自治体による公共福祉が崩壊に向かい、その担い手としてNPOに期待が寄せられる今、明治・大正・昭和前期における公共福祉の二大先駆者、留岡幸助と大原孫三郎を検証し、現在への処方箋を呈示する初の成果。
目次
はしがき
第一部 留岡幸助 (1864 - 1934年)
第1章 留岡幸助 ―― 社会事業を本格的に志すまで
1 生い立ち
2 キリスト教信者になって
3 北海道空知集治監の教誨師
4 欧米事情の研究と渡米
5 監獄改良と不定期刑論
第2章 「民」 の立場での実践例 ―― 巣鴨家庭学校
1 家庭学校
2 幸助の思想と実践の特徴
3 自主的・継続的な実践者
第3章 「官」 の立場での活動 ―― 報徳思想と地方改良運動
1 地方改良運動
2 報徳思想
3 地方改良運動への傾倒理由
4 具体的に幸助が説いたもの
5 幸助の果たした役割とその有意性
第4章 北海道家庭学校とオウエンのニュー・ハーモニー
1 北海道家庭学校
2 設立の原因と背景
3 比較としてのロバート・オウエンの実践
4 幸助とオウエンの相違
付 論 留岡幸助と法律関係者達との交流
1 刑法理論の古典派と近代派
2 米国のリフォーマトリー制度
3 小河滋次郎との交流
4 東京帝国大学の法学博士達との交流
第二部 大原孫三郎 (1880 - 1943年)
第5章 大原孫三郎 ―― 使命感が芽生えるまで
1 時代背景
2 生い立ち・環境
3 孫三郎の人生の転換期
4 人道主義への大変換に影響を与えた人物・思想
第6章 倉敷紡積内での改革と大原社会問題研究所
1 倉敷紡積内での改革
2 大原社会問題研究所
3 信念を持った人道主義的実践者
第7章 労働科学と倉敷労働科学研究所
1 倉敷労働科学研究所と労働科学
2 労働科学と労働衛生行政の世界の状況と日本の先覚者
3 孫三郎の労働者福祉におけるリーダーシップと科学信奉
4 労働衛生・労働科学への貢献
第8章 大原孫三郎と温情主義の武藤山治
1 孫三郎の信念と特徴
2 当時の紡績会社をめぐる状況
3 武藤山治の先駆的実践 ―― 孫三郎との接点
4 武藤山治の温情主義
5 孫三郎と武藤の相違点 ―― 温情主義
6 武藤山治の思想基盤 ―― 孫三郎との相違点 ―― とそれら形成の背景
7 微妙に異なる二人の人道主義者
第9章 大原孫三郎と儒教的人道主義の渋沢栄一
1 渋沢栄一と養育院
2 渋沢の根本的主義 ―― 儒教的人道主義
3 孫三郎と渋沢栄一との共通点
4 孫三郎と渋沢栄一の相違点
5 孫三郎と渋沢栄一から学ぶこと
参考文献
あとがき
社会福祉関係略年譜 (1601 - 1945年)
人名索引