- 和田博文 著
- A5上製 408頁 写真・図版320点 カラー口絵4頁
ISBN-13: 9784894344532
刊行日: 2005/5
大空への欲望――その光と闇
気球、飛行船から飛行機へ、技術進化は距離と時間を縮め、空間認識を変容させた。飛行への人々の熱狂、芸術の革新、空からの世界分割、原爆投下、そして現在。モダニズムが追い求めた夢の軌跡を、貴重な図版を駆使して描く決定版。
目次
プロローグ 世界の編成とモダニズム
「海の世紀」から「空の世紀」へ
帝国主義とモダニズム――気球→飛行船→飛行機
「世界未来記」の「理想的」未来社会像
時空間の変容と世界の編成
第1章 気球/飛行船のコスモロジー 1783-1906
普仏戦争下のパリで気球を見た
スペンサーの興行、菊五郎の舞台、江見水蔭の小説
ヴェルヌの気球探検と月への旅
一九世紀末の少年雑誌――『日本之少年』
矢野龍渓、押川春浪が描いた軍用気球
山岸薮鴬訳『空中軍艦』の爆裂弾と石脳油
大活劇で飛行船が活躍する
列強の世界分割と、海外進出イデオロギー
雑誌『探検世界』と宇宙冒険譚
第2章 日本の空を飛行機が飛んだ 1908-1914
ライト兄弟と冒険の世紀
視線の夢想――石川啄木の飛行機、土岐哀果の飛行船
欧米で学んできた日本の飛行家
所沢飛行場開設と帝国飛行協会
与謝野晶子と児玉花外が、国内初の航空犠牲者を歌う
民間飛行家武石浩玻の死
田山花袋が拍手した宙返りの記号性
模型飛行機の流行と稲垣足穂
飛行機唱歌のナショナリズム
第3章 第一次世界大戦と海外雄飛の夢 1914-1925
世界再分割と空中戦
空襲下のパリで――藤田嗣治と吉江喬松
青島・シベリアで日本の飛行機が参戦する
雑誌『武侠世界』の「海外侵略号」と「世界雄飛号」
一九一〇年代後半の飛行小説と戯曲
久米正雄の長編小説『天と地と』
未来派のスピードと稲垣足穂
民間航空界の成長と、瀧井孝作「偶感」
初風・東風の訪欧飛行
第4章 見上げる視線から、見下ろす視線へ 1922-1930
懸賞郵便飛行から商業航空輸送へ
日本人の海外飛行体験
北原白秋やささきふさが試みた「空の文学」
「外地」へ伸びる定期航空路
見下ろす視線の成立――前田夕暮と横光利一
リンドバーグの大西洋、パングボーンとハーンドンの太平洋
模倣時代の航空機工業と国産機
西條八十「北太平洋横断飛行の唄」の願望と挫折
グラフ・ツェッペリン号世界一周
第5章 モダン都市と新形態美 1923-1934
女性と飛行機――北村兼子の挑戦
飛行場=モダン都市の新スポット
新形態美と板垣鷹穂『機械と芸術との交流』
表現主義、シネポエム、ノイエ・ザハリヒカイト
内田百、学生訪欧機出発の白旗を上げる
スポーツとしての飛行
満州事変と満州航空株式会社
第一次上海事変と初めての空中戦
海野十三『防空小説・爆撃下の帝都(空襲葬送曲)』と防空演習
第6章 アジアに拡がる勢力図 1928-1940
恩地孝四郎『飛行官能』とタイポフォト
ローカル線新設と大仏次郎・林芙美子らの「空の紀行リレー」
神風号訪欧飛行を土井晩翠が讃える
日中戦争開始と南京渡洋爆撃
少年航空兵と北村小松「燃ゆる曠野」
「空の文芸雑誌」と「航空小説」特集
ノモンハン事件の大空中戦
ニッポン号の世界一周と第二次世界大戦勃発
大日本航空とアジアに伸びる航空路
第7章 死は空から降りてきた 1941-1945
真珠湾攻撃と大東亜の共同幻想
東南アジアに進攻する日本軍
報道班員のフィリピン・ビルマ戦記――三木清、今日出海、榊山潤
日本への初空襲とミッドウェー海戦
航空文学会と『航空文化』
学徒出陣と古川真治の小説のリアリティ
連合国の反攻と航空朝日航空文学賞
「神」への架橋――蔵原伸二郎『戦闘機』と神風特別攻撃隊
B-29の空襲と原爆投下
エピローグ モダニズムと世界の滅亡
日本近代を貫く大東亜の幻想
東洋=日本という図式
死をもたらす「理想的」軍用飛行機と航空動員
モダニズムに組み込まれた、滅亡へのプロセス
〔附〕飛行関係事項/書籍年表 1783-1945
あとがき
大判図版一覧
人名索引
「海の世紀」から「空の世紀」へ
帝国主義とモダニズム――気球→飛行船→飛行機
「世界未来記」の「理想的」未来社会像
時空間の変容と世界の編成
第1章 気球/飛行船のコスモロジー 1783-1906
普仏戦争下のパリで気球を見た
スペンサーの興行、菊五郎の舞台、江見水蔭の小説
ヴェルヌの気球探検と月への旅
一九世紀末の少年雑誌――『日本之少年』
矢野龍渓、押川春浪が描いた軍用気球
山岸薮鴬訳『空中軍艦』の爆裂弾と石脳油
大活劇で飛行船が活躍する
列強の世界分割と、海外進出イデオロギー
雑誌『探検世界』と宇宙冒険譚
第2章 日本の空を飛行機が飛んだ 1908-1914
ライト兄弟と冒険の世紀
視線の夢想――石川啄木の飛行機、土岐哀果の飛行船
欧米で学んできた日本の飛行家
所沢飛行場開設と帝国飛行協会
与謝野晶子と児玉花外が、国内初の航空犠牲者を歌う
民間飛行家武石浩玻の死
田山花袋が拍手した宙返りの記号性
模型飛行機の流行と稲垣足穂
飛行機唱歌のナショナリズム
第3章 第一次世界大戦と海外雄飛の夢 1914-1925
世界再分割と空中戦
空襲下のパリで――藤田嗣治と吉江喬松
青島・シベリアで日本の飛行機が参戦する
雑誌『武侠世界』の「海外侵略号」と「世界雄飛号」
一九一〇年代後半の飛行小説と戯曲
久米正雄の長編小説『天と地と』
未来派のスピードと稲垣足穂
民間航空界の成長と、瀧井孝作「偶感」
初風・東風の訪欧飛行
第4章 見上げる視線から、見下ろす視線へ 1922-1930
懸賞郵便飛行から商業航空輸送へ
日本人の海外飛行体験
北原白秋やささきふさが試みた「空の文学」
「外地」へ伸びる定期航空路
見下ろす視線の成立――前田夕暮と横光利一
リンドバーグの大西洋、パングボーンとハーンドンの太平洋
模倣時代の航空機工業と国産機
西條八十「北太平洋横断飛行の唄」の願望と挫折
グラフ・ツェッペリン号世界一周
第5章 モダン都市と新形態美 1923-1934
女性と飛行機――北村兼子の挑戦
飛行場=モダン都市の新スポット
新形態美と板垣鷹穂『機械と芸術との交流』
表現主義、シネポエム、ノイエ・ザハリヒカイト
内田百、学生訪欧機出発の白旗を上げる
スポーツとしての飛行
満州事変と満州航空株式会社
第一次上海事変と初めての空中戦
海野十三『防空小説・爆撃下の帝都(空襲葬送曲)』と防空演習
第6章 アジアに拡がる勢力図 1928-1940
恩地孝四郎『飛行官能』とタイポフォト
ローカル線新設と大仏次郎・林芙美子らの「空の紀行リレー」
神風号訪欧飛行を土井晩翠が讃える
日中戦争開始と南京渡洋爆撃
少年航空兵と北村小松「燃ゆる曠野」
「空の文芸雑誌」と「航空小説」特集
ノモンハン事件の大空中戦
ニッポン号の世界一周と第二次世界大戦勃発
大日本航空とアジアに伸びる航空路
第7章 死は空から降りてきた 1941-1945
真珠湾攻撃と大東亜の共同幻想
東南アジアに進攻する日本軍
報道班員のフィリピン・ビルマ戦記――三木清、今日出海、榊山潤
日本への初空襲とミッドウェー海戦
航空文学会と『航空文化』
学徒出陣と古川真治の小説のリアリティ
連合国の反攻と航空朝日航空文学賞
「神」への架橋――蔵原伸二郎『戦闘機』と神風特別攻撃隊
B-29の空襲と原爆投下
エピローグ モダニズムと世界の滅亡
日本近代を貫く大東亜の幻想
東洋=日本という図式
死をもたらす「理想的」軍用飛行機と航空動員
モダニズムに組み込まれた、滅亡へのプロセス
〔附〕飛行関係事項/書籍年表 1783-1945
あとがき
大判図版一覧
人名索引
著者紹介
●和田博文(わだ・ひろふみ)
1954年神奈川県生。神戸大学大学院文化学研究科博士課程中退。文化学・日本近代文学専攻。東洋大学教授。
最近の主な仕事に『テクストのモダン都市』(風媒社、1999年)『言語都市・上海』(1999年)『言語都市・パリ』(2002年)『パリ・日本人の心象地図』(2004年、以上共著、藤原書店)『古代の幻――日本近代文学の〈奈良〉』(2001年)『日本のアヴァンギャルド』(2005年、以上編著、世界思想社)『コレクション・日本シュールレアリスム』全15巻(監修、本の友社、1999~2001年)『コレクション・モダン都市文化』全20巻(監修、ゆまに書房、2004年~)他。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです
1954年神奈川県生。神戸大学大学院文化学研究科博士課程中退。文化学・日本近代文学専攻。東洋大学教授。
最近の主な仕事に『テクストのモダン都市』(風媒社、1999年)『言語都市・上海』(1999年)『言語都市・パリ』(2002年)『パリ・日本人の心象地図』(2004年、以上共著、藤原書店)『古代の幻――日本近代文学の〈奈良〉』(2001年)『日本のアヴァンギャルド』(2005年、以上編著、世界思想社)『コレクション・日本シュールレアリスム』全15巻(監修、本の友社、1999~2001年)『コレクション・モダン都市文化』全20巻(監修、ゆまに書房、2004年~)他。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです