- 坂本多加雄 著
- 序=粕谷一希
編集・解題=杉原志啓 - A5上製クロスカバー装 568頁 口絵2頁
ISBN-13: 9784894344785
刊行日: 2005/10
急逝した気鋭の思想史家の遺稿集成
憲法に規定された「象徴天皇制度」の意味を、日本の来歴に基づいて初めて明らかにした天皇論、国家の相対化や不要論が盛んに説かれるなか、今日における「国家の存在理由」を真正面から明解に論じた国家論、歴史教育、外交など、時事的問題の本質に鋭く迫った時事評論を収録。
[月報]西尾幹二/山内昌之/中島修三/梶田明宏
目次
奇 縁 ―― 序にかえて (粕谷一希)
第一部 日本国憲法と天皇という制度
第1章 象徴天皇制度とは何か
象徴天皇制度と日本国憲法
―― フランス革命神話の拘束
「天皇制」 という言葉
―― マルクス主義的歴史観の拘束
象徴天皇制度
―― 「象徴」 とは何か
象徴天皇制度と 「政教分離」
「天皇」 と 「国民主権」
日本国憲法と五箇條の御誓文
―― 「勅命」 と 「公論」 の調和
コモンウェルスとしての天皇制度
第2章 憲法と歴史
日本国憲法を考える
―― 首相公選・天皇・国民主権
日本国憲法第九条をめぐる 「理想主義」 と 「現実主義」
“女帝”問題と伝統の再解釈
憲法改正論議と歴史解釈
国の歴史像に根ざす憲法
憲法改正論議と 「国家学」
「政策」 の前に 「国家」 を再考すべき
―― 憲法調査会での報告
第二部 市場と国家
第1章 国家とは何か
「国民」 ・ 「皇民」 ・ 「公民」
「国家」 という存在
「国家」 の存在理由
「日本」 という 「国家」 のあり方
「国家」 「国民」 という観念
―― 求められるナショナリズムの自覚化
戦後日本の平和主義と 「国家」 観念の忌避
民権派も前提としていた国体論
―― 戦後歴史学の拘束
「国家」 形成に成功した明治日本
―― 福沢諭吉と文明化
「国民意識」 の表明としての自由民権運動
映画 「パール・ハーバー」 の語るもの
―― 「国家」 と 「歴史」 の希薄化の果てに
第2章 市場とは何か
市場・道徳・秩序
―― 福沢諭吉・徳富蘇峰・中江兆民・幸徳秋水
市場と秩序
―― 明治の思想家と現代
市場の秩序と道徳の秩序
―― 信頼関係を前提とする経済関係
“革命”のソ連に 「学問のすすめ」
“ゆとり”失った戦後経済
第三章 時事評論 1996-2002
初出一覧
解題 (杉原志啓)
著作一覧
坂本多加雄年譜