ISBN-13: 9784894344877
刊行日: 2005/12
中国古典文学の第一人者が『論語』を“新しく”読み解く名講義録!
『論語』の〈論〉〈語〉とは何か?孔子は〈学〉や〈思〉、〈女〉〈神〉をいかに語ったか?そして〈仁〉とは?
中国古典文学の第一人者、イッカイ先生が、永遠のベストセラー『論語』を、その中の“言葉”にこだわって横断的に初めて読み解いた。逸話、脱線をふんだんに織り交ぜながら、『論語』の新しい読み方を提示する名講義録。
目次
前口上
1 〈論〉 と 〈語〉
『論語』 の不思議
■ 「字」 とは何か
アンチ儒教の 『老子』
「言」 と 「語」
■ 『説文解字』 とは
中国古典とその注
■ 漢音と呉音
語 - 論 - 議の三角関係
三角関係を解消するために
『漢書』 のなかの 『論語』 の位置づけ
萩生徂徠の 『論語』 論
■ 日本のシノロジーの系譜
「語」 とは何か
王維の詩に見る 「語」
■ 中国語の四声と韻
■ 平仄を合わせる
■ 「論語」 をどう発音するか
■ 『論語』 はいつ日本にやって来たか
2 〈神〉 と 〈女〉
日本の 「神」 との違い
「神」 という字の成り立ち
物語はあるが神話として整理されない
■ 中国におけるフィクションの位置づけ
人生がわからないのに死が語れるものか
■ 漢文の中の二回読む字
「知」 と 「仁」 は対立するのか
「知者は水を楽しむ」
孔子は無神論者か?
『論語』 のなかの 「女」 は十九回
■ 一字二役の漢字
「女」 の成り立ち
■ 女と男の世界
色を好む
孔子の女性観
■ 恋は思案の外
3 〈学〉 と 〈思〉
「学」 を取り上げる二つの理由
学ぶこと、 思うこと
■ 孔子と酒
学ぶとは自覚すること
■ 勉強と学習
勉強はときどきでよい?
■ 漢字は時代を超えた共通語
「学ぶ」 は外から、 「思う」 は内から
学業と就職
『論語』 は口頭弁論
詩の重要性
「学」 について自叙伝として述べる
『老子』 の 「学」
■ 漢音と呉音の見分け方
「学問」 と 「文学」
■ 権威としての孔子
4 〈学問〉 と 〈文学〉
日本に輸入された 「学問」
孔子の頃までの 「学」
■ 「四書」 と 「五経」
『孟子』 で 「学問」 が初登場
「学問」 とは初歩的な 「お勉強」 ?
詩の中の 「学問」
「文」 という字の成り立ち
飾ることはよいことか
文を学ぶ
「文学」 とは何か
■ 「弟子」 という漢語
5 〈文〉
「質」 とは何か
文化としての 「文」
「文」 は最高の 「おくり名」
教養と実践
「文明」 としての 「文化」
■ 「文化」 の意味
「文章」 とは何か
「文章は永遠に不滅です」
韻文も散文も文章
たった一度だけ出てくる 「文学」
後世の 「文学」
詩の中の 「文学」
■ 篆書と隷書
日本における 「文学」
■ 憲法
6 〈仁〉
「仁」 という文字の意味
■ 「佞」
孔子は 「仁」 をどう説明しているか
『論語』 以前の 「仁」
「仁」 の間接的定義
「仁」 の反対は?
「仁」 とは何かと問われれば
「仁者」 とは何か
仁者、 知者、 勇者
「仁」 は正面から定義できない
■ 人は一人ではなり立たない
「仁義」