- バルバラ・吉田=クラフト
- 吉田秀和編 濱川祥枝・吉田秀和訳
- 四六上製 440ページ
ISBN-13: 9784894345454
刊行日: 2006/11
日本文学の核心に届く細やかな視線
女性による文学が極めて重い役割を果してきたこと、小説に対し“随筆”が独特の重みをもつこと――東洋文化に憧れ、荷風をこよなく愛した著者が、日本文学の本質を鋭く見抜き、伝統の通奏低音を失うことなくヨーロッパ文学と格闘してきた日本近代文学者たちの姿を浮彫る。
口絵2頁
目次
一 日本近代の文学者たち
田山花袋
―― 肩越しにみた田山花袋
『蒲 団』
永井荷風 (1)
―― 都市を遊歩する
『?東綺譚』
永井荷風 (2)
―― 文学としての日記
『断腸亭日乗』
志賀直哉
―― 短篇小説の緊張感
『好人物の夫婦』 『范の犯罪』
谷崎潤一郎
―― 近代日本の開化
『小僧の夢』
宇野千代
―― 女の文体
『或る一人の女の話』
川端康成
―― 「別の世界」
『無 言』 『匂う娘』 『夫のしない』
三島由紀夫
―― 芸術の濫用
『愛の渇き』
二 日本文学のとらえた光と影
「エッセー」 と 「随筆」 ―― 筆にしたがって
女の文学 ―― 現代日本の女性による短篇小説を読む
日本の近代文学の遺産 ―― 歌舞伎の一側面
光と影
三 日本文学、 いくつかの発見
三島由紀夫、 逆立ちしてみせた伝統主義者
アール・ヌーヴォの川端康成
セ・ラ・ヴィ ―― 小林秀雄の思い出
兼好とモンテーニュ
現代日本のエッセー
「関係」 こそ主人公
女の文学雑感
津島佑子の世界
“幸福のかけら” ――現代日本の女性文学はドイツでどう読まれたか
バルバラの肖像
バルバラと 「縫いぐるみ奥さん」
―― 姉エヴァは語る
エヴァ=マリア・クラフト
バルバラとフランケ教授
―― 変わらぬ友情
レナータ・フー=シェン・フランケ
お昼は 「榛 名」 で
ユルゲン・シュタルフ
私のこと、何かきれいに書いて
ペーター・カピッツァ
バルバラの小石
加藤周一
バルバラのえらんだ土地
矢島 翠
言葉の 「ちょっとした手直し」 の話
ドリス・ゲッティン
悼 歌
浅井イゾルデ
鎌倉訪問
チェーザレ・マッツォーニス
あとがきにかえて 吉田秀和
謝 辞
バルバラ・吉田=クラフト 年譜
著作目録 ラインホルト・グリンダ