- 藤原書店編集部 編
- 四六上製 520ページ
ISBN-13: 9784894345478
刊行日: 2006/11
「満洲」をトータルに捉える初の試み
「満洲国」前史、20世紀初頭の国際情勢、周辺国の利害、近代の夢想、「満洲」に渡った人々……。東アジアの国際関係の底に現在も横たわる「満洲」の歴史的意味を初めて真っ向から問うた決定版!
目次
はしがき
1 満洲とは何か
歴史のなかの “満洲” 像
中見立夫
“満洲” という地をめぐる歴史
小峰和夫
満洲における諸民族の支配
【「八旗」 体制から 「区域自治」 へ】
ユ・ヒョヂョン
樹状組織と網状組織の運動特性の違いについて
【満洲と山東省の比較を中心に】
安冨 歩
2 満洲で日本は何をやったのか
「満洲国」
【ある歴史のおわり、 そして新たな始まり】
山本有造
満洲国政府の建築
西澤泰彦
日本の満洲経営と新聞
李 相哲
写真に見る 「満洲」 イメージ
西原和海
「観光楽土」 としての満洲
【帝国の 「野外劇場」】
高 媛
植民地主義と医学
【開拓医学と満洲】
飯島 渉
「満洲国」 の経済遺産をどうとらえるか
【鞍山鉄鋼業から見た中国東北経済の連続性と断絶性】
松本俊郎
3 文化の先進地だった満洲
長谷川四郎における 〈満洲〉 への視座
【長城、 収容所、 戦後】
川崎賢子
大連のアヴァンギャルドと北川冬彦
和田博文
法という観念から見た満映の特異性と甘粕正彦
山口 猛
屹立する異貌の博物館
【満州国国立中央博物館】
犬塚康博
写真のユートピア
【淵上白陽と満洲写真作家協会】
飯沢耕太郎
4 満鉄の研究
後藤新平の満洲経略
西宮 紘
日本鉄道史のなかの満鉄
原田勝正
満鉄調査部と戦後日本
小林英夫
戦後中国大陸に生きた満鉄技術者たち
杉田 望
満鉄映画とは何だったのか
モヤ・マリア・デ・ロス・アンヘレス
5 中国にとっての満洲
「満洲国」 における思想弾圧の歳月
呂元明 (田川めぐみ+朱桂栄 訳)
陋室懐旧録
陳隄 (訳=孫軍悦 / 漢詩訳註=一海和義)
中国現代文学史上欠かせない一章
【東北における被占領時期の左翼文学活動をめぐって】
劉慧娟+徐謙 (訳=孫軍悦)
「満洲国」 の女性作家、 梅娘を読む
岸 陽子
6 周辺地域にとっての満洲
満洲をめぐる国際関係
【19世紀末から20世紀前半にかけて】
三輪公忠
ロシアにとっての満洲
和田春樹
ユダヤ人、 白系ロシア人にとっての満洲
【ハルビンで育って】
ヤン・ソレッキー (訳=北代美和子)
モンゴルにとっての満洲
フフバートル
満洲にわたった朝鮮民族
金賛汀
朝鮮民族の分断と満洲
鶴嶋雪嶺
7 満洲に生きた人々
“実験場” にされた 「満洲」 の天国と地獄
【体験・検証・認識】
富永孝子
「満洲移民」 の問いかけるもの
蘭 信三
満洲へ送られた被差別部落
高橋幸春
清朝の残響 愛新覚羅顕㺭 (川島芳子) と慧生 (えいせい)
【喪の物語としての精神史】
能澤壽彦
8 私にとっての満洲
子供の眼
木崎さと子
電信柱と風と男1
別役 実
恨みと温もりの思い出
張 鑫鳳
纏足のあし
羽田澄子
心奥深くの二つの文化の共生
王 音
大連と私をつなぐ運命の糸
金寿奉
附 満洲・東アジア近代史関係略年譜
満州国地図
執筆者紹介
編集後記