民俗学と歴史学――網野善彦、アラン・コルバンとの対話

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  • 赤坂憲雄
  • 四六上製 240ページ
    ISBN-13: 9784894345546
    刊行日: 2007/1

東西の巨人との対話。

歴史学の枠組みを常に問い直し、人々の生そのものに迫ろうとしてきた網野善彦、そしてアラン・コルバン。民俗学から「東北学」へと歩みを進めるなかで、一人ひとりの人間の実践と歴史との接点に眼を向けてきた著者と、この東西の歴史学の巨人との間に奇跡的に成立した、「歴史学」と「民俗学」の相互越境を目指す対話の記録。



目次

序 章
赤坂憲雄

『東北学』 創刊の前夜に  柳田国男、 いまだ訣れは訪れず
壮年期の民俗学は可能か


1 網野善彦との対話


〈対談〉 戦後日本社会と歴史観
網野善彦+赤坂憲雄

90年代日本社会と歴史観の揺れ  加藤典洋 『敗戦後論』 ―― 歴史のねじれと敗者の戦争責任
「自由主義史観」 をめぐる論争  「自虐」 と戦後の空洞  日本の相対化と天皇の問題
戦争体験と沈黙の意味  天皇制と戦争責任  敗戦後10年間の可能性  「知の55年体制」
柳田国男と一国民族学  アイヌと沖縄に対する視線  被差別部落を生まなかった東北
東と西の差異  東北と柳田民俗学  歴史学の懸念の再吟味  歴史学が切り落としてきた問題


〈対談〉 東北学の魅力と可能性
網野善彦+赤坂憲雄

集落を見る眼、 民具を見る眼
最上川の水運  被差別民と東国  樹皮と木の文化
『雪国の春』 以前
三内丸山の栗の木と漆器  決して農業地域ではなかった  寄生地主はどこから来た
日本文化を相対化するゾーン
管江真澄が記した遊女たち  北とのつながり  日本国を相対化して見る


重戦車の孤独 ―― 追悼・網野善彦氏に
赤坂憲雄



2 アラン・コルバンとの対話


〈対談〉 歴史、 名もなき人々への眼差し
アラン・コルバン+赤坂憲雄

1 はじまりの対話
19世紀パリと江戸の比較  歴史学と民族学 (民俗学) の協同
民衆の社会史と聞き書きの方法
2 ピナゴの村を訪ねて
木靴職人ピナゴと東北の村々の老人たち  アジールとしての山、 聖なる森
他者と向きあう時の愛と共感
3 寛容と想像力をめぐって
アナール派と柳田国男 ―― 感性の歴史と民俗  「民衆」 の姿、 「常民」 の歴史
時間の変容 ―― 「聴衆」 や 「観衆」 の発見  いかなる歴史的な想像力が必要か

ピナゴの村を訪れて  ―― 刺激的だったコルバン氏との対話       赤坂憲雄
ピナゴもこの礼拝堂のどこかで……  現代に生きる、 もう一人のピナゴ
湿った森と乾いた森


〈座談会〉 歴史学と民俗学
――A・コルバン 『記録を残さなかった男の歴史』 邦訳刊行記念
アラン・コルバン+網野善彦+二宮宏之+赤坂憲雄


日本における民俗学と歴史学との緊張関係  歴史学のもつ 「王者」 としての誇り
フランスにおける歴史学と民俗学の交流と、 その困難  土地に根を下ろしたフランスの歴史学
人間科学から歴史は何を得られるか  歴史における 「個人性」と 「私性」
日本の古文書研究への非常に大きな刺激  バース・コントロールは行なわれていたか
日本の 「村」 とフランスの 「村」  口辻調査・民間伝承と19世紀研究
「ピナゴの目」 から何が見えたか

〈座談会を終えて〉 柳田以後の民俗学のために            赤坂憲雄

あとがき
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