- 藤原書店編集部 編
- 四六上製 312ページ
ISBN-13: 9784894345553
刊行日: 2007/1
世界史の中の二・二六事件。
70年経った今も、日付をもって呼ぶ以外に名づけられていない「2・26事件」。国内外のメディアはいかに報じたか? 同時代人はいかに受け止めたか? 今日の我々にいかなる意味をもつか? 当時と今日の視点、国内外の視点の双方から事件を立体的に読み解き、日本国家の核心を顕わにした事件の現代における含意を問う!
目次
はしがき
I 同時代の視点
1 世界のメディアはいかに報じたか
アメリカ
――『ニューヨーク・タイムズ』 紙
(訳=編集部)
イギリス
――『デイリー・テレグラフ』 紙
(訳=編集部)
フランス
――『ル・タン』 紙
(訳=編集部)
ドイツ
――『フランクフルター・ツァイトゥング』 紙
(訳・解説=田嶋信雄)
ソ 連
――『イズヴェスチヤ』 紙
(訳=中山一郎 / 解説=富田武)
中 国
――『大公報』 紙・『救国時報』 紙
(訳・解説=三田剛史)
2 日本のメディアはいかに報じたか
前坂俊之
事件を 「報じなかった」 新聞
『朝日』 『毎日』 『読売』 はいかに対応したか
『時事新報』 の抵抗
事件後の日本の新聞報道
3 同時代人はいかに捉えたか
三宅雪嶺
1860-1945 ―― 超越的な 『同時代史』 の視点から
杉原志啓
西田幾多郎
1870-1945 ―― 軍部による天皇の私有化を批判
清水太郎
与謝野晶子
1878-1942 ―― 「自由」 をめぐる相克
松平盟子
河上 肇
1879-1946 ―― 「ファッシスト陣営に走る真面目な青年」 への訴え
鈴木 篤
緒方竹虎
1888-1956 ―― 『朝日』 主筆にとっての二・二六事件
緒方四十郎
河合栄治郎
1891-1944 ―― 「自由の守護者」 による命がけの批判
川西重忠
三木 清
1897-1945 ―― 「ファシズムの合理化」 としての二・二六事件
古田 光
昭和天皇
1901-1989 ―― 皇太后の 「神ながらの道」 と二・二六事件
原 武史
II 現代からの視点
4 二・二六事件が顕わにする 「日本」 という国家の核心
御厨 貴
政治史における二・二六事件の重要性
二・二六事件と天皇の存在
二・二六事件 「以後」
二・二六事件を今日考えることの意味
5 二・二六事件とは何か
ゾルゲが目撃した二・二六前夜
篠田正浩
「改造」 運動の中の二・二六事件
伊藤 隆
今こそ創られた 「神話」 からの脱却を
須崎愼一
世相から見た二・二六事件
古川隆久
テロリズムと経済政策のレジーム転換
田中秀臣
もうひとつの二・二六事件
保坂正康
「戦争への道」 を二・二六事件で説明するなかれ
北 博昭
二・二六事件と日本陸軍の闇
中田整一
「正気」 の発現
新保祐司
反乱する心情
渡辺京二