- 吉屋 信子,由起 しげ子,長谷川 四郎,高見 順,安岡 章太郎,円地 文子,安部 公房,柴田 錬三郎 (著)
- 紅野 謙介,川崎 賢子,寺田 博 (編集)
- 四六変上製 311ページ
ISBN-13: 9784894345966
刊行日: 2007/10
「戦後文学」を問い直す、画期的シリーズ!
米統治下の7年弱、日本の作家たちは何を書き、何を発表しなかったのか。占領期日本で発表された短編小説、戦後社会と生活を彷彿させる珠玉の作品群。
「戦争や飢餓や国家の崩壊といった劇的な経験に満ちた時代は、それだけで強力な地場をもつ。そうした磁場は作家を駆り立て、意思を越えた力が作家に何事かを書かせるということが起こる。そのとき、奇跡のように表現や行間から滲みだして登場人物や物語の空間を浸すものがあり、それをわたくしたちは小説の空間と呼び、力と呼ぶ。」(高村 薫氏)
目次
富士正晴 童 貞
田宮虎彦 銀心中
堀田善衞 断 層
井上光晴 1945年3月
西野辰吉 米系日人
小島信夫 燕京大学部隊
解題 (紅野謙介)
解説「時代の磁場に立つ小説たち」(高村 薫)
年表 1952年〈日本の文学/文化・社会/政治・経済〉
関連情報
【本コレクションの特徴】
■1945年から1952年までの被占領期を1年ごとに区切り、編年的に構成した。但し、1945年は実質5ヶ月ほどであるため、1946年と合わせて1冊とした。 ■編集にあたっては短篇小説に限定し、1作家1作品の原則で選択した。 ■収録した小説の底本は、作家ごとの全集がある場合は出来うる限り全集版に拠り、全集未収録の場合は初出紙誌等に拠った。 ■収録した小説の本文が旧漢字・旧仮名遣いである場合も、新漢字・新仮名遣いに統一した。 ■各巻の巻末には、解説・解題とともに、その年の主要な文学作品、文学的・社会的事象の表を掲げた。 |
各 巻 構 成
第1巻 1945-46年(2007年9月刊) 平林たい子「終戦日誌」/石川淳「明月珠」/織田作之助「競馬」/永井龍男「竹薮の前」/川端康成「生命の樹」/井伏鱒二「追剥の話」/田村泰次郎「肉体の悪魔」/豊島与志雄「白 蛾――近代説話」/坂口安吾「戦争と一人の女」/八木義徳「母子鎮魂」 [解説]小沢信男
第2巻 1947年(2007年6月刊) 中野重治「五勺の酒」/丹羽文雄「厭がらせの年齢」/壺井榮「浜辺の四季」/野間宏「第36号」/島尾敏雄「石像歩き出す」/浅見淵「夏日抄」/梅崎春生「日の果て」/田中英光「少女」 [解説]富岡幸一郎
第3巻 1948年(2007年8月刊) 尾崎一雄「美しい墓地からの眺め」/網野菊「ひとり」/武田泰淳「非革命者」/佐多稲子「虚偽」/太宰治「家庭の幸福」/中山義秀「テニヤンの末日」/内田百?「サラサーテの盤」/林芙美子「晩 菊」/石坂洋次郎「石中先生行状記――人民裁判の巻」 [解説]川崎賢子
第4巻 1949年(2007年6月刊) 原民喜「壊滅の序曲」/藤枝静男「イペリット眼」/太田良博「黒ダイヤ」/中村真一郎「雪」/上林暁「禁酒宣言」/中里恒子「蝶蝶」/竹之内静雄「ロッダム号の船長」/三島由紀夫「親切な機械」 [解説]黒井千次
第5巻 1950年(2007年7月刊) 吉行淳之介「薔薇販売人」/大岡昇平「8月10日」/金達寿「矢の津峠」/今日出海「天皇の帽子」/埴谷雄高「虚空」/椎名麟三「小市民」/庄野潤三「メリイ・ゴオ・ラウンド」/久坂葉子「落ちてゆく世界」 [解説]辻井喬
第6巻 1951年(2007年10月刊) 吉屋信子「鬼火」/由起しげ子「告別」/長谷川四郎「馬の微笑」/高見順「インテリゲンチア」/安岡章太郎「ガラスの靴」/円地文子「光明皇后の絵」/安部公房「闖入者」/柴田錬三郎「イエスの裔」 [解説]井口時男
第7巻 1952年(2007年11月刊) 富士正晴「童貞」/田宮虎彦「銀心中」/堀田善衛「断層」/井上光晴「1945年3月」/西野辰吉「米系日人」/小島信夫「燕京大学部隊」 [解説]高村薫
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