- 子安宣邦
- 四六上製 336ページ
ISBN-13: 9784894346390
刊行日: 2008/07
著者渾身の昭和論。
小説は歴史をどう語るか、アジア主義・昭和日本の中国体験とは何であったか、ナショナリズム・死の哲学とは何か、沖縄問題とは何か・・・・・・これまで「昭和日本」を捉える上で“死角”となってきた核心的な問い。時代の刻印を受けた書物との邂逅とその読解から、「昭和日本」という時空に迫る。
目次
序 反哲学的読書論 ――三木 清 「読書論」
Ⅰ 小説は歴史をどう語るか ――フィクションが反復する “真実”
1 黙って兵隊であるものの文学
火野葦平 『小説 陸 軍』
2 近代に反覆される親鸞
石和鷹 『地獄は一定すみぞかし ――小説暁烏敏』
3 「閔妃問題」 とは何か
角田房子 『閔妃暗殺 ――朝鮮王朝末期の国母』
Ⅱ アジア主義とは何であったか ――昭和日本の中国体験
4 「支那事変」 とは何であったか
『文芸春秋』 昭和13年新年号
5 中国主義者橘と国家改造論
橘 樸 「国体論序説」
6 朝陽門外は我が墳墓の地
清水安三 『朝陽門外』
Ⅲ ナショナリズムとは何か ――死の哲学
7 国民的物語 「松阪の一夜」 の成立
文部省 『小学国語読本』 巻11
8 「種」 の倫理・国家のオントロジー
田辺元 『種の倫理の弁証法』
9 死者に対する真実の回向
上原専祿 『死者・生者 ――日蓮認識の発想と視点』
Ⅳ 沖縄問題とは何か ――日米関係の戦前と戦後
10 太平洋よ心地よく眠れ
大阪毎日懸賞論文 『50年後の太平洋』
11 人が其処に住むこと
松島泰勝 『琉球の 「自治」』
12 沖縄にあるのは 「青い海」 だけではない
新崎盛暉他 『沖縄修学旅行』
結び 小田は其処にいつづけた ――小田実を読む
あとがき
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