強毒性新型インフルエンザの脅威〈増補新版〉

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  • 岡田晴恵 編
  • 速水融・立川昭二・田代眞人・岡田晴恵
  • A5並製 232頁
    ISBN-13: 9784894346772
    刊行日: 2009/3

「切り札」としてのプレパンデミック・ワクチンの重要性を説く章を増補!

プレパンデミック・ワクチンの希望者全員への事前接種を!
ワクチンの国民全員分の備は技術的・財政的にすでに十分可能。流行ピーク後も免疫がなければ安心して外出できない。免疫獲得には感染かワクチン接種か以外にない。
インフルエンザのメカニズムから考える、プレパンデミック・ワクチンの重要性。


目次

はじめに
(岡田晴恵)

Ⅰ 〈対談〉 スペイン・インフルエンザの教訓
速水融+立川昭二

――速水融著 『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』 をめぐって――



膨大な資料に基づく被害の記録
世界同時多発的に発生
悲惨な国内の状況
何も打つ手がなかった当時の政府
なぜ忘れられたのか?
新型インフルエンザにどう対するべきか?


Ⅱ スペイン・インフルエンザと新型インフルエンザ

『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』 を読む
(岡田晴恵)

与謝野晶子とスペイン・インフルエンザ
(岡田晴恵)

宮尾登美子著 『櫂』 に読み継がれるスペイン・インフルエンザ
(岡田晴恵)

国を挙げて脅威に備えよ
(岡田晴恵)

新型インフルエンザが社会人口構成を歪める
(岡田晴恵)

人類史変え得る対策急げ
(岡田晴恵)

スペイン・インフルエンザは何を遺したか ――歴史を視る立場
(速水 融)


Ⅲ 強毒性新型インフルエンザの脅威
岡田晴恵+田代眞人


1 インフルエンザのメカニズム

1 『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』 を読む
――ウイルス学の立場から――

はじめに
『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』 との出会い
新型インフルエンザ対策を重要施策と位置づけた米国
1冊の本が米国の政策を動かす
漸く出された日本の対策
初めて明かされたスペイン・インフルエンザの被害規模
20―30代に甚大な被害
当時の新聞が伝える90年前の惨状
被害イメージの欠如と危機感のなさ
スペイン・インフルエンザの教訓

2 インフルエンザとは何か?
――地球最大規模の人獣共通感染症――

インフルエンザについての無理解と危機感のなさ
地球最大規模の人獣共通感染症
鳥インフルエンザに由来するA型インフルエンザ
インフルエンザ・ウイルスとカモの共存関係
「渡り鳥→家禽・家畜→人」 という感染経路

3 インフルエンザ・ウイルスとは何か?
――急速に変化し続けるウイルス――

感染のメカニズム ――他生物の細胞を借用して生きるウイルス
驚異的な伝播力 ――飛沫感染と空気感染
A型ウイルスの特徴 ――表面の2つの突起と種類の多い亜型
遺伝子交雑を起こしやすい ――8本の分節
突然変異を起こしやすい ――RNA遺伝子
猛烈な増殖のスピード

4 新型インフルエンザ発生のメカニズム
――鳥型ウイルスから人型ウイルスへ――

連続抗原変異 (マイナー・チェンジ) と毎年の流行
不連続抗原変異 (フルモデル・チェンジ) と新型インフルエンザ
過去の新型インフルエンザ
宿主間 (鳥と人) の垣根
遺伝子交雑や変異による宿主間の越境

2 強毒型ウイルスの脅威

5 いま何が起きているか?
――強毒性H5N1型ウイルスの感染拡大――

1997年の香港 ――鳥インフルエンザの流行と人への感染
2003年の再発とさらなる感染拡大
強毒型ウイルスの恐ろしさ ――高い死亡率とサイトカイン・ストーム

6 強毒型ウイルスの脅威
――人類未経験の全身重症疾患――

過去の新型インフルエンザはすべて弱毒型
ニワトリも殺す強毒型ウイルス
強毒型ウイルス全身感染のメカニズム
人類未経験の全身重症疾患
もはや 「インフルエンザ」 ではない

7 強毒型ウイルス発生のメカニズム
――密集状況でのウイルスの驚異的変異――

養鶏場から生まれた強毒型ウイルス
弱毒型も強毒型に変異する
鶏糞中のウイルスが遠隔地に
土着化した強毒型ウイルス
「指定感染症」 への指定

8 新型ウイルスの出現は 「時間の問題」
――鳥型から人型への接近の兆候――

人型ウイルスが出現すれば必ず日本にも襲来
インドネシアでの集団感染
鳥型から人型に接近するウイルス
「もはや時間の問題」 (WHO前事務局長)

3 新型インフルエンザ対策

9 最悪のシナリオでの被害想定
――「数億人の死者?」 という予測も――

スペイン・インフルエンザ以上の被害か?
「数億人の死者?」 という予測も
準備計画における楽観的すぎる被害想定

10 新型インフルエンザにどう備えるべきか?
――単なる 「医療」 でなく 「危機管理」 の問題――

ある程度の犠牲は避けられない
6段階の警報フェーズ――現在は3
早期封じ込め戦略はうまくいくか?
インフルエンザ監視体制の盲点
1週間で世界中に伝播
「医療」 でなく 「国家危機管理」 の問題
「備えあれば憂いなし」
トップダウンと事前の共通理解
メディアの役割
危機管理のジレンマ
リスク・コミュニケーション

11 パンデミックが来たらどうすべきか?
――被害を最小限に食い止める具体策――

抗インフルエンザ・ウイルス薬とは何か?
タミフルの効用と備蓄の状況
切り札としての新型ワクチン
プロトタイプ・ワクチンの事前備蓄計画
外出の自粛と家庭での備蓄 ――最も必要な準備
備蓄すべき物品と自宅での予防・看護
ウイルスの驚異的な感染力と人の移動の制限
壊滅が予想される医療サービスの確保
ライフラインの維持と非常時の行動計画
知ることこそ対策の第一歩

4 切り札としてのプレパンデミック・ワクチン

12 インフルエンザ理解とワクチンの重要性
――感染するか、 ワクチンを打つか以外にない――

われわれがすでに手にしている 「切り札」
流行後、 いつになれば安心できるのか?
スペイン・インフルエンザの教訓 ――いったん終息しかけた流行のぶり返し
インフルエンザ理解を妨げる 「感染率」 の罠
感染するか、ワクチンを打つか以外にない

13 プレパンデミック・ワクチンの重要性
――流行拡大のスピードと事前接種の意義――

パンデミック・ワクチンとプレパンデミック・ワクチン
プレパンデミック・ワクチンの研究開発
強毒性人型ウイルスの発生が懸念されるからこそ
プレパンデミック・ワクチンの事前備蓄の限界と有効性
プレパンデミック・ワクチンの事前接種の有効性
安全性と有効性はすでに確認されている
安全性と有効性をさらに高めるために
国民全員分の備蓄は技術的・費用的にすでに可能
民間主導による希望者への事前接種も可能
パンデミック・ワクチンの製造体制の整備
プレパンデミック・ワクチンの事前接種こそ最も効果的


あとがきにかえて
(岡田晴恵)

「公衆衛生」 としての 「集団免疫」 の確保 ――〈増補新版〉刊行にあたって
(岡田晴恵)

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