- 小池政行 著
- 四六上製 256頁
ISBN-13: 9784894347410
刊行日: 2010/4
“赤十字”は何をしている? “人道”って何?
“赤十字”――日本でのイメージは“病院”くらいだろうか? “赤十字”は実は、要請があれば世界中どこにでもかけつけ、どこの国家にも属さない“中立”な立場で戦争や自然災害による飢餓、医療アクセス不能、家族の離散、都市機能の崩壊などからの救援活動をおこなう“人道”救援団体である。その創始者アンリ・デュナンのように、困難な状況にある人々を敵味方なく救うという意識――“人道”意識を育むことで、日本人の国際感覚を問い直す。
目次
はじめに
第1章 赤十字の誕生
1 「赤十字」 思想の誕生 ――「人道」 の萌芽
2 赤十字組織の創設
3 創設者アンリ・デュナンとは
4 赤十字ムーブメントの拡大と核兵器時代における限界
5 「人道」 の具現化とは何か ――赤十字の意義
6 戦時のみならず平時から
7 現在の赤十字国際委員会 (ICRC)
8 赤十字の光と影
9 戦闘員と非戦闘員、 戦争と戦争がもたらすもの
10 ICRC要員の活動の現実
11 ICRCの活動の変容
12 「人道」とは何か
13 赤十字の多様な活動と組織、 その広がり
14 「中立」 とは、 「公平」 とは
第2章 カオスの中の人道活動
1 平和の時の 「人権」 と有事の際の 「人道」 の不明瞭さ
2 特定通常兵器の非人道性
3 非人道的兵器と国際条約
4 劣化ウラン弾、 生物毒素兵器、 化学兵器
5 非人道的兵器の廃棄に果たすべき日本の役割
6 人間の心の 「人道」 とは何か
7 兵士の精神的被害
8 国際関係から 「人道」 を見れば ――アメリカ、 ヨーロッパ、 日本
9 国際人道救援・援助活動の複雑な現場 ――CooperationからCoordinationへ
10 ハイチ地震からの復興
第3章 現在の人道機関に求められるものは何か
1 「国境なき医師団」 とは
2 現代の国際人道機関が抱える問題とは
3 今の世界の潮流の中での、 赤十字の人道とは
4 安否調査
5 人道救援の具体的システム ――アセスメント、 モニタリング、 ガイドライン
6 要員の安全確保 ――最後は自己責任というStaying Alive
7 人道援助機関と軍の役割の不明瞭化
8 赤十字の政治と経済 (1) ――日本赤十字社の場合
9 赤十字の政治と経済 (2) ――世界の場合
第4章 未来に向けての 「人道支援」 とその課題
1 ハイチに未来はあるのか
2 教育が果たす役割
3 「人間の安全保障」
4 PKOとは何か
5 「国際社会」 に生きる日本人として
6 エンパワーメント (参画) とエンゲージメント (関わり) の重要性
7 グラミン銀行
8 戦争の誘惑 ――我々の内に潜む女神ベローナ
9 戦争を考える
あとがき
主要参考文献
関連年表
索 引