「戦後」というイデオロギー――歴史/記憶/文化

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  • 高榮蘭(コウ・ヨンラン)
  • 四六上製 384ページ
    ISBN-13: 9784894347489
    刊行日: 2010/06

「植民地」は、いかに消費されてきたか?

幸徳秋水、島崎藤村、中野重治や、「植民地」作家・張赫宙、「在日」作家・金達寿らは、「非戦」「抵抗」「連帯」の文脈の中で、いかにして神話化されたのか。
「戦後」が編成する「弱い日本」幻想において不可視化されてきた多様な「記憶」のノイズの可能性を問う。




目次

はじめに ――日本 (語) の8月


第Ⅰ部 戦後というバイアス

第1章 幸徳秋水と平和的膨張主義

1 「幸徳秋水」 の編成
2 錯綜する 「帝国主義」 の概念
3 『廿世紀之怪物帝国主義』 と構成される平和主義
4 戦争責任論と戦後責任論の限界
5 非戦 / 反戦論の遠近法

第2章 『破戒』 における 「テキサス」

1 島崎藤村 『破戒』 をどう読むか
2 差別解消法としての植民論
3 「平和的」 膨張論・前史
4 雑誌 『社会主義』 における 「移動」 の言説
5 日本の植民地 「テキサス」


第Ⅱ部 記憶をめぐる抗争

第3章 戦略としての 「朝鮮」 表象

1 中野重治 「雨の降る品川駅」 を翻訳する
2 帝国日本のプロレタリア文学運動
3 朝鮮語メディアと書物の移動
4 「朝鮮人」 は被圧迫民衆なのか
5 連帯の幻想

第4章 植民地を消費する

1 転向と植民地作家の条件
2 崔承喜と張赫宙の対談
3 「和製・国産」 植民地スターの誕生
4 われらの 「朝鮮」
5 二重言語と日本 (語) 文学の起源をめぐる幻想

第5章 総力戦と 『破戒』 の改訂

1 ふたたび 『破戒』 について
2 「部落」 と 「朝鮮」 の交錯
3 全国水平社の運動方針
4 総力戦に向かって
5 「国民文学」 としての再生


第Ⅲ部 戦後神話のノイズ

第6章 文学と8月15日

1 「日本人」 は被圧迫民族なのか
2 金達寿 『玄海灘』 と国民文学
3 8月15日の遠近法
4 雑誌 『新日本文学』 と 『民主朝鮮』

第7章 「植民地・日本」 という神話

1 金達寿と許南麒
2 「抵抗」 する主体の編成
3 占領政策と 『民主朝鮮』
4 日本共産党のダブルスタンダード
5 「共闘」 をめぐる陥穽

第8章 共闘の場における 「女」 たち

1 メーデーのポスターから
2 抵抗する 「母」 の境界
3 「パンパン」 という身体

おわりに ―― 『シンセミア』 のかげの星条旗

1 平和なニッポンから
2 占領という空間と時間の交錯
3 「9・11」 と読者の位置
4 暴力の記憶を見る・聞く・語る

あとがき
人名索引

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