- E・ル=ロワ=ラデュリ / A・ビュルギエール 監修 L・ヴァランシ編
- 浜名優美 監訳
- A5上製 464ページ
ISBN-13: 9784894348073
刊行日: 2011/6
アナール派最高権威が年代別に重要論文を精選!
歴史学によって世界に世界を説明する。(フェーヴル)
「古代奴隷制の終焉」(ブロック)、「7-11世紀のイスラームの金」(ロンバール)、「イエズス会の日本での活動開始」(ショーニュ)、「神話から理性へ」(ヴェルナン)、「バロックと古典主義」(フランカステル)、「衣服の歴史学と社会学」(バルト)
……錚々たる書き手による名論文を収録。
(全5巻 / 第2回配本)
Anthologie des Annales 1929-2010
S?rie de cinq volumes dirig?e par E.Le Roy Ladurie et A.Burgui?re
目次
第Ⅱ巻 序文
―― パラダイム転換と一つの歴史学派の形成 1946―1957年
リュセット・ヴァランシ (平澤勝行訳)
リュシアン・フェーヴルの天下――歴史学によって世界を世界に説明する / ブローデル的
パラダイムとアナール派の形成
第1章 貨幣と文明
―― スーダンの金からアメリカ大陸の銀へ ―― 地中海のドラマ (1946年)
フェルナン・ブローデル(浜名優美+尾河直哉訳)
物々交換から銀の流通へ / ポルトガル経由のスーダンの金 / スペインとアメリカ大陸の銀
第2章 古代奴隷制の終焉
(1947年)
マルク・ブロック (平澤勝行訳)
奴隷の供給源としての戦争 / 自由を得た奴隷 ―― 神の法に反する奴隷制 / 自
由の概念と隷属の概念の変化 / 「奴隷」という言葉の来歴
第3章 経済的覇権を支えた貨幣
―― 7―11世紀のイスラームの金 (1947年)
モーリス・ロンバール (平澤勝行訳)
金の支配者たる東方商人 / 中世初期の経済史上の大事件 ―― 退蔵金の再流通化 /
イスラームの金の世界的役割
第4章 ブドウ畑、 ワイン、 ブドウ栽培者
(1947年)
リュシアン・フェーヴル (井上櫻子訳)
ブドウ栽培者に注目するラブルースの経済史について / ロジェ・ディオンの研究 ―― ブドウ
畑、 ワイン、 ブドウ栽培者
第5章 一時的な市場から恒久的な植民地へ
―― 中世における商業政策の発展 (1949年)
ロバート・サバティーノ・ロペス (北垣潔訳)
中世初期 ―― 国境検問所、 国際貿易 / 通行許可証、 随員 / イタリア、 フラ
ンスの監視システム / 常住の商人集団
第6章 アメリカ産業界における 「人的要素」 の諸問題
(1950年)
ジョルジュ・フリードマン (池田祥英訳)
労働組合 / 労働の流動性 / 黒人
第7章 経済界、 金融界の一大勢力
―― イエズス会の日本での活動開始 1547―1583年(1950年)
ピエール・ショーニュ (井上櫻子訳)
イエズス会の布教活動 / 日本の宗教的征服 ―― ポルトガルの中継ぎ貿易の副産
物 / 布教と取引
第8章 ブルゴーニュにおけるブドウ栽培の起源
(1950年)
ロジェ・ディオン (池田祥英訳)
ガリア=ローマ時代のブドウ栽培 / 古代のテクストの読み方 / 新しい品種の出現によっ
て始まったブルゴーニュでのブドウ栽培
第9章 往生術
―― 15世紀末における死の問題に関する覚書 (1951年)
アルベルト・テネンティ (池田祥英訳)
死の技法 / 木版の 「往生術」 / 「良く生き良く死ぬための術について」
第10章 17世紀パリにおける出版業
―― いくつかの経済的側面(1952年)
アンリ=ジャン・マルタン (井上櫻子訳)
独占的出版体制 / 少数の大規模出版業者 / 印刷業者 / ルイ十四世治下での読者層の拡大 /
紙の問題 / 原稿料の高騰化 / パリ、 リヨン、 ジュネーヴの業者の衝突 /
コルベールによる印刷・出版業者の集約化 / コルベールの政策の失敗とフランス出版業界の衰退
第11章 ボーヴェジにて
―― 17世紀における人口学的問題 (1952年)
ピエール・グベール (池田祥英訳)
17世紀フランス農村の人口学的様相 ―― 出生数と死亡数の多さ / 婚姻数と出生数の変遷 /
死亡数と出生数の変遷
第12章 16世紀半ばにおけるフランス経済とロシア市場
(1954年)
ピエール・ジャナン (北垣潔訳)
貿易と政治 ―― キルヒナーの政治学的論証の問題点 / 塩の取引からみたフラ
ンス=バルト海交易 / バルト海ルート、 北海ルート、 大陸ルート / /ロシア
への交易ルートをめぐる争い
第13章 1640年をめぐって
―― 大西洋の政治と経済(1954年)
ユゲット・ショーニュ&ピエール・ショーニュ (北垣潔訳)
ポルトガルのブラジル進出とスペインとの連合 / ポルトガルとオランダの争い /
1640年のポルトガルの反乱はなぜ起きたか / イエズス会では説明できないポルトガルの反乱 /
スペインとの連合による経済的利益の消滅
第14章 神話から理性へ
―― アルカイック期ギリシャにおける実証的思考の形成 (1957年)
ジャン=ピエール・ヴェルナン (塚島真実訳)
イオニアの自然学 ―― 神話的イメージから抽象的概念へ / 魔術者 ―― 哲学
者の起源 / 政治的秩序と哲学者の役割
第15章 バロックと古典主義
―― 一つの文明 (1957年)
ピエール・フランカステル (井上櫻子訳)
バロックとは何か ―― 起源と意義 / 古典主義とは何か / 古典主義、 バロッ
ク、 アカデミズム / バロック (絶えず発展する芸術) と古典主義 (17世紀
における近代的思考の革命的形態)
第16章 衣服の歴史と社会学
―― 方法論的考察 (1957年)
ロラン・バルト (池田祥英訳)
服飾史の不備 / ラングとパロール、 服飾と服の着用 / 通時態と共時態 / シニフィア
ンとシニフィエ
原 注
出典一覧
監訳者・訳者紹介
監修者・執筆者紹介