ISBN-13: 9784894348226
地面が揺れだす。まるで風に舞う紙屑だった。
2010年1月12日、ハイチ大震災。
首都ポルトープランスで、死者30万超の災害の只中に立ち会った作家が、ひとつひとつ手帳に書き留めた、震災前 / 後に引き裂かれた時間の中を生きるハイチの人々の苦難、悲しみ、祈り、そして人間と人間の温かい交流と、独自の歴史への誇りに根ざした未来へのまなざし――
目次
私の部屋の中の日本 ―― 日本の読者へ
一分という時間
ようやくにして生活が
静けさ
弾 丸
梯 子
小さな祝い事
ホテルの従業員
浴 室
も の
恋人よ、どこ?
宵
時 間
居場所
ラジオ
祈 り
動物たち
物たち
群 衆
歌
四三回の揺れ
コンクリートの罠
革 命
外部との最初の通信
外
マンゴーを売る女
はじめて遺体を見る
リズム
人生を愛する男
カリビアン・マーケット
お 金
黄色い薄っぺらな板
音楽椅子
エ ス
亡き友について
短篇映画
緑のジープ
フランケチエンヌの家で
十字に組まれた腕
母の家で
甥
教 区
トルイヨの家
ホテル・モンタナ
ジョルジュの死
悲しい眼差しの少年
文 化
喪に服する男
ホテルの部屋
羽目を外す時
神々への捧げ物
二日目の夜
嫌な女
一人の若者
人の若者
朝の会話
最初の状況確認
風 評
落ち着きを保った都市
アモス・オズ
身支度
決 断
意味論戦争
不安の夜
TVの小さな画面
コップの水
ハイチ零年
母への電話
場所の喪失
一〇秒
ケーキの分け前
不確かな足下
決定的瞬間
支援願望
帰 郷
最後の医者
それのエネルギー
女の世界
悪いのは誰?
回廊にて
若いキリスト
街角の予言者
スターが街にやって来た
正面の屋敷
ルネ叔母さんの葬式
ルネ叔母さんの憂愁
マラリア
体 震
新しい単語
軽度の身体変調
フランケチエンヌの戦略
ランケチエンヌの戦略
木 材
放浪の友
一枚の写真
新たな標識
ゴルフ
椅 子
神の位置
芸術都市
ブラジルとハイチ
仕事中の作家
プチゴアーヴの日曜日
電 気
パレ・ナショナル
一月十一日
神々に語りかける
グドゥグドゥ神の御意志
テレビの時間
医者に行く
新しい芸術
社会的絆
信頼できる友
役に立つとはなにか
近所の市場
議 論
私はそこにいた
タイヤ
それとないパニック
狂 気
笑いと死
新しい都市
再会の友
秘密の儀式
古き知
お金のエネルギー
貧者の献金
モルヌ・カルヴェール
集団生活
テントの下の読書
放蕩息子
世界の優しさ
ハイチ略年表
訳者あとがき