ISBN-13: 9784894348530
刊行日: 2012/04
多田富雄三回忌記念出版 現代的課題に斬り込んだ全作品を集大成!
免疫学の世界的権威として活躍しつつ、能の実作者としても、脳死、強制連行、核兵器、戦争など、現代的課題に次々と斬り込んでいった多田富雄。1989年の第一作「無明の井」から、最晩年の「花供養」まで、現世と異界とを自在に往還する「能」という芸術でなければ描けない問題を追究した全8作品に加え、未上演の2作と小謡を収録。巻末には6作品の英訳も附した決定版。
目次
はしがき 笠井賢一
序 多田富雄
能の本を書く事――世阿弥の『三道』をめぐって
能楽二十一世紀の観点
無明の井
創作ノート/構成/無明の井
望恨歌
創作ノート/望恨歌(マンハンガ)
一石仙人
創作ノート/一石仙人
原爆忌
作者ノート/あらすじ/原爆忌
長崎の聖母
作者のメッセージ/あらすじ/長崎の聖母
沖縄残月記
創作ノート/あらすじ/沖縄残月記
横浜三時空
作者ノート/あらすじ/横浜三時空
花供養
新作能「花供養」に寄せて/あらすじ/花供養
生死の川――高瀬舟考
蜘蛛族の逆襲――子供能の試み
創作ノート/蜘蛛族の逆襲――子供能の試み
小謡 歩み
解題(笠井賢一)
編者あとがき(笠井賢一)
多田富雄 略年譜/多田富雄 新作能上演記録/底本一覧
〔巻末附録〕英訳詞章集