- マーティン・バナール
- 金井和子
- A5上製 472ページ
ISBN-13: 9784894348639
刊行日: 2012/06
西欧世界で大論争を巻き起こした問題の書! 『黒いアテナ』批判の反批判!
ギリシア文明がエジプト・フェニキア等アフロ・アジアから大きな影響を受けて発展したことを、文書的・言語学的・考古学的に示した『黒いアテナ』(全3巻)。近代の人種差別的・過剰な科学主義的〈アーリア・モデル〉によって駆逐された考えを復活・発展させたこの問題作は、激しい批判を受けた。本書は、著者バナールが、その批判が不適当だと逐一論駁した、論争の書。
目次
日本の読者へ
序
第Ⅰ部 エジプト学
第1章 私たちは公正であり得るか
〔ジョン・ベインズに答える〕
第2章 ギリシアはヌビアではない
〔デイヴィッド・オコーナーに答える〕
第Ⅱ部 古典学
第3章 ギリシア史を書く資格はだれにあるか
〔ロレンス・A・トリトルに答える〕
第4章 死のエジプト様式はどのようにギリシアに到達したか
〔エミリー・ヴァミュールに答える〕
第5章 単なる錯覚か
〔イーディス・ホールに答える〕
第Ⅲ部 言語学
第6章 〈音法則に例外なし〉はすべてに優越する
〔ジェイ・H・ジェイサノフとアラン・ヌスバウムに答える〕
第Ⅳ部 歴史記述
第7章 正確さ および/または 首尾一貫性か
〔ロバート・ノートン、ロバート・パルター、ジョシネ・ブロックに答える〕
第8章 情熱と政治
〔ガイ・ロジャーズに答える〕
第9章 イギリスの功利主義、帝国主義、〈古代モデル〉の没落
原注/用語解説
関連情報
本書『「黒いアテナ」批判に答える』Black Athena Writes Backは『「黒いアテナ」再考』Black Athena Revisitedにたいする直接の応答である。1996年に出版された『再考』は、いくつかの学問分野の著名な学者が執筆した論文集だが、執筆者は私の著作のさまざまな長所をみとめる一方、概して私の著作に批判的――ときには猛烈に批判的――である。なかには、純粋に学問的な理由から『黒いアテナ』のプロジェクト全体を攻撃している人もいるが、学問的動機と右翼的・政治的動機――と私は感ずる――をないまぜて、『黒いアテナ』を攻撃している人もいる。この結びつきは強力であり、疑いなく、専門家ばかりでなく非専門家の一般教養人の多数も『再考』の主張に説得されていた。本書の各章は、詳細かつ包括的に、『再考』の主張に異議を申し立て、また論争し、私たちの観点からバランスを回復させようという企てである。
(「序」より)
(「序」より)