『黒いアテナ』批判に答える 下(全2分冊)

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  • マーティン・バナール
  • 金井和子
  • A5上製 368ページ
    ISBN-13: 9784894348646
    刊行日: 2012/08

西欧世界で大論争を巻き起こした問題の書! 問題作『黒いアテナ』をより明快に論じる!

25年前に出版されるや大反響を巻きおこしたバナール著『黒いアテナ』。向けられた批判の一つ一つに答えたのが本書である。彼の提唱する〈改訂版古代モデル〉が、本書ではより明快に説明され、古代ギリシア文化がエジプト、レヴァントなどからの影響を受けて発達した混合文化だったと主張し、文化の混交がもたらす豊かな実りと革新の重要性に注目している。



目次

第Ⅴ部 科学
 第10章 ギリシアに科学の奇跡はあったか
    〔ロバート・パルターに答える〕
 第11章 西洋科学起源論を批判する

第Ⅵ部 広がる学問的関心――最近の動き
 第12章 エジプト抜きのギリシア美術と王子抜きの『ハムレット』
    〔サラ・モリス『ダイダロスとギリシア美術の起源』を論ずる〕
 第13章 革命は一回か複数回か
    〔ヴァルター・ブルケルト『オリエント化革命
      ――初期アルカイック時代のギリシア文化と近東の影響』を論ずる〕

 第14章 行く手にある山
    〔マーティン・ウェスト『ヘリコン山の東壁
      ――ギリシアの詩と神話にみる西アジア的要素』を論ずる〕

 第15章 古代ギリシアにみるフェニキアの政治とエジプトの正義

第Ⅶ部 普及の努力
 第16章 ウェルズリー戦線異状あり
    〔メアリー・レフコヴィッツ『アフリカ起源ではない』を論ずる〕

結論

    原注/訳者あとがき/参考文献/索引

関連情報

副題「古典文明のアフロ・アジア的ルーツ」が示すように、古代には、ヨーロッパの「源流」とされるギリシア古典文化の起源は、エジプト(アフリカ)とレヴァント(フェニキア)にあると考えられており、これは自明だった――バナールはこれをギリシア文化の〈古代モデル〉と呼ぶ。ところが近代以降、ヨーロッパはこの〈古代モデル〉に代えて、ギリシア文化は北方から侵略したアーリア人が前ギリシア人を征服し、独自に創り上げた無比の文化だという〈アーリア・モデル〉を「捏造」した。古代以来、長いあいだ受け入れられていた〈古代モデル〉を〈アーリア・モデル〉が駆逐した。この駆逐に大きな役割を演じたのが人種差別だった。そこで、彼は〈古代モデル〉を復権させ、このモデルにいくつかの修正を加え、〈改訂版古代モデル〉を提唱した。
 バナールのこの主張はすぐさま大きな波紋を呼び、関連する諸学問分野ばかりでなく、教育界や言論界を巻き込んだ論争がはじまった。好意的な反応もあったが、反発のほうが大きかった。とりわけ、「正統的」古典学や言語学からの抵抗と批判はすさまじかった。
(「訳者あとがき」より)

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