ISBN-13: 9784894348868
刊行日: 2012/12
「景と心はひとつ」
日本語には、“自然と人間が一体としてある”
という認識が、奥ふかく織りこまれている――
和歌を通して、大自然の律動を聞き、
積み重ねられた歴史を受けとめる、日本の生のありようを綴る。
目次
序 人は自然の内に
■春
1 雪の玉水 春を待ちのぞむ
2 若 月 時を恋する
3 梅と雪 美に包まれる
4 霞 春に溶け込む
5 梅の香 いのちの始原へ
6 早春の情 香と光が競い合う
7 軒端の梅 自分らしく咲く
8 絲 遊 未来につながる
9 伊 吹 想いはもえる
10 春のけしき いのち息づく
11 みちのく 愛しく美しく
12 桜の精気 身を染める
13 桜の美 憂き世を超える
14 あけぼの せつなく美しく
15 落 花 生の背理をしめす
16 花片の舞 水なき空に
17 魂の花びら 他界は始まり
18 散る花 巡り来るいのち
19 夕づく日 移ろいと映ろい
20 春の暮れ 月の光に守られて
■夏
21 立 夏 時空はつながる
22 更 衣 面影に惜春
23 藤 波 永遠を見る
24 楝の花 紫雲に逢う
25 ほととぎす 激情と湿潤と
26 梅 雨 期待は雨に
27 涙 河 言葉は正直
28 雨にけぶる 闇から明るみへ
29 五月雨 魂の真珠
30 短 夜 夢見る人の世
31 花 橘 人は雲に、風に
32 鳰 鳥 忍ぶ思いの海
33 蚊遣火 恋は下燃え
34 鵜 飼 恩寵の光と闇
35 暑 気 涼を見つける
36 照る日 酷暑を越えて
37 富 士 時節を越える
38 夏 衣 触覚の涼
39 さゆりば 夏草を過ぎる風
40 夏の終わり 静けさと激しさ
■秋
41 立 秋 朝けの風
42 下葉の露 豊かさとかげり
43 秋の情 手にとって
44 七 夕 宇宙的な交信
45 藤 袴 野辺の香り
46 八重葎 秋草の華やぎ
47 斎 宮 夢かうつつか
48 初 雁 中空の物思い
49 はるかなる空 美と恵み
50 紅 葉 おのずからの美
51 木枯らしの月 明るさと勁さ
52 秋の夕暮れ 無いは有る
53 野 辺 荒涼に立つ
54 熊 野 祈りへ導く
55 蜘蛛の糸 はかなさを越えて
56 末の松山 願いと知恵と
57 見舞い 来世を貫く
58 初 霜 まっすぐに立つ
59 位 山 くらい高み
60 月 光 ふりそそぐ慈愛
■冬
61 あさぼらけ 想いは交錯
62 廃 墟 大いなる循環
63 水 鳥 われとよそ
64 山 鳥 生を願う
65 銀世界 自然の内に
66 おとずれ 呼吸を合わせ
67 仏 名 世界を清浄に
68 昨年今年 節を言祝ぐ
69 立 春 言葉が呼びだす
70 歌の父母 心を和らげる
あとがき
主な参考文献
歌索引