ISBN-13: 9784894348929
刊行日: 2012/12
第7回河上肇賞 本賞受賞作!
明治初期、宮城県・石巻湾岸の漁村、野蒜を湧かせた、国際貿易港計画とその挫折。忘却あるいは喪失された往時の実情を、新聞史料から丁寧に再構築し、開発と近代化の渦中を生きた人びとを活写、東日本大震災以降いっそう露わになった、〈地方〉の疲弊に対して、喪われた「土地の記憶」の回復がもたらす可能性を問う。
目次
はじめに
序 章
野蒜築港概要/新聞史料
第1章 築港の時代
維新のあとの宮城/困窮の原因/喘ぐ士族たち/士族に向けられる視線
第2章 築港によせる期待と不安
国家プロジェクト野蒜築港/地域意識
第3章 築港をめぐる風景
工事という近代化/工事に携わる人々/ 騒がしい日常
第4章 終 焉
表面の順調/不穏な空気/市街地払下とコレラ/嵐の後
終 章 開発の記憶
築港を振り返るとき/真山青果『焔の舞』/地域に残る記憶の断片/
記憶の行方/新しい物語り/終わりに――3月11日を越えて