「大和魂」の再発見――日本と東アジアの共生

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  • 上田正昭
  • 四六上製 368ページ
    ISBN-13: 9784894349544
    刊行日: 2014/02
  • 日本古代史の碩学が、東アジアとの共生をとなえる。

    「才を本としてこそ、大和魂の世に用ひらるる方も、強う侍らめ。」(『源氏物語』)
    「「大和魂」という用語は、私の調べたかぎりでは『源氏物語』が初見である。いうところの「大和魂」とは戦争中さかんに喧伝されたような日本精神などではない。「日本人の教養や判断力」を紫式部は「大和魂」とよんだのである。」(本文より)

    目次


    「大和魂」のまことの姿とは何か――序にかえて

    I 古代日本と東アジア
     古代の日本と東アジア
     邪馬台国と纒向遺跡
     二つの「飛鳥」新考
     古代の日本と百済の文化――善隣友好の象徴
     古代日本の士大夫――三輪朝臣高市麻呂の天皇への諫言をめぐって
     遣唐使と天平文化
     聖武天皇と恭仁京
     王統の画期としての應神朝
     秦氏の活躍と秦氏の神々
     東アジアのなかの古代京都盆地

    II 古代学とのえにし
     角田古代学の発展的継承
     平安時代と古典文学
     坂上田村麻呂と清水寺
     京都有終のみかど
     和辻哲郎と津田左右吉の学問
     松本清張『古代史疑』との絆
     西嶋史学とのまじわり
     広開土王陵碑と李進熙

    III 近代日本と東アジア
     アジアのなかの大阪――東アジアと難波津
     「民際」の原風景――猪飼野
     併合百年の影と光
     日本人のこころ――石田梅岩・雨森芳洲・南方熊楠の英知に学ぶ
     日本とアジア――その歴史と現代の課題
     歪曲された朝鮮観を問いただす
     まちづくりと人権文化の輝き
     東日本大震災の教訓

    島国日本と島嶼連合――むすびにかえて

     あとがき
     初出一覧

    関連情報

    ■ここで想起するのは『源氏物語』の乙女の巻で、紫式部が光源氏の子息夕霧の学問がいかにあるべきかをめぐって述べているつぎの文章である。
    「才を本としてこそ、大和魂の世に用ひらるる方も、強う侍らめ」。(…)
    前掲の文章に「才」とあるのは「漢才」であり、漢詩や漢文学を指す。言葉を換えれば海外からの渡来の文化ということにもなろう。漢才をべースにしてこそ、大和魂(和魂)が世の中に作用してゆくありようは、ますます強くなると明言している。
    私がはじめてこの文章とであった時、紫式部の見識の広さと深さを身近に感じた。意外に思われるかも知れないが、「大和魂」という用語は、私の調べたかぎりでは『源氏物語』が初見である。いうところの「大和魂」とは戦争中さかんに喧伝されたような日本精神などではない。「日本人の教養や判断力」を紫式部は「大和魂」とよんだのである。(本書より)

    ■現代の日本では「洋才」ばやりで、守るべき「大和魂」はすっかりかすんでしまった。「世に用ひらるる大和魂」のまことの姿を再発見すべきではないか。(…)いったい何を守り、何を捨てるべきか。縄文以来の日本の史脈にそくして検証すべき時を迎えている。権力者のみずからを守るためのたわごとに惑わされてはならない。東アジアのなかの日本はいまこそ、「和魂漢才」・「和魂洋才」を正しくうけとめて、東アジアの人びとと連帯し、民衆と民衆がまじりあう「民際」にもとづいて、たんなる「共生き」ではない、東アジアの人びとと共に新しい歴史と文化を創造する「共生み」の二十一世紀を構築すべきではないか。(本書より)

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