ISBN-13: 9784894349551
刊行日: 2014/02
草の根の力で未来を創造する。
「方位は定まった。将来に向けて、広範な記憶の場を組織することにしよう。途方に暮れているわけにはいかない。見届けること。記憶すること。記録に留めること。すべてを次代へと語り継ぐために、希望を紡ぐために。」
復興構想会議委員、「ふくしま会議」代表理事、福島県立博物館館長、遠野文化研究センター所長等を担いつつ、変転する状況の中で「自治と自立」の道を模索してきた三年間の足跡。
目次
はじめに
■2011年
東北の民俗知、今こそ復権
広やかな記憶の場を
大震災のあとに東北がはじまりの地となる
海のかなたより訪れしもの、汝の名は
フクシマはわたしの故郷である
熊谷達也『いつかX橋で』解説
鎮魂と再生のために
被災地からの手紙
福島、はじまりの場所へ
福島を、自然エネルギー特区に
八千万人の日本列島
福島から未来を創りたい
おまえ、俺の何がわかってるんだ、と呟く声がする
人と自然との関係が問われている
それは独立への手引き書だった
復興のスピードアップを――市町村支援の態勢強化
原発について、恥じらいとともに語りたい
旅師がリアスの村や町をゆく
『反欲望の時代へ』はじめに
震災と東北
自然の記憶の覚え書きがほしい
聞き書きの旅が求められている
風評被害と戦うために
対立と分断を越えて
新たな農の思想が求められている
文化による復興は可能か
東北巡礼のために
■2012年
希望の始まりの土地・福島
復興特需などほんの幻だ
震災後の思想は可能か
震災からの復興――東北ルネサンスに向けて
一年後のインタヴュー
3・11からの再生――一年後の提言
『「辺境」からはじまる』あとがき
原発と民俗学
文化・芸術による震災復興についての覚え書き
震災から言葉へ
なぜ、青森の雪は拒まれたのか
震災を超えて
いま、静かな怒りの声を
災間を生かされてあること
あすの福島を創るために
やがて、福島がはじまりの土地となる
■2013年
ふくしまの声
あらたな入会の思想を求めて
泥の海、自然と人間の交渉史のなかで
みちのくアート巡礼を始めよう
東北と奄美・沖縄、楕円の二つの焦点として
子どもの眼は世界を宿して
「増山たづ子 すべて写真になる日まで」展に寄せて
東北から五〇年後の日本を描く(対談=後藤正文)
災間を生きるために
災害を仲立ちとして、世界に開かれる
〈そのとき〉からの時間を抱いて
書評/ミカエル・フェリエ『フクシマ・ノート』
再び、『風の谷のナウシカ』について
三・一一から考える――いま、わたしたちが問われていること
コミュニティパワー国際会議 2014 in 福島 基調メッセージ――「あとがき」にかえて
関連情報
(本書「はじめに」より)
●赤坂憲雄(あかさか・のりお)
1953年生。学習院大学文学部教授。一般社団法人「ふくしま会議」代表理事。福島県立博物館館長。遠野文化研究センター所長。1999年、責任編集による『東北学』を創刊。2011年、東日本大震災復興構想会議の委員に就任。
著書『東北学/忘れられた東北』『岡本太郎という思想』(講談社学術文庫)『民俗学と歴史学』『歴史と記憶――場所・身体・時間』(玉野井麻利子、三砂ちづると共著、以上藤原書店)『3・11から考える「この国のかたち」』(新潮選書)、編著『鎮魂と再生』『世界の中の柳田国男』(R・A・モースと共編、以上藤原書店)等。