闘争の詩学

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  • 金明仁
  • 渡辺直紀 訳
  • 四六上製 320ページ
    ISBN-13: 9784894349742
    刊行日: 2014/06
  • 文学とは――夢を見ること 反省すること 闘うこと

    近代化の中で常に民主主義と文学を問い続けてきた、韓国気鋭の批評家の論考を精選!!

    目次


     日本の読者たちへ

    第1章 一九八七年、そしてその後
      ――革命と反動、共同体と個人の間、六月抗争二〇周年を語る――
     1 プロローグ――ある自画像
     2 これまでの世の中の話――小さな革命、大きな反動
     3 これまでの私、あるいは私たちの物語――共同体から個人へ
     4 エピローグ――ふたたび解放のために

    第2章 光州民衆抗争とは何だったのか
      ――韓国民主化の敵としてのアメリカ、そして韓国の現在――
     事件の記念と忘却/事件の本質とアメリカの存在/アメリカに対し新軍部が強権を誇示/
     なぜ光州か/新軍部が衝突を意図的に誘発/洗脳された虐殺ロボット/
     抵抗する美しい光州コミューン/アメリカ帝国主義の本質/民主化運動の主体と霧林事件/
     一九八七年以来一貫している対米従属/今日さらに深まっている危機/
     光州論を独占する国家/民主化時代なのに民主主義のない時代

    第3章 新しい時代の文学の抵抗のために
     1 映画『ペパーミントキャンディ』(李滄東監督、二〇〇〇年)が教えること
     2 二〇〇〇年代の文学をどう開いていくべきか
     3 生の植民化に抗して戦う文学
     4 文学でベトナムを克服するということ
     5 文学よ、つばを吐け
     6 韓国文学は世界文学のなかで
     7 時代の貧困に打ち勝つために――幻滅と疲労を越えた根源的批評への期待
     8 方法的孤独の批評のための弁明
     9 単子、商品、そして権力
     10 この時代に文学をするということ

    第4章 ふたたび批評を始めて
     1 火をさがして戻る
     2 「転倒」を生きる
     3 自分が生きていた時代に根をおろすこと
     4 新たな啓蒙のかたち

    第5章 リアリズムと民族文学論を越えて
      ――危機意識の復元と新たなパラダイム構成のための試論――
     1 批評の公共性と運動性の復元のために
     2 リアリズムとモダニズム――古い二項対立の解体
     3 民族、民族文学、民族文学論をいかに考えるべきか
     4 また戻ってくる道、ともに進む道

    第6章 高銀論――一九六〇年代的ニヒリズムの最終章
     1 散文集『セノヤ、セノヤ』と民衆写実
     2 革命と混沌の一九六〇年代
     3 ニヒリズムと高銀の詩世界
     4 「あらゆる名もなき物と人の華厳」
     5 おわりに

    第7章 黄?暎論――恥辱の感覚
     1 黄?暎と一九八〇年代
     2 『武器の影』
     3 「日記抄」連作
     4 あの八〇年代からの帰還
     〔補〕獄中の作家・黄?暎へ

    第8章 金学鉄論――ある革命的楽観主義者の肖像
     1 一時代が幕をおろす
     2 『海蘭江よ、語れ』――金学鉄を呪縛した金学鉄の小説
     3 『二十世紀の神話』――悲劇とユーモア、政治と美学の統一
     4 『激情時代』――開かれた物語構造に内在する革命的楽観主義
     5 誰が世界人か
     6 おわりに――金学鉄先生からの手紙


     訳者あとがき
     韓国民主化関連年表


    関連情報

    金明仁(キム・ミョンイン)
    韓国・仁荷大学校師範大学国語教育科教授。文芸評論家・コラムニスト・季刊『黄海文化』編集主幹。
    1958年韓国・江原道生まれ。ソウル大国文科、仁荷大大学院卒。文学博士。ソウル大学在学中から非合法学生運動グループに関与し、1979年に大統領緊急措置9号違反で、1980年に反共法および戒厳布告令違反で投獄され、1983年の光復節仮釈放で出所した経験がある。その後、いわゆる「民族文学主体論争」の論客として1980年代の中盤から後半にかけて韓国で繰り広げられた各種の文学論争をリードする一方、1990年代には金洙暎や趙演鉉など、韓国近現代文学に関する論文や著書を数多く発表した。
    著書に『希望の文学』(1990)、『眠れぬ希望』(1997)、『火をさがして』(2000)、『金洙暎――近代への冒険』(2002)、『自明なものとの決別』(2004)、『趙演鉉――悲劇的世界観とファシズムとのあいだ』(2004)、『幻滅の文学、背反の民主主義』(2007)、『内面散策者の時間――キム・ミョンインのロンドン日記』(2012)、などがある。


    現在の韓国では不幸にも、詩と小説の堕落――現実世界に対する想像的代案となりえず、現実世界の論理に商業的に抱き込まれてしまう現象――が深刻に進んでいると思われます。いまだ多くの作家や詩人は堕落していませんが、その堕落していない作家や詩人の居場所がますます消えつつあるのが今日の現実であり、それを「文学の死」といっても現在は大きく間違ってはいません。いや、より正確にいえば、それは現在、私たちの知っている「近代文学の死」というべきでしょう。
    (本文より)

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