心性史家アリエスとの出会い――“二十世紀末”パリ滞在記

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  • 中内敏夫 著
  • 四六上製 224頁
    ISBN-13: 9784894349766
    刊行日: 2014/6

「匿名の日常史」としての教育史をいかに創るか

1970年代末から90年代パリ。制度史、あるいは抵抗の歴史としての日本の「教育史」の刷新を模索していた著者が、『〈子供〉の誕生』で名を馳せていたフィリップ・アリエスを手がかりに接近した「デモグラフィ」とは何か。民衆の「心性」に迫る歴史の方法論を探る、知的格闘の日々。


目次

序言
1 ラスパイユ通り226番地

 〈幕間〉社会科学高等研究院での講義演習、そしてあっけない永遠の別れ

2 アレジア―サン・イーブ通り4番地

3 レシダンス・パンテオン・パリジアーナ

4 オテル・オリオン

 あとがき

関連情報

 1979年8月19日、パリへむけての出発とその後の日録のかたちではじまる本書は、当時、約10年にわたり同地で記されたものを、ほぼそのまま若干の解説を加えながら再現したものである。内容は多方面にわたっているが、主目的は、社会史の柱のひとつとして知られ、文中にもしばしばでてくるデモグラフィ(デモス〈ひとびと〉のグラフ)という概念のひろがりを探り、かねてその使用者であったフィリップ・アリエスの世界をあきらかにすることにあった。
 わたしが、この概念とアリエスにひかれたのは、その問題にする人口動態の奥に、史実を表層の選良たち、当然のことながら男たちだけの間の事件史の次元ではなく、深層の、匿名者たちの、日常史としてとらえてゆく手掛かりがあるように思われたからである。「デモグラフィ」は人口の統計学以上のものではないようにみえる。しかし、使いようによっては、これを、いままで手のとどかなかったデモスのグラフとして活用し、制度史、でなければ抵抗の歴史になりがちだった「教育史」の未知の次元をあらわにすることができる。さらには、民俗学と少しちがった「常民」史を拓くことができる、と思われたのである。
(本書より)

【著者紹介】
●中内敏夫(なかうち・としお)
1930年高知県生まれ。一橋大学名誉教授。教育学・教育史。京大・東大(院)卒。1965年、國學院大學専任講師のポストに就く。71年、お茶の水女子大学助教授に転ず。75年頃より、京都府教育研究所の評価論研究に協力し始める。84年、一橋大学教授に転ず。94年、中京大学教授に転ず。2001年、同停年退官。以来、教育目標・評価学会の同人活動に専念。
主要著訳書に『学力と評価の理論』(国土社、1971年、改訂増補版1976年)『新しい教育史』(新評論、1987年、改訂増補版1992年)『綴ると解くの弁証法』(渓水社、2012年、改訂増補版2013年)『中内敏夫著作集』(全8巻、藤原書店、1998-2001年)アリエス『「教育」の誕生』(共編訳、藤原書店、1992年)『人間形成論の視野』(共編、大月書店、2004年)ほか多数。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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