ISBN-13: 9784894349858
刊行日: 2014/08
世界文学の旗手の原点!
新しい町に到着したばかりの人へ
1976年、夏。オリンピックに沸く北の街、カナダ・モントリオール(モンレアル)に、母国ハイチの秘密警察から逃れて到着した、23歳の黒人青年。
熱帯で育まれた亡命ジャーナリストの目に映る“新しい町”の光と闇――
芭蕉をこよなく愛するフランス語作家が、一瞬の鮮烈なイメージを俳句のように切り取って投げつける、文体の破壊力!
目次
ぼくは
世の中がどんなか、
他人がどうしているか、
彼らがこの地球上で
何をしているか
見に来た
行きずりの観光客ではない。
好むと好まざるとにかかわらず
ここに留まるために来たのだ。
(本文より)
ぼくは亡命させられたわけではない、
殺される前に逃げたのだ。
(本文より)
関連情報
●ダニー・ラフェリエール(Dany Laferri?re)
1953年,ハイチ・ポルトープランス生まれ。小説家。4歳の時に父親の政治亡命に伴い,危険を感じた母親によってプチゴアーヴの祖母の家に送られる。彼にとっての「最初の亡命」であり,創作の原点と後に回想。若くしてジャーナリズムの世界に入るも,23歳の時に同僚が独裁政権に殺害されたため,カナダ・モントリオールに亡命。1985年,処女作である『ニグロと疲れないでセックスする方法』(邦訳藤原書店刊)で話題を呼ぶ(89年に映画化。邦題『間違いだらけの恋愛講座』)。90年代はマイアミで創作活動。2002年より再びモントリオール在住。『エロシマ』(91年),『コーヒーの香り』(91年),『終わりなき午後の魅惑』(97年),『吾輩は日本作家である』(08年。邦訳藤原書店刊),『帰還の謎』(09年,モントリオールの書籍大賞,フランスのメディシス賞受賞。邦訳藤原書店刊)など作品多数。2010年にはハイチ地震に遭遇した体験を綴る『ハイチ震災日記』(邦訳藤原書店刊)を発表した。その他,映画制作,ジャーナリズム,テレビでも活躍している。
■『帰還の謎』がケベックからハイチへの三三年ぶりの「帰還」を主題にした自伝的小説であるのに対して、本書は、話者が一九七六年にモンレアルに到着した直後の一年間の所感を綴ったもので、作家ラフェリエールの原点といってもよい。
■ダニー・ラフェリエールはモンレアルに移住する前、ジャン=クロード・デュヴァリエによる独裁政権が続くハイチの首都ポルトープランスで、反対派の急先鋒『プチ・サムディ・ソワール』紙のジャーナリストをしていた。一九七六年夏、同僚が秘密警察員に暗殺され、自らもブラックリストに載っていることを知ると、急遽国外脱出を図る。二十三歳のときのことだった。
(小倉和子「訳者解説」より)
1953年,ハイチ・ポルトープランス生まれ。小説家。4歳の時に父親の政治亡命に伴い,危険を感じた母親によってプチゴアーヴの祖母の家に送られる。彼にとっての「最初の亡命」であり,創作の原点と後に回想。若くしてジャーナリズムの世界に入るも,23歳の時に同僚が独裁政権に殺害されたため,カナダ・モントリオールに亡命。1985年,処女作である『ニグロと疲れないでセックスする方法』(邦訳藤原書店刊)で話題を呼ぶ(89年に映画化。邦題『間違いだらけの恋愛講座』)。90年代はマイアミで創作活動。2002年より再びモントリオール在住。『エロシマ』(91年),『コーヒーの香り』(91年),『終わりなき午後の魅惑』(97年),『吾輩は日本作家である』(08年。邦訳藤原書店刊),『帰還の謎』(09年,モントリオールの書籍大賞,フランスのメディシス賞受賞。邦訳藤原書店刊)など作品多数。2010年にはハイチ地震に遭遇した体験を綴る『ハイチ震災日記』(邦訳藤原書店刊)を発表した。その他,映画制作,ジャーナリズム,テレビでも活躍している。
■『帰還の謎』がケベックからハイチへの三三年ぶりの「帰還」を主題にした自伝的小説であるのに対して、本書は、話者が一九七六年にモンレアルに到着した直後の一年間の所感を綴ったもので、作家ラフェリエールの原点といってもよい。
■ダニー・ラフェリエールはモンレアルに移住する前、ジャン=クロード・デュヴァリエによる独裁政権が続くハイチの首都ポルトープランスで、反対派の急先鋒『プチ・サムディ・ソワール』紙のジャーナリストをしていた。一九七六年夏、同僚が秘密警察員に暗殺され、自らもブラックリストに載っていることを知ると、急遽国外脱出を図る。二十三歳のときのことだった。
(小倉和子「訳者解説」より)