日本語版への序文
はじめに

第Ⅰ部　未生の経験とざわめく欲望

第1章　恐れと嫌悪の淵源

大洪水の残骸を溜める底なしの器
古代における怒れる海のコード化

第2章　浮かびあがる讃嘆のかたち

水鏡に映る幻夢劇と揺るぎない悟りの場所
神の不思議が集まるところ
すばらしきかな、 スヘーヴェニンゲンの道
解釈の快楽
―― カンパーニア海岸詣で ――

第Ⅱ部　あたらしい愉悦の輪郭

第1章　身体と海のあたらしいハーモニー

憂いと欲望の架け橋
海水浴、 浜辺、 自己の行動様式
―― 息を詰めて水に潜るときの隠微な快楽 ――
自己をめぐる行動様式と海岸保養
―― 人知れぬ歓喜にあふれた生活術 ――

第2章　世界のはらむ謎を読み解く

陸の古文書
干あがる場所
科学者の武勲

第3章　鮮烈なる驚き

暗黒のゴシックの海にそそりたつ崇高なる断崖
海の画趣をめぐる遅い目覚め
灼けた砂への嫌悪、 透明感にたいするあたらしい情動

第4章　うつろう道筋

情動の新たな富
浜辺の官能的な行動様式
渚の睦やかな楽園

第Ⅲ部　錯綜する社会情景

第1章　港見物

さまざまなる視線
悦楽の道

第2章　砂浜の百科全書

実態の把握
拡大する人類学の試み

第3章　透視画のなかの登場人物たち

意味探求のさまざまなありかた
変身する半獣
砂浜の黄金時代

第4章　海岸の悲壮美とその変容

情諸のドラマツルギー
血の海
砂の海での遭難

第5章　浜辺リゾートの創出

行動様式の系譜学
共振する空間と欲望
はじめに貴族の先導ありき

むすび
方法をめぐるノート
附録 「めくるめく輻輳」  ――名前なき歴史を粗描的に展望する

原註
謝辞
訳者あとがき
附録地図