ISBN-13: 9784938661984
刊行日: 1994/9
最期の秩父事件
総合科学としての歴史学を構想した、井上幸治畢生の大業「秩父事件研究」の最終的到達点を呈示。名著『秩父事件』(中公新書68年)以降、当初の10倍の史料を得て格闘した著者の、その死に至るまでの研究の深化を集大成した、「全体史」としての秩父事件。
目次
第I部 出発点
秩父事件 自由民権期の農民蜂起
まえがき
II
III
IV
V
VI
VII
VIII
IX
秩父自由党
困民党の運動
困民党の組織と論理
武装蜂起
本陣の崩壊
山中谷
八ヶ岳山麓
始末記
第1部 補
秩父事件 その社会的基盤
1 山村の農業関係
2 製糸業の成立
3 製糸マニュファクチャの発展
4 マニュファクチャと小営業農民の対抗
5 農民経済の破滅
6 政治的結集過程 ―― 自由民権運動の激化形態
補 考
再録にあたって
秩父事件 素描
1 自由党と秩父事件
2 山村の農家経済と不況
3 秩父事件の中核形成
4 隆 起
5 事件の終わり
第II部 到達点
秩父事件 世界史の中の農民蜂起
まえがき
序 章 世界経済と明治の農村
1 外国紙の記事
2 世界経済と国内の状況
3 全国農村の不穏状況 (明治16、 7年)
第1章 山村の生活構造
1 山村経済の分析
2 秩父の山村経済
3 群馬の山村経済
4 長野の山村経済
5 蚕糸業地域の特質
6 蚕糸業 (silk industry) の発達
第2章 世界市場の動向と山村経済
1 フランスの養蚕業と蚕病
2 リヨンの生糸需要
3 1882、 3年の好況
4 1882年の恐慌の影響
5 山村の破局
第3章 自由党と困民党 ―― 秩父事件の組織と思想
1 農民運動の諸形態
2 サブリーダーによる組織と幹部集団の形成
3 困民党の思想と自由党
4 困民党の蜂起
第II部 補
秩父事件の掉尾 佐久戦争
1 ヨーロッパで報道された秩父事件
2 山村のたましい ―― 生糸
3 世界不況、 デフレ
4 農村窮乏 ―― 困民党と自由党
5 南佐久の動き
6 馬 流
著者あとがきにかえて ―― 全体性回復
解題 火の翼、 鉛の靴 ―― 秩父事件研究の舞台裏 佐藤正広
〈資料〉 秩父事件関連年表
初出、 および出典一覧
事項索引
地名索引
人名索引