- 菊大並製 376ページ
ISBN-13: 9784865780093
刊行日: 2015/01
明治初年を問い直し、土台から日本を造り直す!
目次
■■ 〈特集〉「明治」を問い直す ■■
〈座談会〉「明治初年」を問い直す 芳賀徹+片山杜秀+新保祐司
今、何故「明治初年」か 新保祐司
岩倉使節団はどのような西洋知識をもって米欧回覧に向ったか 平川祐弘
世界史のなかの明治初年 岡田英弘
「フクザワ」は勝利したのか? 小倉紀蔵
明治日本の二つの文明観〔福沢諭吉と中江兆民〕 杉原志啓
明治からの「処方箋」〔近代批判の源流へ〕 先崎彰容
「公論」はどこに行ったか?〔幕末日本における言論空間の所在〕 桐原健真
平田派神道の隆盛と没落 阪本是丸
頭山満と玄洋社、いまだ知られていない真実 石瀧豊美
五線譜と「国民音楽」〔伊澤修二と明治の音楽教育〕 奥中康人
明治と美術〔高橋由一が架橋したもの〕 酒井忠康
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■ 〈小特集〉アベノミクスのゆくえ ■
リフレ政策の効果は続く 原田泰
アベノミックスの三つの矢〔第三の矢の再考を〕 榊原英資
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〈トークイベント〉竹内敏晴さんが問い続けたこと
鷲田清一 講演「ことばを「しまう」ということ」
鷲田清一+三砂ちづる 対談「竹内敏晴さんが問い続けたこと」
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■ 〈小特集〉沖縄はどうなるか ■
沖縄の行方〔日本の行方〕 海勢頭豊
土着前衛党の再生の芽 川満信一
政府の差別政策をはねのけられるか 由井晶子
沖縄の小さな針を飲めるか 金城実
思うことの自由 我部政男
政治力で基地行政の壁を突き破れ〔沖縄新知事誕生の背景と課題〕 三木健
「首里城明け渡し」私感 仲程昌徳
仲間たちの言葉から 津波古勝子
沖縄・左右両ウイングの運動へ 真喜志好一
島の力で身の丈に合った道を行く 上勢頭芳徳
肝心と力を合わせば道は拓かれる 石垣金星
沖縄の歴史の転換点 高良勉
『琉球独立論』へのことづて 喜山荘一
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〈2014年度「後藤新平の会」公開シンポジウム〉
今、日本は何をなすべきか〔第一次世界大戦百年記念〕
片山善博+小倉紀蔵+海勢頭豊+水野和夫+橋本五郎(司会)
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□第10回河上肇賞受賞作決定□
(本 賞)大石茜 氏『「近代的家族」の誕生 二葉幼稚園の事例から』
(奨励賞)飯塚数人 氏『詩の根源へ』
[選考委員]
赤坂憲雄・川勝平太・新保祐司・田中秀臣・中村桂子・橋本五郎・
三砂ちづる・山田登世子・藤原良雄 (顧問)一海知義
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■■ 連載 ■■
川勝平太連続対談 日本を変える! 川勝平太
8 「ふじのくに」から発信する、ふるさとの森づくり (ゲスト)宮脇昭
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□□ 書物の時空 □□
●名著探訪
上田正昭 『日本古代国家の研究』(井上光貞著)
芳賀徹 『蕪村句集講義』全三巻 平凡社「東洋文庫」への声援
上田敏 『海のレディー』(マーガレット・ドラブル著)
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□□ 連載 □□
●フランスかぶれの誕生――「明星」の時代 7
山田登世子 アナキストのフランス 大杉栄
●ナダール――時代を「写した」男 7
石井洋二郎 兄弟の確執
●北朝鮮とは何か 8(最終回)
小倉紀蔵 チュチェ(主体)はどこに行く?
●生の原基としての母性 10(最終回)
三砂ちづる 日本の開業助産所は何をするところか
●伝承学素描 36
能澤壽彦 昭和の深淵 三
金子兜太の句 日常
石牟礼道子の句 色の足りぬ虹
関連情報
東日本大震災とそれに伴う福島第一原発の爆発事故から約三年半。直後の対応のみならず、その後の政府のあり方を見ても、経済成長を価値観の軸とする戦後日本社会をそのまま継続することが、もはや限界に達し、さまざまな綻びを見せ始めていることが露呈してきている。
今この時点において、日本という国家の針路を根本的に軌道修正するには、これまでの国家のあり方の延長線上にある弥縫策に終始するのではなく、もう一度この国を土台から造り直すほどの覚悟が必要なのではないか。
本特集では、そうした問題意識に立ち、近代国家形成の“成功”に向けて転がり始めた「坂の上の雲」の明治像から敢えて距離をとり、国家をまさに生みだそうとする端緒において、沸々と滾る混沌のなかで、普遍的な「公」をも志向した、潜在する「明治」を描いてみたい。
国家という制度の維持・再生産に安住することなく、国家の創成を純粋に志向した人々の精神とは何だったのか。それを問うことで、「官」に回収される以前の「公」のありようも立ち現れてくるのではないか。そしてそれは、「私」に偏した現代社会の閉塞を突破するための、一条の光を投げかけてくれるにちがいない。