- 篠田治美
- 四六変上製 320ページ
ISBN-13: 9784865780543
刊行日: 2015/12
死に向かう生の道のりを、ともに歩いた――
病が訪れ、それを拒み、受け容れ、生の終わりへと歩く道のりは、決して無くなることのない人の営みの、最も重要な局面の一つである。
八十四歳で旅立った書家・篠田瀞花を看取った娘が、その生と死を書ききる。
目次
プロローグ
Ⅰ 生のプロデュース――positive 積極
1 病発覚――ドン・キホーテ(5月)
2 心 願――個展計画(6月)
3 敗 北――余命二、三カ月(7月6日)
4 決 意――死に向かう生のプロデュース?(7月)
5 使 命――死に向かう生のプロデュース?(8月)
6 感 謝――防ぎ矢(9月)
Ⅱ 生を怖れず――passive 受容
7 衰 弱――受 容(10月)
8 永 生――永劫回帰(11月)
9 受 苦――弱さを生きる(12月)
10 無 為――次代にバトン(1月)
11 幽 閉――どんな生も甘受(2月)
12 飛 翔――春風に舞う(3月)
エピローグ
あとがき
関連情報
死に向かってひた走る日々、その人の肉体と精神のすべてを、日常生活の有象無象とともに意思と尊厳のすべてを受けとめ、たどたどしくも紆余曲折しながら、わたしは死のすぐ傍まで一緒に駆け抜けた。
わたしは病者本人ではないのに、健康な肉体を持ちながら病死に歩みを進める当事者だった。
そうして死者は死の側に行き、わたしの方は死というものを経験しながらなお生き、生きながら「死」を内に持つことになった。死が身の内に入り込んだ。
(「プロローグ」より)