喜山荘一
四六上製 320ページ
ISBN-13: 9784865780567
刊行日: 2015/12
文字を持たなかった時代の琉球弧の精神史を辿る! 琉球の死生観とは何か?
奄美・沖縄地方の民俗(風葬、マブイ、ユタなど)が南太平洋の島々や日本本土の民俗と共鳴しながら示す島人の思考とは珊瑚礁の形成とともに生まれた「あの世」と「この世」が分離しつつ自由に往き来できる死生観だった。
目次
はじめに 「ネシア」の野生の精神史
I 円環する生と死
1 われらアマンの子――祖先
2 蛇からアマンへ――脱皮
3 いずれ、生まれ変わる――再生
II 「あの世」と「霊魂」の成立
4 境界としての洞窟――風葬
5 包含するニライカナイ――他界
6 マブイの成立と協奏――霊魂
7 クチとユタの原像――呪言
III 生と死の分離を超えて
8 まれびとコンプレックス――珊瑚礁
9 仮面がつなぐ――来訪神
10 人、神となりて――御嶽
関連情報
かつての島人は、どうやら人間は生まれ変わるものだと考えていたようです。琉球弧では「再生」の伝承はない。にもかかわらず、水に対する信仰や、アマン(ヤドカリ)を祖先としたこと、母系社会の痕跡、風葬など、「再生」を示唆あるいは暗示する儀礼や所作には、何度も出会います。この気づきを繰り返すうち、島人に手渡されている民俗は、「再生」を指さしているのを認めないわけにいかないと思えてきました。そしてそうだとしたら、死者に対して今の「祖先崇拝」とは全く異なる態度を採っていたことになるのです。
(「はじめに」より)
●喜山荘一(きやま・そういち)
1963年、与論島生まれ。マーケター。東京工業大学工学部卒。西武百貨店、ドゥ・ハウス、ぐるなび、ノバレーゼを経て、現在、マーケティング・クオリア代表。ユーザーの声を起点にしたマーケティング活動を行なう。著書に、『奄美自立論』、『ビートルズ――二重の主旋律』、『聞く技術』、『10年商品をつくるBMR』等がある。